林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

英語学習について

2010年11月09日 | 英語学習
以前書いたNHK基礎英語1に対する私の批判的評価に対し、それを批判するレスポンスをいただきました。これに対して、簡単にレスポンスをつけておきましたが、もう少し詳しく書いておきます。

英語学習者さんは次のように書かれています。
>なぜ不自然なほどにシンプルな英文を使わないかというのは、場面や機能などを考慮して文章を考えているからではないのでしょうか?

>文法を覚えさせるために「There is a cat under the desk.」と実際の使用場面やその文の現す機能を考慮しない文を音読させても、実際に学習者が英語を話せるようになるとは思えません。

つまり、「基礎英語1」の方針は、実際の場面で用いられる自然な英語を学ぶことではないのか、そして、そういう自然な英語を学ぶことによって英語を話せるようになるのではないのか。そういうご意見だと思います。

繰り返しにもなりますが、私の立場を述べておきましょう。

1) 文法力の重要性

私の英語等の外国語を教えている人ならば、どんな外国語でも、一番大事なのは文法をしっかり身につけること、そしてたくさんの単語を習得する事だと考えていると思います。話すと言うことは、今まで学習(=インプット)してきた言葉のストックのなかから、状況に合う言葉を探しだし、瞬時に適切に変形して発話(=アウトプット)するということです。そして、状況に応じて瞬時に変形する能力の核となる力が文法力です。

「実際の場面で使われる自然な言葉」を一生懸命に覚えるのは結構なことだが、しっかりとした文法力がない段階では意味がないのだということです。

2) 中1英語の教育課題

NHKの基礎英語1は中学一年生と、中学時代に英語を学びそこなった中高生や大人のためにあると言うことを忘れてはならないと思っています。

中学1年生段階では、be動詞と一般動詞の区別がつかなかったり、Wh疑問文がつくれなかったりする生徒がたくさんいるという段階です。そういったことに対する配慮は絶対不可欠です。

3) 英会話力をつけるにはやっぱり英文法です。

もしかしたら、This is a pen.なんて非現実的な文章ばかりやっているから、いつまで経っても英会話ができないと思っている人がいるかも知れません。しかし、This is a pen.とかIs this a boy or a girl? であっても、十分に英語力につながります。私の小学生英語でも、Is this a pen?とかもやっています。ただし、penと pencilを用意してのクイズ形式ですが。重要なことは、しっかりと文法を内面化することです。

日本人が英会話が苦手なのは、英語をインプットする機会はあってもアウトプット(=話す、書く)する機会がほとんどないからです。しかし、文法練習さえしっかりこなし、例文暗唱をがんがんやっていた人ならば、ちょっと海外旅行にでかけたり短期留学したりするだけで英語は話せるようになります。

逆に言えば、日本にいる間に英文法を軽視していたような人は海外旅行に出かけてもなかなか英語を話せるようにはなりません。

Philips SHE9700は、装着感に優れたヘッドフォン

2010年11月08日 | 文房具と読書
現在、このブログは「フィリップスヘッドフォンマラソン」に参加し、PHILIPS社よりヘッドフォンの商品提供をうけています。このブログでは率直な感想を書いて紹介しているというわけです。

さて今回送られてきたヘッドフォンはSHE9700というものです。前回紹介したSHE3580が入門向けとすれば、今回のはかなりレベルアップしています。中級向けのものだと言って良いでしょうね。お値段はamazon等を参照すると2600円以上くらいでしょうか。

さっそくiPod touchのお供に、様々な場所で、音楽やらPODCASTを聴いてみました。

特筆すべきは、なんといっても装着感の良さです。この手のインナー式ヘッドフォンは耳にぴったりと取り付けるので、ややもすると耳が煩わしく感じられます。前回のSHE3580は多少そういうところがありました。しかし、このSHE9700はだいぶ良いんですね。長時間つけていても不快感はあまりありません。ですから今もSHE9700で音楽を聴きながらブログを書いているという次第です。

また、小田急線のなかで英語のPODCASTを聞いてみたのですが、電車の騒音は一切気にならず音に集中することができました。以前安物のヘッドフォンで英語を聞いていたときには、全然英語が聞こえず、ついつい音を大きくしすぎ、周りの人に注意されてしまったことを思い出します。

着け心地は星5つといいたいところすが、上には上があると思いますので星4つとしておきます。

肝心の音質はどうか? せっかくフィリップスさんから商品提供された物ですから、いろいろな音楽で試してました。ポップス(ノラ・ジョーンズとSADE)、インド風ジャズ(CODONA)、チェンバロ曲(バッハ)、バイオリン曲(バッハ)、ピアノ協奏曲(モーツァルト)といったところです。

とくに注目したのは、チェンバロの低音、オーケストラの音響感、女声の通りの良さ、バイオリンの高音です。私は大いに満足しました。オケの響きも非常に良かったです。ただ一つ難点を述べると、今回あまり注目していなかったCODONAのトランペットとか様々な楽器(←よくわからない楽器を使っている)の音が今ひとつかなあというくらいでしょうか。

最後に星で評価表をつけておきます。

つけ心地       ★★★★☆
音質         ★★★★★
コストパフォーマンス ★★★★★

Anime - the philosophy of Japanese animation (Philosopher's Zone ABC Radio National)

2010年11月05日 | 教養英語
以前予告しておいた日本のアニメに関する Podcast である。オーストラリアの ABC ラジオ制作で、今回のゲストは Jane Goodall である。iPodなどに入れて聴くことも出来るし、トランスクリプションAnime - the philosophy of Japanese animationもあるので、読むことも出来る。

前回は塾生に読ませようとか、入学試験にも使われるかもしれないとか書いたが、残念ながらまとまりがなく、とくにお勧めできるような内容ではない。

日本のアニメとアニミズムの関係は何かとか、いきなり抽象的なトピックがを出てきたりしたからだ。あるいは、「超神伝説うろつき童子」という成人向けアニメの話題が出ていた。私は全く知らないものなので、困ってしまった。Wikipediaによるとアメリカ等でも人気があったアニメのようである。

podcastのダイアログによると一番有名なアニメーターが宮崎駿だということなのだそうだから、むしろたとえば「ナウシカ」かなどについて議論を深めて欲しかったと思う。

まあ仕方ないでしょう。

ワシントン・ポストの教育関連インタビューOn Education (link追加)

2010年11月04日 | 教養英語
ワシントン・ポストをみてみると、教育特集が充実しているのを偶然に発見した。様々な立場の教育関係者にたいしてインタビューをしている動画である。

写真の女性は、教師の実力を評価する新しい仕組みを支援する立場の教師として有名な人(Michielle RHEE)だと思う。話題にのぼっているのは、Waiting for Supermanという映画だが、どうやら教師関連のドキュメンタリー的映画のようだ。「不都合な真実」の監督さんのようだ。


他にもブッシュ政権時代の教育担当者だとか、さまざまな立場の教育関係者がインタビューされている。

COURRiER JAPON の日本論

2010年11月03日 | 教養英語
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 12月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
講談社


せっかくだからCOURRiER JAPON の他の時も紹介しておこう。今回取り上げるのは、「世界が出たNIPPONである」。

1. 香港からSouth China MORNING POSTによる前原外相論
とくに見るべき分析はない。前原の簡単な経歴を紹介したうえで、前原外相が民主党の中にあっては唯一の親米保守派であり、中国に対してはタカ派であると述べる。ただし北朝鮮に対しては交渉できると考えたりしているようだ、と。

2. フランスのルモンド紙による日本経済論
これも常識的な内容。GDPで中国に抜かれても日本経済の実力はなかなかなものだというもの。グローバル経済とローカル経済がすぐれているので、余りに悲観的な見方をする必要ないというもの。

3. ニューヨーク・タイムズによる円高論
円高によって 実は日本はグローバル化したり、海外進出を狙ったりすることができるのだという議論。ここで楽天の三木谷が大きく取り上げられている。ちょっと楽天=三木谷の宣伝みたいだ。楽天が世界でどのように勝負できるのか、私には検討つかないのだが。

4. ニューヨーク・タイムズによる日本のゲーム業界論
日本はかつてはゲーム業界をリードしてきたが、今では世界から取り残されているという非常に厳しい記事である。

5. 中国の『世界博覧』による[メス化していく日本人男性]
これも常識的な日本社会論である。しかし、書かれてあることまともである。


総じて言えば,これらの文章は高校生に読ませると良いのかもしれない。

クーリエ・ジャポンでポジティヴ思考記事を読むと・・・

2010年11月03日 | 教養英語
CURRiER JAPON の2010年12月号が発売されている事に気が付いた。bk1にはもうなくなっているので、大急ぎで近くの本屋に買いに言った。

最相葉月がちょっと面白い記事を書いている。New Scientistの記事を要約したものであるが、「アメリカ社会を席巻するポジティブ思考の是非」というタイトルである。

ご承知の通り、アメリカにはポジティブ思考あるいはポジティブ心理学というのはやっている。コップの水に水が半分入っているとき、もう半分しかないと嘆くのはネガティブ思考で、まだ半分もあると考えられるようになるとポジティブ思考だというわけである。

New Scientist6月28日電子版ではさらにその研究が進んでいるそうだ。

バーバラ・フレドリクソン『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』という紹介されている。ポジティブとネガティブが3対1のバランスを保てた時、これを感情の黄金比と呼ぶようである。ポジティブだけでやっていくやり方では、妄想が拡張して頭おかしくなってしまうかもしれないから、3対1のバランスに保てというのはなかなか適切なアドバイスのようにも思えた。だが、次の瞬間、あれ?!と思ったのである。

筆が滑ったのか、瞑想する人は「インフルエンザを発症する回数も減ります」とまで言われると、ちょっと首を傾げてしまう。


ポジティブだと病気になりにくい、病気になったとしても重い病気になりにくいという趣旨の文章は、今日読んだ英文にあるではないか。今日の午後予習した大学入試問題だ。国学院大学2009年の英語の問題だったはずだ。まさかこんなところで再開するとは!

ICE AGE(その2) Britannciaで調べてみると。。。

2010年11月01日 | 教養英語
昨日の続きである。ネットのMOBILEのBritannica、CD-ROMのBritannicaを用いてICE AGEを調べみるとどんなものがでてくるのか調べてみたので、今回はもう少し大きな画像を載せることにする。


Britannica (2001)はちょっと古いがCD-ROMを持っているので、まずはこれから ICE AGEの簡単な紹介というところか。背景にあるのはNational Geographicのアイスランドの噴火の写真です。(全面的にBritannicaをアップしてしまうと問題かもしれませんので、活字ではなくて画像をだしておきますね)。

ICE AGEをみると南極大陸を参照するようにでてきます。私の見るところ、南極大陸もちょっと勉強しておいた方が良いですね。できたら英語で、そうでないならば日本語の百科事典などで。受験生が勉強できないならば、英語の先生が勉強しておきましょう。


そしてもちろん見逃せないのが進化論です。ただし、進化論は日々新しい知見が入ってきますから2001年では古すぎるかもしれませんね。

あと忘れちゃいけない小氷河ですね。



「氷河(期)」は入試頻出テーマだ(追補版)

2010年11月01日 | 教養英語
早稲田大学を志望する生徒は多い。早稲田や慶應に合格したいと本気で考えている生徒には、英語の長文読解をやらせる。正確に速く英文を読む力があるかが問われている。そのためには基礎的な英文読解力を身につけたうえで、大量の英文を読むしかない。過去問研究をするのはもちろんだ。しかし、東大式個別ゼミとしては、現代的テーマに即した英文を嫌になるほど沢山読ませることにしている。

そういった現代的テーマの筆頭に上がってくるのは、もちろん地球温暖化問題などの生態学・環境問題である。英文を読みながら、こういったテーマについての常識を蓄えておくのである。(余談であるが地球温暖化については諸説あり、必ずしも温暖化説が正しいとは限らないようである。しかし私の知る限り大学入試問題では地球温暖化説が疑われたり否定されたりする文章は出てこない)。

その中でもとくに私が注目しているのは、氷河(期)に関する問題である。例えば、2010年今年の早稲田大学の文化構想学部、2005年早稲田大学教育学部(文系)、2009年の学習院大学経済学部で取り上げられた。おそらくもっとたくさんあるだろう。当然このような超頻出テーマについては、あらかじめ勉強しておくに限る。例えばどんなものを読ませるのか。(もちろん古藤晃は読んでおかなければならない。氷河期についても言及されている)。

Britannica(2001)でICE AGEを調べてみるとやや詳しく載っている。携帯電話やiPodで調べれば最新の Britannica mobileの情報も無料で読むことができる。Britannica は英米の中卒レベルの英語で書かれているはずなので、読みやすいからだ。

Britannica Mobileを一部だけ読んでみる。(残念ながら大画面で読むことはできません。モバイルだから無料閲覧がOKなのでしょう)。

「小氷河期は16世紀に始まり、一進一退しながらも3世紀にわたってヨーロッパや世界各地に広がった。ピークを迎えたのは1750年頃で、1万1700年前に大氷河期が終わって以来、氷河は最大に広がった」

小氷河期とか大氷河期とか、 1750年がもっとも寒かったとか、皆さんご存知でしたか。バッハが死んだのは1750年ですから、もしかすると寒かったから死んでしまったのかもしれませんね。

Wikipediaで氷河期を調べてみるともっと詳しい。日本語版も英語版も読んでおくべきでしょう。それに加え、Nature.comの興味深いニュース(NEWSの英語はそれ程難しくない)だとか、Scientific Americanなどでも探してみたいところです


氷河期とくれば、当然ホッキョクグマだとか人類の進化論にも触れてみたい。進化論もとてもポピュラーなトピックのようだ。(人類が人類に進化したのは氷河期の時代だと言われている。また早稲田等の大学入試の問題でも、進化論は取り扱われてきた。なお、Oxford出版のHuman Evolutionについては以前紹介した。結論的には、あまり生徒に推薦できない本だったが…)。

余談であるが、作家の安部公房の傑作SF小説『第4間氷期』というのは、氷河時代がついに終わり、人間は自ら水棲人に変容して海中を植民地化しまうという話であった。

P.S.

Institute for Ice age Studies というのがある。そのなかにはIce Age Lamps (scientific american) という記事があって、興味深い。

参考までに2009年の学習院の問題を載せておく。