昨日の夜。
仕事帰りにコンビニに寄ったら、店の前の道路の反対側に、大きなリュックサックを背負った若者が立っていた。
両手でプラカードを掲げて。
「四国」
そのプラカードには、太いマジックでそう書かれてあった。
コンビニでの買い物を終え、クルマをUターンさせると、ワタシはその若者の傍にクルマを近づけた。
そして助手席の窓を開けると、若者に向かってこう言った。
「四国までは無理だけど、因島大橋の入口までなら、いいよ」
「ありがとうございます!」
ワタシの言葉を聞いた若者は、破顔して大きな声でそう答えた。
トンボが人間に生まれ変わったら、たぶんこんな風貌になるんだろうなぁ、という感じの、大きなメガネをかけた背の高い、痩身の若者だった。
車中でいろいろと尋ねた。
滋賀県在住の二十歳。大学を休学中で、昨年は東北地方をまわっていたいう。
今回は、日本海を南下して九州へ向かうつもりだったそうだが、途中で出会った人から四国八十八ヶ所巡り・・・いわゆるお遍路さんの話を耳にしたところ、俄然興味が湧いてきてしまい、急遽予定を変更して尾道までやって来たそうだ。
・・・若いなぁ(笑)
“それにしても、参りました”と、若者は苦笑しながらそう言った。
四国行きを決めた後、自分なりにお遍路さんについて調べたそうなのだが、途中の経路については何も調べなかったという。
彼が言うには、岡山県に架かる瀬戸大橋と同じように、しまなみ海道も、てっきり一直線で四国につながっていると思い込んでいたらしい。
“まさか、島づたいに何本も橋が架かっている道だったなんて、思ってもみませんでした”
目的は明確だけど、手段はさほど考慮しない・・・・ますます若い(笑)
ほどなく因島大橋の下につくと、ワタシも一緒にクルマを降りて、歩行者専用道路の入口へと若者を案内した。
若者は、“どうも、ありがとうございました!”と、こっちが恥ずかしくなるほどの大きな声でそう礼を言うと、踵を返して橋に向かって小走りで坂道を駆け上っていった。
本当ならば、橋を渡って隣の因島か、もしくはその向こうの県境の生口島までクルマで走ってあげてもよかったのかもしれない。
でも、せっかくはじめてしまなみ海道へ訪れたのならば、一瞬のうちにクルマで通過なんかせずに、この辺りの景色も楽しんでいって欲しかった。
手段が違えば、目的を達成した時の喜びも、きっと変わってくるはずだから。
今週は、ちょっとヘビーな出来事が続いて、しんどい毎日が続いている。
本当に切羽詰まって自分のことで精一杯な状況ならば、コンビニの前で彼の姿が視界に入っても、きっと無視を決め込んでいたのではないだろうか。
それなのに、ワタシの方からクルマのドアを開けて若者を迎え入れたということは、もしかしたら、まだワタシの中に余力が残っているということなのかも知れない。
お遍路さんへと向かった彼は、そんなことをワタシに教えてくれたような気がする。
もう、四国に着いただろうか。
彼には礼を言わなければ。
あ・・・でも、連絡先を聞いていない。
いや、それ以前に、名前さえも聞いていない・・・。
まぁ、いいか。
仕事帰りにコンビニに寄ったら、店の前の道路の反対側に、大きなリュックサックを背負った若者が立っていた。
両手でプラカードを掲げて。
「四国」
そのプラカードには、太いマジックでそう書かれてあった。
コンビニでの買い物を終え、クルマをUターンさせると、ワタシはその若者の傍にクルマを近づけた。
そして助手席の窓を開けると、若者に向かってこう言った。
「四国までは無理だけど、因島大橋の入口までなら、いいよ」
「ありがとうございます!」
ワタシの言葉を聞いた若者は、破顔して大きな声でそう答えた。
トンボが人間に生まれ変わったら、たぶんこんな風貌になるんだろうなぁ、という感じの、大きなメガネをかけた背の高い、痩身の若者だった。
車中でいろいろと尋ねた。
滋賀県在住の二十歳。大学を休学中で、昨年は東北地方をまわっていたいう。
今回は、日本海を南下して九州へ向かうつもりだったそうだが、途中で出会った人から四国八十八ヶ所巡り・・・いわゆるお遍路さんの話を耳にしたところ、俄然興味が湧いてきてしまい、急遽予定を変更して尾道までやって来たそうだ。
・・・若いなぁ(笑)
“それにしても、参りました”と、若者は苦笑しながらそう言った。
四国行きを決めた後、自分なりにお遍路さんについて調べたそうなのだが、途中の経路については何も調べなかったという。
彼が言うには、岡山県に架かる瀬戸大橋と同じように、しまなみ海道も、てっきり一直線で四国につながっていると思い込んでいたらしい。
“まさか、島づたいに何本も橋が架かっている道だったなんて、思ってもみませんでした”
目的は明確だけど、手段はさほど考慮しない・・・・ますます若い(笑)
ほどなく因島大橋の下につくと、ワタシも一緒にクルマを降りて、歩行者専用道路の入口へと若者を案内した。
若者は、“どうも、ありがとうございました!”と、こっちが恥ずかしくなるほどの大きな声でそう礼を言うと、踵を返して橋に向かって小走りで坂道を駆け上っていった。
本当ならば、橋を渡って隣の因島か、もしくはその向こうの県境の生口島までクルマで走ってあげてもよかったのかもしれない。
でも、せっかくはじめてしまなみ海道へ訪れたのならば、一瞬のうちにクルマで通過なんかせずに、この辺りの景色も楽しんでいって欲しかった。
手段が違えば、目的を達成した時の喜びも、きっと変わってくるはずだから。
今週は、ちょっとヘビーな出来事が続いて、しんどい毎日が続いている。
本当に切羽詰まって自分のことで精一杯な状況ならば、コンビニの前で彼の姿が視界に入っても、きっと無視を決め込んでいたのではないだろうか。
それなのに、ワタシの方からクルマのドアを開けて若者を迎え入れたということは、もしかしたら、まだワタシの中に余力が残っているということなのかも知れない。
お遍路さんへと向かった彼は、そんなことをワタシに教えてくれたような気がする。
もう、四国に着いただろうか。
彼には礼を言わなければ。
あ・・・でも、連絡先を聞いていない。
いや、それ以前に、名前さえも聞いていない・・・。
まぁ、いいか。
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