緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

精油あれこれ・第2回:サイプレス

2006-10-23 18:59:02 | 精油あれこれ
前回からだいぶ間が開いてしまいましたが…、
◆第2回は「サイプレス」です。◆

Cypress
《Cupressus sempervirens(ヒノキ科)》

サイプレスは歴史的に生と死にまつわる樹木でした。
神聖で、かつ死別の悲しみを受け止め、流し、癒す、慰めの植物でもあったようです。

サイプレスのキーワードは第一に「キュッとしめる」。
それも、雑巾絞りのように外側から絞めるというより、
内の芯がシュッと縦に伸びて弛みが解消し、
結果、無駄が無くなって全体がしまるといったイメージでしょうか。

こうして原稿を書いている今も、傍らで香らせているだけで、
背筋が、気道がしゃんと伸びて、冷たい清浄な空気が身体の中に満ち、
頭はすっきり、中心に統合されるような気がします。
精神的にも身体的にも、弛み(ゆるみ)を「キュッ」としてくれるのが
サイプレスの最も顕著な特徴でしょう。

第二のキーワードは「過剰をなだめる」。
どちら向きの過剰にも、です。
過度な緊張にも、過度な弛緩にも、どちらにも作用して
(後者の場合はつまり「キュッ」と作用して)、
真ん中に戻してくれる感じです。

バランスをとるというよりも、
やはり中心にまとまるイメージですね。

  ◆  ◆  ◆

以上の2点をふまえて具体的な使用例をあげてみましょう。

1. 「キュッ」
サイプレスは血管への働きが有名です。
血管を収斂→血管拡張性の片頭痛に。
頭の中の血管が緩んで広がっておこる、ガンガンタイプの頭痛です。
私も以前はPMS(月経前症候群)大王でしたので、よくお世話になりました。
私の場合はセルフケアとリズミカルボディセラピー(以前もちょっと書いた)
のおかげで本当に楽になりましたが、
PMSの話はまた別の機会にゆずりましょう。

また、「キュッ」の延長上にあることですが静脈を強壮するともいわれます。
静脈瘤や痔疾などに(with セントジョーンズワートの浸出油や、ヤロウ)、
冷え性やしもやけに(with ジンジャー)。
リウマチによる関節の腫れむくみ、
さらにリンパの滞留からくるニキビなどの肌荒れ、セルライトにも。

このあたりは閉塞状況を変化させるのに、
サイプレスの「キュッ」を利用するという感じでしょうか。
筋肉にたまった乳酸を流したり、リンパの流れを促したり、
結果的に組織の解毒というような役割も果たすようです。

もちろん、毛穴や汗腺も引き締めるので、デオドラントや制汗剤に。

「キュッ」によって余分な水分も動き出しますので、
利尿作用も当然伴いますね。
利尿・余計な水分といえばジュニパーが有名ですが、
あちらは「排出してもとの状態にもどす」、
こちらサイプレスは引き締めてもとの状態にもどす。
結果は似ていますが、テーマがちょっと違う。
弛みきって怠惰になった心にもぜひ「キュッ」と。集中できますよ。

※サイプレスの「キュッ」はかなり強力です。高血圧の方はご注意ください。


2. 過剰の調整
呼吸器の痙攣=咳や喉の不調など、
消化器の痙攣=下痢など、
筋肉の痙攣=こむらがえりや筋肉痛など、
交感神経の過剰=イライラ・異常興奮・緊張過多。
これらはみんな、必要以上にピリピリと震えてるような状態ですね。
サイプレスはこれを治めるのが得意。特に神経系が。

3. 女性に優しい
さて、最後に、上の2つの特徴の複合的な作用ではないかと思っているのですが、
女性のホルモンバランスの乱れにも適用されます。
サイプレスの実が卵巣の形に似ているという話もあり
(ある時代には、形が似ているということが非常に意味をもつ
学説を唱えた人が居ました)、また、卵巣ホルモン
(エストロゲン&プロゲステロン)様作用をもつという説もあり、
卵巣機能の正常化を期待したり、月経過多や生理不順、更年期障害、
PMSなどに勧められています。
いずれにしても、「引き締める」、「過剰をなだめる」という目的に
照らし合わせてみれば、使いやすくなるのではないでしょうか。
女性の生理周期でいうと、月経直後から排卵までの時期がおすすめです。

4. お兄さん
さて、上記の知識は知識として、嗅いだときの直感も大切にしてみてください。
香りのイメージは、意外にメンズっぽいのです。
私は大好きですが。

引き締まった身体を持ち、しかも汗臭くなく、
神様の傍らで道を究めようとする若者といった感じ。
そもそも汗臭くならないように身体を引き締めるのは至難の技です。
少女マンガに出てくる、憧れのお兄さんをご想像ください。

「女の子としてなごみたーい」「お姫様扱いされたーい」
というような時(それはまさに生理の時)は、ピンとこないかもしれません。
または逆にドンピシャかもしれません。

これに良いあれに良いと頭で考えるより、
香りを嗅いで、その時心地よかったものが、
その時の体調・心の調子に一番必要なものだったりします。
まずは、試してみましょう。

◆ まとめ ◆
サイプレスの本質にせまるキーワード
「キュッ」として、過剰をなだめてくれる
ちょっとカッコいいお兄さんです

ホントお世話になってます

注意1・あくまでも私見です。細かなデータは色々な書籍を参考にしてください。
注意2・精油の使用にあたっては、植物オイル等の基剤で薄めるといった基本事項をお守りください。








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