虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

ライク・ア・サブタレイニアンズ27

2012-02-20 21:38:00 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
ボクは流れてゆく窓越しの景色を眺めながら、ぼんやりと
雪音がくれた包みを開いてみた
中身は、紅茶のペットボトルが1本と、そして・・・
マクビティのチョコビスケットが・・・・・・入っていた
そう、二人で初めて買い物に行ったあの時の・・・・
急に涙が溢れてきた雪音・・・・憶えていたんだ・・・
感傷に浸る暇も無く、バスはぐんぐん走り続けている
とりあえず紅茶を一口飲んでみたけれど情けないことに
涙は止まる気配を見せなかった
泣きながらビスケットの箱を開けた・・・同じだ
・・・あの時が鮮明に蘇ってきた
甘いはずのビスケットは、もう、涙も鼻水も
ぐしゃぐしゃになって、少ししょっぱい味がした
もう一口紅茶を飲みながらつぶやいてみた、さよならボクの街、
・・・・・さよなら雪音・・・・

ライク・ア・サブタレイニアンズ26

2012-02-20 16:05:26 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
雪音だ、雪音がそこにいる
ボクは、すぐさま駆け寄ったけれど気の利いたことは
何もいえなかった、雪音はにこにことボクを見ていたけれど、
どこかとっても哀しそうな眼をしているのがわかった
ボクは雪音の深い色の瞳と、雪音の顔をしっかりとこの眼に焼き付けようとした
すると雪音が「ミノルさん、これ、バスの中で食べて」と言って
小さな紙袋を渡してくれた、その時発車時刻になり、ボクは雪音を引き寄せ、
おもいっきりきつく抱きしめた 抱き締め合ったまま、時間が止まればいいと思った
ミノルさん、3年後だよ」「うん、わかった、約束だ」ボクたちは3年後の再開を約束していた
「時間だ」ボクは最後に雪音の頬と髪に触れ、その感触をその手に留めてバスに駆け込んだ
窓際に座ったボクを、見えなくなるまで雪音は見送ってくれた
バスは先を急ぐように発車した バスには感情がないらしい
バスはものすごいスピードでボクたちの(だった)街を離れて行った
少し眠った、それから雪音がくれた包みを開いてみた