ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

今週の朝日歌壇

2011年04月19日 | 短歌
今週の朝日歌壇は、被災地からの歌一色でした。入選された方の住所を見ても、大船渡市、福島市、仙台市、ひたちなか市、いわき市などがあり、胸が詰まります。


    原発の空のしかかるふるさとのここにいるしかなくて水飲む (福島市)美原 凍子
                              (佐佐木幸綱、永田和宏選)

「原発の空のしかかるふるさと」が切ないです。「福島原発の事故発生直後の作」と評にありました。首都圏でペットボトルの水がなくなった騒ぎとは、全く異なる苦悩にさらされている方たちの声を代弁されているかのようです。

    レジ前の商品棚にいつもより多く積まれある香典袋 (福島市)北村 ミヨ
                              (佐佐木幸綱選)

これも辛いです。レジに並んでいる作者がはっとした様子が目に浮かびます。


今週は、どの入選歌も重い内容でした。通常の朝日歌壇とは別に、「震災の悲しみと光を詠む」というコーナーがあり、それに入選された方の歌からご紹介いたします。


    「こんな時笑つてもいいの」と生き残る老いが足湯を受けつつ笑まふ (岡山市)西村 由紀子
                              (高野公彦選)

作者は、テレビで足湯を受けている方の映像をご覧になったのでしょうか。ほっと心休まる光景です。


    黙黙と環七歩く群にいて家路辿れる事の幸福 (東京都中野区)森永 恒宏
                              (永田和宏選)

震災当日、電車が止まって大勢の方が帰宅困難者となりました。歩くのは大変だったことでしょう。しかし、後から知った被災地の様子に、帰る家のあることを幸福だと知ったのでしょう。私もそのひとりでした。

歌を詠むことで心を開放できる方もおありでしょう。そうして詠まれた歌を読むことによって、共感し、1000年に一度といわれる大地震の経験を共有し、後世まで伝えてゆくことが大切なのですね。


ユラーナ






    
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