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ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

畳替えをいたしました

2017年05月13日 | 日本文化
久しぶりに畳替えをいたしました。床の間は、父のベッドが入ってしまっているので、残念ながらパス。

畳屋さんは、同級生の岡田畳店。

我が家の畳の床(とこ)は、100年もの。普通は、30年くらいで、床は替えるそうですが、床(とこ)の下の床(ゆか)があまりにも良くできているためか、100年持ったということになります。ゆかは、檜。

備後(広島)の新しいイ草の香りが満ち満ちて、とっても幸せ。畳の縁(へり)は、綿を使っていただきましたが、今時は、綿の縁を作る会社は、京都の一社のみになってしまったそうです。

お茶亀屋さんで8日に発売になった八十八夜の新茶を買って来て、新しい畳の上でいただきました。極楽極楽。




ユラーナ
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お茶出し(接茶) その3

2015年08月22日 | 日本文化
今どき、テレビで映る政府の会議でもお茶は、ペットボトルと紙コップです。果たして、それでいいのでしょうか?まあ、会議では、それでいいかもしれませんが。

しかしながら、大切なお客さま、例えば、重役に会いにいらした顧客に、ペットボトルをボンと出すわけにはいかない、と考える私は、古い人間でしょうか?

暑い時期には、冷たいお絞り、寒い時期には、温かいお絞りを用意して、まず、お迎えするのが、「おもてなし」の第一歩ではないでしょうか。

そして、重役たちが、重要な要件に入る前に、出来れば蓋つきのお茶碗でお茶をお出しするのが、望ましいように思います。夏であれば、冷たい麦茶か、冷茶でしょうか。しかし、人によって、冷たいものは、召し上がらない方もいらっしゃいますので、「冷たいお茶と温かいお茶では、どちらがよろしいでしょうか」、とさりげなくお聞きする心配りも、状況によっては必要かもしれません。

もし、温かいお茶をご希望であれば、90度に沸かしたお湯をお茶碗に入れて、お茶碗を温めます。夏は、その必要はないかもしれませんが、冷房が利いたお部屋や、冬季であれば、必須です。

90度に沸かしたお湯は、湯ざましにとります。高温で、良いお茶(お煎茶)を入れると、お茶がダメになってしまうので、ちょっとお湯の温度を下げるのです。それから、お急須にお茶を入れて、お湯を入れます。お急須にどれくらいの分量のお茶の葉を入れるのか?は、もう、経験しかありませんね。

それから、1分から2分程度置きます。そして、お茶の色が均一になるように、人数分のお茶碗に少しずつ入れてゆきます。

こうして書くと実に簡単なことなのですが、実際に、まともなお茶を入れてくださる方に、なかなかお会いできません。お湯の温度が熱すぎたり、ぬるすぎたり、お茶が古すぎたり、安すぎたりで茶色だったり、と。

「お茶入れ?そんなことはどうだっていいんだよ。適当で」、と言っていらっしゃる方の顔が浮かびますが、喫茶店は、お茶入れで生業を立てています。茶道のお家元もそれで、代々、生きていらっしゃいます。

心を込めていれた一服のお茶が、どれだけ、人の心を癒すか、分かっていらっしゃる方が増えてきたらいいな、と思います。

ユラーナ
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お花屋さんとの会話

2015年07月18日 | 日本文化
雨模様でしたが、ご仏壇にお供えするお花を買いに、近くの花屋さんに行きました。

「ご仏壇にお供えするお花を1000円くらいでお願いします。」とお願いしました。お玄関とトイレにも少し入れたかったので、「リンドウも入れてください」とリクエスト。

おじさんは、いつもながらテキパキとお花の束を作ってゆきます。

「先日のホールでのお花、とてもきれいでしたよ」と私。「ええ、ありがとうございます」

「ホールに活けるお花をどこに頼んだらよいのかわからない」と主催者が言うので、そのお花屋さんを私が紹介したのでありました。

「でも、一瞬でしたよね、お花が見られたのは。その後は、どうしたんでしょうね」

「会社の受付にでも飾ったんじゃないですか?」

「それは、あり得ませんね。誰もお花を活けることはできないし。第一、花鋏を私が用意したんですけど、戻してきましたから」

今どきの女性は、誰も、お花を活けることができないらしい。何と、情けない日本の状況(全部が全部とは言いませんが)

「大体、剣山、ほとんど、どこにも売っていないんですよ」と私。

「ウチも剣山扱っていたんですけど、売れないから、全部錆びちゃって、みんな処分してしまいましたよ」

「えー、扱っていたんですか?今、丸広なら、日本橋の木屋が入っていて買えますけど」

「今、みんな、オアシスになっちゃって」

「えっ?オアシスって何ですか?」

どうやら、オアシスとは、花籠を頼むとお花を挿してある柔らかいプラスチック状のものをいうらしい。

「(お花の)先生方は、みんな、オアシスになっちゃって」

へーえ、そうなんだ。剣山、使わないんだ。でも、どうやって、松を活けるのか?お正月の床飾りは、どうするんだ?オアシスなんかじゃ、松や菊の重みで倒れちゃうけど。

「今、先生は、いっぱいいるけど、生徒がいないって」

「そうでしょうね。あんな爪してたら、お茶やお華を習う人はいないでしょうね。今どきは、いい年をした人も、爪を長く伸ばしてネールアートしてるから」
「あれじゃ、恐ろしくて、お棗(なつめ)なんて、扱わせられないですよ。お茶碗はともかく、お棗は塗りだから傷ついちゃうし。しかも、水仕事って寝る寸前までしているでしょ?あんなに塗ることに熱心だったら、家の中、埃だらけですよ、きっと」

「今は、ソト(外見)を磨くのに熱心で、ウチの中(内面と家の中)は、磨かないんだよね」とおじさん。

何と情けない日本の現状。お花のひとつも活けられないなんて。

「おもてなし」とか言う前に、お茶とお華のお稽古を少しでもやったらいいのに、と心から思う私でございました。

帰りに、喫茶店に寄りました。今日は18日で、「きものの日」とあって、着物姿の女性がいましたが、着ているものが、浴衣のような浴衣でないような・・・でも、足元は、素足で草履を履いていましたから、浴衣だったのかなぁ。

しかし、出てゆく歩き方は、勇ましかったです。お茶、3か月でいいから習ってね。歩き方がすり足になって、見た目が美しくなりますよ。

ユラーナ




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川越・荒井桶屋さんと野村万作・萬斎

2015年06月29日 | 日本文化
川越には、今でも、風呂桶を作る桶屋さんが健在です。喜多町にある「荒井桶屋」さんが、そうです。

私は、アメリカから帰国した1998年に、荒井桶屋さんを見つけ、家で使う桶を作っていただきました。当時の木の材料は、さわらでした。その後、10年くらい経ってから、もうひとつ作っていただきました。

我が家は、大正時代に建てられた家なので、時代劇に出てくるような桶が、お水を撒くのに、ぴったりなのです。

荒井さんは、小さな花入れにするような桶も作っていらっしゃいましたので、桶の形をしたお花入れもいただきました。こちらも、10年以上してから、もうひとつ、作っていただきました。ひとつは、トイレ用に、ひとつは、お玄関用にです。

ベテランの職人さんの作った桶は、なんとも言えない味わいがあります。とても丁寧なお仕事なのに、こんな値段でいいのか?というくらいお安い価格です。

昨日、1700席ある「ウェスタ川越の大ホール」の杮落としがあり、狂言師の野村万作・萬斎親子が、「三番叟」と「舟渡聟(ふなわたしむこ)」を演じてくださいました。私は、来賓として招かれましたので、前から8列目くらいのど真ん中で拝見いたしました。ホールは、3階まで、満席でした。

私は、出来たばかりで、何も出来ない「ウェスタ川越」の指定管理者の教育係を買って出ましたので、野村親子と特別ゲストの川越出身の大物俳優・市村正親さまをお迎えするために、接茶とトイレに活けるお花に心を砕きました。

誰も、接茶のことなど、気にしていない模様でした。今どき、トイレにお花を活けるお家もないらしく、私が、楽屋のトイレに花を活けるということを聞きつけたお偉いさんに責められました。何故、人間国宝をお迎えするトイレに花を活けてはいけないのか、お茶器に心を砕いてはいけないのか、今もって、私には、わかりませんが。

兎にも角にも、私は、人間国宝とそのご子息、そして、市村正親さまを心からお迎えすべく、奔走いたしました。

「トイレに花」って当然でしょ?違います?私は、荒井桶屋さんに、自分の家で使っている花入れを持ってゆき、これと同じ物を2つ作って欲しいと、1カ月以上前にお願いしておきました。2週間程で出来ていました。手が込んでいるにもかかわらず、2つで税込5000円でした。申し訳ないようです。

そして、昨日の本番前、演者の皆さまが、楽屋入りをする前に、トイレにリンドウの花を活けました。

そして、演者の皆さんは、どう感じたのでしょうか。

そして、今朝、荒井さんに、我が家で使っている桶を修理してもらうために、持って行ったところ、荒井さんは、とてもお忙しそうでした。

「急に忙しくなっちゃって」

「そのようですね。今、作っているのは、何ですか?」

「四角い風呂桶です」

なるほど、日本の風呂桶、外国人には、人気ですよね。日本人は、どんどん西洋化していっていますが、外国人は、日本人が捨て去るものに、目を付けるのです。高級ホテルでは、和のテイストが求められます。また、高級日本旅館では、やはり、木の風呂桶でしょうね。

そんなこんなで、荒井さんは、とてもお忙しくなってしまったのです。

すると、荒井さんは、こんなことをおっしゃいました。

「昨日、狂言があったでしょ」

「はい」

「狂言の人から、酒樽の注文が入っちゃって。それも、昨日のうちに」

はい、確かに、昨日の「舟渡聟」では、酒樽が使われていました。しかしながら、随分と年季が入っているなぁ、と思いながら、見ていた私でした。

トイレに入った野村さん親子は、誰かにこう尋ねたに違いない。「この花入れの桶は、どこで作ったのですか?」

訊かれた人がどう答えたのかわかりませんが、昨日のうちに、荒井さんの元に、大量の酒樽の注文が入ったのです。

私がトイレに花を活けることを責めた方たち。何をどう考えて、私を責めたのか知りませんが、少なくとも私が用意した桶の花入れのお蔭で、荒井桶屋さんに、酒樽の注文が入ったわけです。それ以外に、どんなルートがあるというのでしょうか。それも、人間国宝が使う酒樽です。川越の職人さんが作った酒樽が、全国、あるいは、全世界の野村家の狂言の舞台で、これからずっと使われるわけです。

少しは、私の果たしている役割に感謝してもらいたいものです。結局、花入れの代金もリンドウの花代も、私が負担しました。


ユラーナ
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お茶出し(接茶)その2

2015年06月26日 | 日本文化
まず、お茶出しの講習会を開くには、お道具が必要です。某企業では、お茶出しに必要な道具は、一切、ありませんでした。

そこで、仕方なく、講師であるワタクシが、百貨店に必要な道具を買いに行きました。

1.お急須
2.湯ざまし
3.お茶碗
4.お茶卓

ここまでは、地元の百貨店で揃ったのですが、まだまだ、足りません。

浦和で、大学の同窓会があった際に、大宮のそごうに寄り、次の物を買い足しました。

5.お盆
6.茶さじ
7.コップ

そごうには、コースターはありませんでした。コップにコースターを敷いてお客さまにお出しする人は、いなくなってしまったのでしょうか?

そこで、今度は、銀座三越に参りました。

8.冷茶器(和風)
9.コースター

しかし、これでは、お客さまにお出しするには、十分ではありません。

お絞りの台がありません。以前勤めていたドイツ系の会社の秘書室では、籃胎漆器(らんたいしっき)のお絞り台を使っていましたが、地元の百貨店でも、大宮そごうでも、銀座三越でもありませんでした。我が家では、籃胎漆器のお絞り台と冷茶器用のお茶卓を使っています。しかし、どこも、もう扱っていないのです。

*籃胎漆器とは?(ブリタニカ国際大百科事典より)
漆工芸品の一種。竹を裂いて薄く削って編んだ素地すなわち籃胎 (籃は竹で編んだ籠) に,漆を塗り重ねた器物。遺例として中国,戦国時代,漢代の楽浪郡古墳の出土品,日本の縄文時代末期の青森県是川発掘のものが知られている。

九州の専門業者さんにお電話したところ、売ってくださるというので、送っていただきました。これで、

10.お絞り台
11.冷茶器用お茶卓

が揃いました。

しかしながら、これでは、まだ、お茶入れをすることは、できません。

まず、お茶がない。お茶は、川越の老舗に行き、特別なお客さま用にお出しする100グラム1500円のお茶を買いました。

皆さん、1500円?そんな高いの?と思われましたか?では、申し上げましょう。1500円で、ペットボトルのお茶は、何本買えますか?仮に、1本150円として、10本しか買えません。

しかし、100グラムを買うと、いったい、どれくらいのお茶を入れることが出来るのでしょう。私は、そんな分量を計測したことは、ありませんが、少なくとも、ペットボトル10本をはるかに凌ぐ量のお茶を入れることができます。


(つづく)

ユラーナ
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