ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

心の整理

2010年11月29日 | つれづれなるままに
87歳の伯父が亡くなって3カ月経ちました。少しずつ伯父の遺品を整理しながら、伯父の生きた証を辿っています。

伯父は、11年前に伯母を失ってから、自分の身の振り方を考えていたのか、古い書類などはほとんどありません。余りにも整理力が良くて、感服しています。

自分がいつ逝くのかわかりませんが、伯父のように身ぎれいにして逝くことが出来るのであろうか、と思います。

しかし、人ひとりが亡くなるということは、本当に大変なことだとつくづく感じています。お葬儀までは、何とかこなしましたが、故人が関わっていた方との繋がりやいろいろな支払いなど、残された者がやるべきことは山のようにあります。

伯父は、入院する前から、電話口で私に何度も言っていました。「頼んだぞ。世話になるからよろしくな。」遺品を手にしながら、伯父が「世話をかけて悪いなぁ」と言っているような気がしました。

最終的には、ほとんどのものを捨てなくてはならないとは思います。しかし、伯父の生きた証を手にし、目にするということを繰り返しながら、伯父を心に刻みつけ、伯父にお別れを告げる儀式は進んでゆくのだと思います。

告別式は、ご遺体との別れであって、心のお別れは、故人が私の心の中に刻まれてゆくことで成し遂げられるものなのかもしれない、と思います。87歳まで生かされた伯父の力を自分の中に取り込んで、新しい自分を築いてゆくことが、自分に課せられた仕事なのかもしれない、そんな風に思っています。


ユラーナ
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言葉

2010年11月27日 | 日本語
毎週、金曜日に、静岡のパン屋さんと名乗る、女性のパン屋さんが車でパンを売りに来ます。父がメロンパンが好きなので、毎週、買っています。

昨日は、母が留守にしていて、私が応対したところ、いきなりこう言われました。

「おばあちゃんいる?パン屋だけど」

・・・お、おばあちゃんですか?確かに母は80を過ぎているけれども、赤の他人様の貴方様に、おばあちゃん呼ばわりされる理由はありません。むっとしつつ「おいくらですか?」と訊き、代金を支払いました。

今までだと、「なんて失礼な!」と家の中で怒っているだけでしたが、私ももう50をとっくに過ぎたことだし、言うことにしました。

「川越で、『おばあちゃん』は絶対だめよ。二度と買ってもらえなくなるわよ」

すると、「すみません。ありがとうございました」とペコンと頭を下げて帰ってゆきました。

お商売の基本を大切にしていただくと、こちらも気持良くお買いものができるように思います。今後ともよろしくお願いいたします。


ユラーナ
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かわごえ都市景観表彰

2010年11月26日 | 川越
先日、川越プリンスホテルで、川越市都市景観シンポジウムがありました。

市内にある東邦音楽大学のフルート・アンサンブルによるミニコンサートから始まりました。フルートの優しい音に心癒されました。



その後、かわごえ都市景観表彰式となりました。



都市景観デザイン賞は、4つのデザインに対して与えられました。そのうちの一つが、一番街にある大和屋さんの建物。修復前は、これで修理ができるのかしらと思われるような状態でしたが、見事、復活。

 

私の知り合いの大工さんが手がけた作品です。こうして蘇って本当によかったです。


都市景観ポイント賞は、3つの抽象的要素(ポイント)に与えられました。その一つは、大和屋さんのお隣の松岡種苗店の看板です。松岡さんのお家が、伝統的建造物群保存地区にふさわしいお店に建て替えられたのは知っていましたが、その看板がこんなにかわいらしいとは、気づきませんでした。

豆が発芽している様子でしょうか。

 

川越の一番街(蔵造りの通り)は、どんどん変化してゆきます。それを快く思っていない方もいらっしゃるようですが、元々、この通りのお店は常に入れ替わっていたと言います。老舗があって、新しい人も入ってくる。そういう新陳代謝があってこそ、町は、活気づいてゆくのかもしれません。

明治26年の川越大火で町がすっかり焼け、火を恐れた川越商人は、蔵造りの建物を次から次へと建てました。東京では、近代国家に向けて、蔵が壊され、どんどん西洋建築が建てられてゆく中、川越は、江戸時代に逆行して行った形になります。余所からいらした方は、江戸の日本橋界隈を模した景観のみに注目する方が多いのですが、川越の歴史にも、もう少し関心を持っていただけたらなぁ、と思います。

私の「川越今昔ものかたり」では、何故、そこにお寺があるのか、誰が動いたのか、何故、こういう町並みが出来たのか、というソフトの面に力を入れて書きました。お読みいただければ幸いです。


ユラーナ

コメント (2)
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「小江戸川越まち歩き公式ガイドブック」から

2010年11月25日 | 宗教
「小江戸川越まち歩き公式ガイドブック」を買ってみました。川越検定を受けるつもりはないのですが、どんなことが書いてあるのかしら、と思い手にしました。

開いてすぐに目についたのは、「マナーを守って楽しいまち歩き」という注意書きでした。

「本書では数多くの寺院を掲載していますが、そのほとんどが観光寺ではなく檀家寺です。檀家が訪れる土・日曜日や、お盆の時期の訪問は避け、また平日でも法事が行われている時は遠慮しましょう。寺院は神聖な場所です。訪れた際は、住職や檀家の皆さんに迷惑を決してかけぬよう、言動には十分注意してください」とあります。

川越は、この20年で観光地となりました。それまでは、檀家以外の人がお寺を訪れることもなく、顔見知り同士がご挨拶する程度でしたが、この数年は、特に、一番街を中心として数多くの観光客が、お寺を訪れているようです。

ご本尊をお祀りしてある本堂の階段にお尻を向けて座り込み、物を食べる人などいて、檀家としては、かなり嫌な気分になることは多々ありました。京都や奈良のように拝観料を取って仏様をお見せするというお寺は川越にはありません。いらした方の良識に任せるしかないというのが、現状かと思います。

年配者を中心として、その「良識」がすでに失われてしまっている現在、「言動には十分注意してください」と書いてあっても、「どんな言動に、どう注意したらよいのだろうか」と戸惑う人も多いような気がします。お家に仏壇も神棚もなく、「祈り」の機会さえ持ったことのない人を、どのように導いていったらよいのか。これは、宗教者の方たちにお考えいただくべきことなのかもしれません。ふと心惹かれて、川越の寺院に吸い込まれてきた人たちに対して、既存の宗教は、「信仰とは何か」、「祈るとは何か」、をご提示いただくよい機会なのかもしれません。

「ここは祈りの場です。合掌してお参りください」と一言あると、ざわついた心も、すこし違ったものになるやもしれませんね。


ユラーナ

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英文ビジネスEメール・ライティング研修

2010年11月23日 | 英文ライティング
先日、東京駅近くで開催された日経ビジネススクール主催の「英文ビジネスEメール・ライティング研修」講座に行ってきました。

朝10:00から夜6:00までというハードなスケジュール。しかし、始まってしまえば、ポール・ビソネット氏の巧みなアップルPCによるプレゼンで、ぐいぐい惹き込まれ、あっという間に時間は経ってしまいました。ビソネット氏は、以前ブログでご紹介した「相手を必ず動かす英文メールの書き方」の筆者です。カナダ人であるビソネット氏は、来日35年で、日本人の書いた英文の膨大なデータベースを持っていらっしゃるとのこと。日本人の英語を長年添削してきた言葉のエキスパートです。感動した本の著者から直接講義を受ける機会に恵まれて、とても嬉しく思いました。

約7時間の集中講義の内容をここですべてご紹介するのは無理ですが、「丁寧な依頼(ポライト・リクエスト)をする」という講義の中で、参加者が驚きの声を上げた質問がありました。

「以下の8つの文章で、丁寧な依頼であると思うものには、Y、そうではないと思うものには、Nに○をしてください」とビソネット氏から言われ、私たちは、○をつけました。

1. Could you send it to me as soon as possible.
2. I want you to send it to me by return mail.
3. Would you please send it to me by return mail.
4. Please send it to me by return mail.
5. It would be appreciated if you would send it to me by return mail.
6. Send it to me by return mail.
7. I’d like you to send it to me by return mail.
8. Could you have one of your staff send it to me as soon as possible?

Yにいくつ○がついたか、手を上げさせられました。私は、5つに○をしました。大かたの人が4つ、5つ、6つに○がついたとしました。しかし、正解は、1つでした。8番だけが丁寧な依頼である、とのことで、自分を含め、参加者から驚きの声が上がりました。

2や6は、当然外れるとしても、何故1や3が丁寧な依頼ではないか、というと、最後にクエスチョンマークがついていないということ。つまり、相手にノーを認める表現になっていない、ということでした。仮にクエスチョンマークがついて、Could you please send it to me as soon as possible?となっても、目上の人に書いたとすると、相手にYesという答えを100%期待していることになるので、リクエストではあるけれども、ポライト・リクエストにはならないそうです。

また、5は、よく日本人が使う書き方ですが、この受け身表現は、「とても丁寧」という表現ではないそうです。フォーマルではあるけれども、命令的な感じがするそうです。もしこれが、能動態となり、We appreciate it if you could send…となれば、丁寧度は大きくなるそうです。

丁寧な表現とは、
 相手のノーを認める表現
 理由を説明することによって相手を動かす表現
だそうです。

I wonder if you could have one of your staff send it to me as soon as possible?
(出来るだけ早く私に送ってもらうようあなたのスタッフにお願いできますでしょうか?)

こう書けば、とても丁寧な依頼(相手にノーと言う余地を与える)になるそうです。

Could I ask you to ...
May I ask you to ...
Would you mind ...

これらも、丁寧な依頼となります。

日本人の書いた英文を見て、「かなり失礼だな」と思うネイティブ・スピーカーはとても多いそうです。

こういうことは、大学までの学校教育で教えて欲しかった、と一日講義を受けてつくづく思いました。


ユラーナ
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