Runrun日記

最近読んだ本ー椿山課長の七日間

 豪雨で災害が起きているらしい。麻原彰晃ら、サリン事件の死刑囚ら7名が死刑執行された。

私は信心がないから、死後の世界に極楽浄土も地獄も無いと思うけど・・・
この小説では、沙羅の花の咲く並木の向こうに中陰という所があって、生前の行いが審査され、極楽と地獄に行き先が振り分けられるらしい。

浅田次郎 著作 「椿山課長の七日間」 朝日文庫

生前の行いが悪くても、講習を受け、反省のボタンを押せば、殆どの人は極楽に行けるとか。三名がこのままでは往生出来ないと再審査を申請し、現世に逆走されます。逆走期間は初七日まで。復讐の禁止正体の秘匿制限時間の厳守を守らなければ怖いことになる。

百貨店の課長で過労死した椿山和昭の場合。仕事がどうなったか苦になって仕方ない。残された妻や子供、父親、ローン・借財は? 邪淫の罪の嫌疑をかけられてしまった。彼女(セックスフレンド)とは、恋とか愛とかない親友だったのだ!
人違いで射殺されたやくざの親分武田勇の場合。子分たちの行く末が案じてならない。誰と間違われて殺されたかも知りたい。
交通事故で死んだ少年根岸雄太の場合。自分は貰われっ児なので、本当の両親を知りたい。

三つの事情が微妙に絡み合って物語は進行して行きます。死んだ後に、自分が家族や周りからどの様に思われていたかの真実を知る事は、怖い事じゃ!!!

椿山の妻は、椿山の部下と不倫をしていた。子供も自分の子ではなく、部下との子供だった。子供と父親はその事を知っていて、知らないのは自分だけだった。男と女の愛の無い親友だと思っていた女は、椿山の事を深く愛していた。ボタンの掛け違い?
武田は、子分たちが上手くやって行けそうなのを確認していくが、一人復讐を果たそうとする子分が居て、それを止めようとして、犯人を撃ち殺してしまう。死んだものが、人を殺せるのか 
雄太は、椿山の子供と父親に助けられて、自分の本当の両親に出会い「生んでくれてありがとう」と云います。

武田勇は、三つの禁止事項の全部を守れず、根岸雄太も正体を明かしてしまいます。

なんだ、なんだ!
これは、家族愛を描いた小説? 武田が子分を思う愛も、家族愛なのだろう。
椿山は、息子に向ってつぶやきます。(俺を忘れろ)
椿山の父親は、悠太を両親に合わせる時に、病気で死んでしまいます。
中陰に戻って、椿山の父親は、悠太の身代わりになって怖い所に降りて行きます。武田勇も当然です。
本当の人の善悪を斟酌しない、中陰のお役所仕事。三人をサポートする中陰の職員マヤさんとか、面白いコメディ。
そうかも知れない。死んでしまえば、人生に善も悪もない。みんなボタンの掛け違い。反省のボタンを押せば極楽に行けて当然なのだ。

浅田次郎さんの小説は、初めて読みました。面白い! 浅田さんの虜になりそうです。
この小説のお気に入り度:★★★★☆

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