ちょっといいな、ちょっと幸せ

映画、アート、食べ歩きなどなど、私のちょっといいなを書き留めました。

MICHAEL KENNA Landscapes and Memory

2010-03-04 21:22:56 | 芸術鑑賞
  
 札幌宮の森美術館で開催中の「マイケル・ケンナ写真展 風景に刻まれた記憶」。美術館2階では、北海道の風景写真と撮影風景のDVD上映、1階では、世界各地で撮影された写真が展示されています。(2階には、森山大道の写真も展示されています。)
 マイケル・ケンナの写真は心に響きます。静かで慎ましい。1枚1枚を見て歩きながら、記憶を辿っているような感覚になります。厳冬の風景は、静寂で凛々しく、そっと語りかけてくるようです。耳を澄ましてその言葉を聞き取ろうとする、五感が冴えてくるような感じがします。地上を覆い尽くした雪の上に残されたポールや鉄塔、柵、樹木は、ひっそりと佇み、不思議な安らぎを与えます。糠平湖のタウシュベツ橋梁は幻想的で、気配が伝わってきます。屈斜路湖畔の木は、長い時と風雪に歪んで盆栽のようです。凛とした老女の背中を見ているようでもあります。その場所で過ごした時間が凝縮されて、ひとつの生き様を見せているようにも感じます。
 写真には撮る人の心情が反映されます。マイケル・ケンナの写真が素晴らしいのは、自然に真摯に向かい合う、被写体に敬意を表して撮影する姿勢にあると思います。それは、厳しい自然の中に長時間身を置き、ひざまづいて撮影する様子からも伺えます。被写体を敬う謙虚な姿勢を写真越しに感じます。自然との対話、それが写真から囁き声のように聞こえてくるのです。   ~5月30日まで。


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