2020@TOKYO

音楽、文学、映画、演劇、絵画、写真…、さまざまなアートシーンを駆けめぐるブログ。

■ぼくは多くの河を知っている

2008-11-02 | ■拓のフォト・ギャラリー
(C)Taku

  「ぼくは多くの河を知っている=ラングストン・ヒューズ自伝 Ⅰ」

  今じゃ、どうも、メロドラマじみている。だけど、わたしがごっそり本を水中に投げこんだときには、まるで心臓から無数のれんがをぴょんぴょん取りだしたみたいだった。わたしは、蒸気船マローン号の手すりにもたれ、本を海中できるだけ遠くまで投げとばしたのだった。……わたしがコロンビア大学でもってた本の全部、それに、そのご読もうと思って買っておいた本の全部をだ。

  サンディ・フックの沖あいの暗闇のなか、動いていく水中に、本は落っこちていった。さて、わたしは、しゃんとなって、風のほうに顔をむけ、深く息を吸った。わたしは初めて海にいく水夫だった、……大きな商船の水夫。で、もう起こって欲しくないことは、なにひとつおれの身には起こらんぞ、という感じにわたしはなった。わたしは、内も外も、成人し、一人前の男になった感じだった。二十一歳。

  わたしは二十一歳だった。

  (訳・木島始)
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■7月の午後の風

2008-11-02 | ■拓のフォト・ギャラリー
(C)Taku

  本日から「拓のフォト・ギャラリー」という新設カテゴリーで、白柳拓さんの写真をご紹介します。

  他人を写すことにほとんど興味のない私とは対照的に、彼が撮るポートレートには独特な温度感があります。

  連載各回のタイトルは私が勝手につけたもので、写真家の意図を表したものではありません。ただ、それぞれの写真から感じた一言を私が書きつけることで2人のコラボレーションが成立すれば、それも面白い試みではないかと思っています。
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