robihei日記(将棋とか、GOLFとか、徒然に)

将棋ファン暦30余年、10年程前のNスペ「対決」を観て将棋ファン熱が更に高じ、以来ずっと棋界ウォッチャーに

将棋名人戦移籍騒動:遠因とこれから

2006-04-13 11:56:07 | 将棋な私
将棋名人戦に宿痾(しゅくあ)ともいえる移籍騒動が再発。昨日の夕刊フジの見出しなんぞ「朝日が名人戦横取り」である(笑)

この記事が第一報、続いて棋士会あとの記事、見比べると最初はびっくり、次第に落ち着きつつあるという状況か?

今日の文春の見出しとかにもあるように、週刊誌でも記事がいくつか出てるようなので、これからしばらく喧しい時期が続くことになろう。

将棋界をそれなりに見てきた人間として少しだけ整理してみることにしたい

■今回騒動の遠因

週刊誌の記事などで語られることになるが、要は社団法人日本将棋連盟の経営問題である。非開示の財務内容なので推測するにも厳しいものがあるが、公知の情報として(会長自らがコメントしている)「年間赤字1億円」というものへの対応がどういう方法でできるかということである。

3/11のコメントの余談ですこし触れたけど、旧態依然の新聞業界としては、コンテンツとしての将棋、それも最高峰棋戦の名人戦の価値は高い。但し、足元での経済条件調整はバランスが難しいと思う。

契約金=棋譜著作権料金(それも「初出掲載権」という微妙な権利)

という構図なのだが、今一番高い棋戦が竜王戦の3億強(予選・タイトル戦すべてを含む年間契約料)朝日は5億提示したとも言われるが、どうなのか?独占棋譜掲載権を取得しても、昨日の対局もそうだがリアルタイムで2chで棋譜は流出する。この問題は根深いのである。

新聞社の契約料を競らせれば、今しばらくは連盟の財政は潤う可能性はそれなりにある。但し長続きしないとも思えるのだが、その時間稼ぎの間に根本的な解決策を考える必要がある。

お隣ともいえる日本棋院(囲碁)は2・3年前に同様の経営問題が顕在化し、その事後処理の中、TOP棋士の一人であった加藤正夫氏を過労で失った。将棋界で同様の損失が出ないことを祈る。

■今後気になること

・毎日新聞社の経営問題にならないか
・もう一つ持っている棋戦、王将戦への影響

故原田泰雄九段の言葉で「界道盟」という言葉が将棋界にはある、

「将棋界」>「将棋道」>「将棋連盟」

という意味である。連盟の利害より将棋道の為に資すること、そして連盟や将棋道の本筋より、何よりファンが暖かく見守って将棋を指し続けてくれるような「将棋界の未来」の為にナニをすべきか、という本筋に戻るべきバイブル的キーワードである。

今回の名人戦移転問題は間違いなくスタートとしては「盟」の問題である。これを「道」や「界」のレベルでの良い向上策につなげていけるかどうか、米長将棋連盟会長の腕の見せ所である。

個人的には任天堂とかソフトバンクとか、そういう会社というか業界でまるまる将棋界をスポンサードしていくような構造改革が良いんではないかと思うんだけど、「勝負師の世界」を「保護対象の無形文化財」的に扱うことのリスクはあるので、痛し痒しという気もしている。