2020@TOKYO

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■ショパンのバラード

2008-11-01 | ■芸術(音楽、美術、映画、演劇)
(C)Taku

  仕事が一段落した翌日、青空を眺めながら晴れがましい気持ちでショパンのバラードを聞きました。

  ショパンの作品群の中では、とりわけバラードの1番が好きです。大波のようにうねる旋律の向こうに、人が生きていることで生まれる様ざまな物語が見えるからです。

  39歳、現代人の平均寿命からすれば、まさしく夭折と呼ぶにふさわしい年齢で没したショパンですが、バラードの1番は、短くも激しい人生を駆け抜けた詩人の早すぎる辞世のように聞こえて、私はこの作品に接するたびに胸が熱くなります。

  生命の生成をたどるような冒頭、青春の輝きを謳歌するような中間部、そして、旋律の上昇と下降が激しく交錯する終結部、最後は大気に溶けるように和音が減衰していきます。

  ルービンシュタインの演奏は、ピアノの詩人が紡いだ人生の物語に寄り添いながら、私たちに限りなく深い安寧を与えてくれます。それは、何だか生きるための秩序の回復といった感じがして、今日のように、過激な仕事に疲れきった末の休日にはとても相応しいものです。
  

  
コメント (1)
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