ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

今週の朝日歌壇

2011年04月12日 | 短歌
今週の朝日歌壇は、被災された方からの歌がほとんどでした。選者のひとり、永田和宏先生は、「常連の投稿者の名を見ると、あゝとほっとする」と述べていらっしゃいます。私も同感です。


    生きてゆかねばならぬから原発の爆発の日も米を研ぎおり (福島市)美原 凍子
                             (馬場あき子、佐佐木幸綱選)

美原さんは、確か、破たんした夕張市から福島に移られたはず。何という運命なのでしょうか。
もう一首、美原さんの歌。

    ただじっと息をひそめている窓に黒い雨ふるふるさと悲し (福島市)美原 凍子
                             (高野公彦選)

放射線物質で汚染されてしまった美しきふるさと。ふるさとへの思いと、現在と未来への不安がひしひしと伝わってきます。


    姿見ぬ人に二種あり原発の内部作業者、最高責任者 (高槻市)奥本 健一
                             (高野公彦選)


昨日やっと、東電の清水社長がテレビ画面に現れました。謝っていましたが、心の底から謝っているようには見えませんでした。
そして、どれだけの線量を浴びているのか伝わってきませんが、原発内部作業者を案じる思いは、多くの人に共通なのではないでしょうか。

もう一首、小学生の歌。

    地震の中で赤ちゃん産んだお母さん温かいシチュー届けてあげたい (富山市)松田 わこ
                             (馬場あき子、高野公彦選)

小学生が、被災者に寄り添って歌を詠んでいる、ということに喜びを感じます。わこさんは、何という感性をお持ちなのでしょうか。ほっとします。

選者の馬場あき子先生は、「東日本大震災を詠んだ歌が多く投稿され、現地からも歌が寄せられた。切実な感動、温かい心、そして未知の現実への驚き、読んで忘れがたく心に沁みる言葉に、改めて短歌様式の強靭さを思う。さらに多くの歌に期待したい」と述べていらっしゃいます。

歌を詠むことは、魂の発露であり、心のいやしとなることでしょう。そして、また、その詠まれた歌を読むことも、心のいやしに繋がる、そんな風に思います。


ユラーナ



 
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