昨日の天童の対局をコメントする前に少し遠い所から話を始めます。
私事だが、羽生ファンをやってもうかれこれ15年である。
羽生さんの存在をファンとして意識したときには、すでに彼は複数のタイトルをもつ棋界の第一人者群の1人であった。ひととき王座一冠まで後退したときもあったがその期待に応える姿はファンを惹きつけてやまない。すくなくとも自分にとってはそうである。
日常の対局ももちろん気にして見ているが、羽生ファンとしての注目はやはりタイトル戦の帰趨を見極める際に最高潮に達する。タイガーの記録がメジャーにフォーカスされて語られるのと同じことである。
で、竜王戦最終局である。
昨日はBS2のライブ中継が、16時から通常だと18時までの予定を延長して18:45まで、更に延長して19時ぎりぎりまで放送を引っ張ってくれた。それでも終局の場面は入らずに対局室の映像をぎりぎりまで見ながら最後は見届けられない状況となった。角をなって自玉の不詰めを見切ったと言っていたのが終盤のファンタジスタと陰口を叩かれることもある藤井九段だったから一抹の不安が(笑)
ふと既視感を持ったのだが、今日になってそれは思い出した。最初の七冠を目指した王将戦第七局、この時間なら決まっているはずという夕方というか夜の時間に谷川王将と羽生挑戦者の対局がなぜか続いていた。なぜなら千日手指し直し局となって時間が大幅に後ろ倒しになっていたから。
そのときも最後に急所に角を谷川がぶちこむシーンが残像に残りながら放送は終了。結果は谷川が勝ち防衛、七冠ならず。そのときの喪失感といったら・・・・
昨日の負けてのショックはそれいらい、いやもう一つ森内に十八世を先に取られたときのガッカリ感も比肩されるな。
まあ後講釈でいくらでもいえる話をいくつもしても駄目なんだが、要は指運勝負となってしまった時点でサイコロバクチのような世界に入っていた。その手のゴール板前の叩き合いでは若手に分があるのは理の当然。羽生といえども若い渡邉の瞬発力には屈してしまった。飛車が縦でなく横にいってればなんて今も残念ではあるがそれが勝負事であるのだから仕方がない。
吾ながら第四局以降のコメントはある部分今日のこの状況をある程度予測はしていたように見える。我田引水ながら少し再掲載しつつ振りかえると、
■第四局
●●●から渡邉竜王が1勝を返してこれで1-3。
「唯の一勝だが、とてつもなく大きい一勝」
という感じである。入玉の戦いとなった将棋そのものとともに、
この対局と渡邉勝利は棋界の歴史に残る勝負に名を連ねることになった。
次が渡邉の先手番。勝てれば雰囲気も変わってくる。
●●●○○となって6局目が羽生先手ということになれば、
14年前の名ドキュメンタリー「挑戦」の天童対決(佐藤-羽生の第七期竜王戦)
とまったく同じ展開となる。
■第五局
●●●のあと○○と連勝を返した。
終盤キワドイ感じも無くはなかったが、渡邉が好きな競馬に例えていうと、「脚色に余裕を残しながら首差」ぐらいの感じだったかな。
うーむ、どうやら羽生は起してはいけないリヴァイアサンを呼び覚ましてしまったのかもしれない。次、決められないとスンゴイ騒ぎになるよ、将棋界。
ちなみにここから週一ペースで対局が密になるのも渡邉にとっては幸便。
■第六局
第六局。後手番渡邉が急戦矢倉からのいきなり終盤戦の苛烈な闘いを制してこれで●●●○○○で最終天童決戦に。
さーて、将棋ファンにとっては最高の展開である。今やワタナベ乗り?いやいや。
「これで全くの五分」なんですよ、ホントに。
強い方が勝つのが最終局。実は羽生、●●●○○○で追い上げられるのは2度目。
前回は追い上げたのが佐藤ででも羽生が最終局勝っている。さあて今回はどうなんでしょうか。
まあシツコイけど確実にいえるのは、
「次回から羽生渡邉のタイトル戦があったとしても、羽生圧倒有利の下馬評は出ない」ということだな。
いまさらながら、中原誠の「その子(15年前の渡邉少年)に羽生君はやられるんだ」が燦然と輝く金言に思えて仕方が無い。
でもその「やられる」が今回とは限らないからね。
・・・・とまあ、ここまで徒然なるままに書いてきた。robihei的には第五局を落としたときに3割ぐらい「ヤバイかも」って悪寒はしてたけどね。
そして、昨日天童でとうとう
「中原さんの予言の”やられるんだ”が、こういう形でおきちゃいました」
ということなんであろうね、ほうほう。いやびっくりでもありがっかりでもある。
いやー、マジで羽生ファン暦15年にしてビッグ3に数えられる虚脱感である。
しかも羽生から見て○○○●●●●という将棋界タイトル戦初のビッグアップセット。
まあ、記録というものは塗り替えられたり新たに打ちたてられるものだから、三連敗四連勝が今までなかったこと自体が不思議といえば不思議。なんとなくだが三連敗四連勝は羽生がらみで起きるのではと予見していたが、まさか喰らう方で当事者になるとは・・・ちょっとびっくり。
でも、過去のガッカリ事例でも、今になってそれらをそれぞれ思い返すと、
☆最初の虚脱感(王将戦失敗)→翌年七冠とって払拭
☆二度目虚脱感(永世位先着)→翌年名人取り返して十九世に
ということになっている。だから来年も竜王戦には出ないことには先例に倣えない。また一年必死こかないといけないのね、ハブタン。
唯一の気がかりは今年の王位戦で深浦にまたしても最終局勝たれてここ一番の負けが対深浦で王位戦で2回連続したってところかな。
でもその手前で棋聖戦は●●○○○でここ一番をひっくり返して奪取したからね。
王将戦も深浦だし、もう一度心理的フォームを立て直すきっかけが必要ですな。
まあ、来年も羽生が竜王戦に出て○○○ってなったとしても「ここから道のりまだ半ば」って意見もあって当然だろうし、将棋界にまた一つタブーがなくなったというだけのことかもしれない。まあその辺は何年掛かるか知れないけど羽生永世七冠が達成される日まで忸怩たる想いは胸に秘めて応援を続けることにしましょう。
最後に渡邉永世竜王に一言。この2ヵ月半、最初の負け下モードが「死んだフリ作戦」だった訳?って突っ込みたくなるぐらいの成長振り、同慶の至りです。冗談ヌキでこの竜王戦を潜り抜けて勝ちきったことで香車一本強くなったと思う。
ただね、獲得が竜王五期だけって永世竜王って、やっぱりバランス悪過ぎるよね。羽生と戦えば羽生と互角以上に戦えるんだったら、それを他の相手や雑魚相手でもしっかり発揮して、早く名人戦で挑戦者になってもらわないとね。
生涯で20期はタイトル取らないと将棋ファンのおじさんたちは許さないからね(笑)これは羽生ファンに限った話ではなく、将棋ファンのおじさんたちの総意だと思って心して聞いていただきたい。
ともあれ、この2ヵ月半、痺れる将棋を見られて将棋ファンとしては(結果を除いて)最高でした。両対局者に感謝します。
私事だが、羽生ファンをやってもうかれこれ15年である。
羽生さんの存在をファンとして意識したときには、すでに彼は複数のタイトルをもつ棋界の第一人者群の1人であった。ひととき王座一冠まで後退したときもあったがその期待に応える姿はファンを惹きつけてやまない。すくなくとも自分にとってはそうである。
日常の対局ももちろん気にして見ているが、羽生ファンとしての注目はやはりタイトル戦の帰趨を見極める際に最高潮に達する。タイガーの記録がメジャーにフォーカスされて語られるのと同じことである。
で、竜王戦最終局である。
昨日はBS2のライブ中継が、16時から通常だと18時までの予定を延長して18:45まで、更に延長して19時ぎりぎりまで放送を引っ張ってくれた。それでも終局の場面は入らずに対局室の映像をぎりぎりまで見ながら最後は見届けられない状況となった。角をなって自玉の不詰めを見切ったと言っていたのが終盤のファンタジスタと陰口を叩かれることもある藤井九段だったから一抹の不安が(笑)
ふと既視感を持ったのだが、今日になってそれは思い出した。最初の七冠を目指した王将戦第七局、この時間なら決まっているはずという夕方というか夜の時間に谷川王将と羽生挑戦者の対局がなぜか続いていた。なぜなら千日手指し直し局となって時間が大幅に後ろ倒しになっていたから。
そのときも最後に急所に角を谷川がぶちこむシーンが残像に残りながら放送は終了。結果は谷川が勝ち防衛、七冠ならず。そのときの喪失感といったら・・・・
昨日の負けてのショックはそれいらい、いやもう一つ森内に十八世を先に取られたときのガッカリ感も比肩されるな。
まあ後講釈でいくらでもいえる話をいくつもしても駄目なんだが、要は指運勝負となってしまった時点でサイコロバクチのような世界に入っていた。その手のゴール板前の叩き合いでは若手に分があるのは理の当然。羽生といえども若い渡邉の瞬発力には屈してしまった。飛車が縦でなく横にいってればなんて今も残念ではあるがそれが勝負事であるのだから仕方がない。
吾ながら第四局以降のコメントはある部分今日のこの状況をある程度予測はしていたように見える。我田引水ながら少し再掲載しつつ振りかえると、
■第四局
●●●から渡邉竜王が1勝を返してこれで1-3。
「唯の一勝だが、とてつもなく大きい一勝」
という感じである。入玉の戦いとなった将棋そのものとともに、
この対局と渡邉勝利は棋界の歴史に残る勝負に名を連ねることになった。
次が渡邉の先手番。勝てれば雰囲気も変わってくる。
●●●○○となって6局目が羽生先手ということになれば、
14年前の名ドキュメンタリー「挑戦」の天童対決(佐藤-羽生の第七期竜王戦)
とまったく同じ展開となる。
■第五局
●●●のあと○○と連勝を返した。
終盤キワドイ感じも無くはなかったが、渡邉が好きな競馬に例えていうと、「脚色に余裕を残しながら首差」ぐらいの感じだったかな。
うーむ、どうやら羽生は起してはいけないリヴァイアサンを呼び覚ましてしまったのかもしれない。次、決められないとスンゴイ騒ぎになるよ、将棋界。
ちなみにここから週一ペースで対局が密になるのも渡邉にとっては幸便。
■第六局
第六局。後手番渡邉が急戦矢倉からのいきなり終盤戦の苛烈な闘いを制してこれで●●●○○○で最終天童決戦に。
さーて、将棋ファンにとっては最高の展開である。今やワタナベ乗り?いやいや。
「これで全くの五分」なんですよ、ホントに。
強い方が勝つのが最終局。実は羽生、●●●○○○で追い上げられるのは2度目。
前回は追い上げたのが佐藤ででも羽生が最終局勝っている。さあて今回はどうなんでしょうか。
まあシツコイけど確実にいえるのは、
「次回から羽生渡邉のタイトル戦があったとしても、羽生圧倒有利の下馬評は出ない」ということだな。
いまさらながら、中原誠の「その子(15年前の渡邉少年)に羽生君はやられるんだ」が燦然と輝く金言に思えて仕方が無い。
でもその「やられる」が今回とは限らないからね。
・・・・とまあ、ここまで徒然なるままに書いてきた。robihei的には第五局を落としたときに3割ぐらい「ヤバイかも」って悪寒はしてたけどね。
そして、昨日天童でとうとう
「中原さんの予言の”やられるんだ”が、こういう形でおきちゃいました」
ということなんであろうね、ほうほう。いやびっくりでもありがっかりでもある。
いやー、マジで羽生ファン暦15年にしてビッグ3に数えられる虚脱感である。
しかも羽生から見て○○○●●●●という将棋界タイトル戦初のビッグアップセット。
まあ、記録というものは塗り替えられたり新たに打ちたてられるものだから、三連敗四連勝が今までなかったこと自体が不思議といえば不思議。なんとなくだが三連敗四連勝は羽生がらみで起きるのではと予見していたが、まさか喰らう方で当事者になるとは・・・ちょっとびっくり。
でも、過去のガッカリ事例でも、今になってそれらをそれぞれ思い返すと、
☆最初の虚脱感(王将戦失敗)→翌年七冠とって払拭
☆二度目虚脱感(永世位先着)→翌年名人取り返して十九世に
ということになっている。だから来年も竜王戦には出ないことには先例に倣えない。また一年必死こかないといけないのね、ハブタン。
唯一の気がかりは今年の王位戦で深浦にまたしても最終局勝たれてここ一番の負けが対深浦で王位戦で2回連続したってところかな。
でもその手前で棋聖戦は●●○○○でここ一番をひっくり返して奪取したからね。
王将戦も深浦だし、もう一度心理的フォームを立て直すきっかけが必要ですな。
まあ、来年も羽生が竜王戦に出て○○○ってなったとしても「ここから道のりまだ半ば」って意見もあって当然だろうし、将棋界にまた一つタブーがなくなったというだけのことかもしれない。まあその辺は何年掛かるか知れないけど羽生永世七冠が達成される日まで忸怩たる想いは胸に秘めて応援を続けることにしましょう。
最後に渡邉永世竜王に一言。この2ヵ月半、最初の負け下モードが「死んだフリ作戦」だった訳?って突っ込みたくなるぐらいの成長振り、同慶の至りです。冗談ヌキでこの竜王戦を潜り抜けて勝ちきったことで香車一本強くなったと思う。
ただね、獲得が竜王五期だけって永世竜王って、やっぱりバランス悪過ぎるよね。羽生と戦えば羽生と互角以上に戦えるんだったら、それを他の相手や雑魚相手でもしっかり発揮して、早く名人戦で挑戦者になってもらわないとね。
生涯で20期はタイトル取らないと将棋ファンのおじさんたちは許さないからね(笑)これは羽生ファンに限った話ではなく、将棋ファンのおじさんたちの総意だと思って心して聞いていただきたい。
ともあれ、この2ヵ月半、痺れる将棋を見られて将棋ファンとしては(結果を除いて)最高でした。両対局者に感謝します。