ちょっといいな、ちょっと幸せ

映画、アート、食べ歩きなどなど、私のちょっといいなを書き留めました。

コーヒーポット

2009-08-28 21:10:30 | 陶芸
  
 コーヒーポットとカップ&ソーサーを作りました。釉薬はうのふ釉。酸化焼成。
 ポットは雑誌に掲載されていたのを真似して作りました。特に注意した所は、注ぎ口の形と位置です。カップは、以前展覧会で観て美しさに感動したコーヒーカップを思い出しながら、薄さにこだわって作りました。

無花果のケーキ

2009-08-26 10:17:18 | お料理・お菓子作り
  
 無花果のケーキを作りました。作り方。まず、スポンジ生地を焼いてよく冷まします。生地を2枚に切って、間に泡立てた生クリームとスライスした無花果を挟みます。表面に生クリームを塗って、カットした無花果を上に並べたら出来上がりです。無花果は地元産の新鮮なもの。無花果の香りと食感、美味しさをそのまま味わえるシンプルなケーキです。

夏の味わい

2009-08-24 11:27:47 | お料理・お菓子作り
   
 「冷や汁」を作りました。作り方。胡麻を炒ってすり鉢ですります。すり鉢に味噌と少量の砂糖を入れて、さらにすり混ぜます。輪切りにしたキュウリを加えてあえるようにして混ぜ、キュウリがしんなりしてきたら、冷水を加えてのばします。器にうつして、刻んだ青シソを加えて出来上がり。手打ちうどんやそうめんと一緒にいただきます。
 「冷や汁」は、母方の郷里の夏の家庭料理です。胡麻をするのが楽しくて、母を手伝い覚えたものです。暑い夏、さっぱりしたうどんやそうめんに飽きてきた今頃に、思い出したように作ります。「冷や汁」と並んでいるのは「茄子と玉ねぎと油揚げ」の醤油味の汁です。これもまた美味しい夏の味わいです。

3本のワイン

2009-08-19 23:12:48 | ワイン
  
 最近飲んだ3本のワインがとても美味しかった。
 1本目は先月末の「Marcel Deiss Alsace 2007 」。2本目は今月の初めの「Collio Pinot Grigio 2007」。3本目は先頃開けた「Riesling Zellenberg Domeine Marc Tempe 2006」。一日の終わりに飲むワインが美味しいと、なんということのない一日が特別に思えてきます。ゆるりゆるりと流れる時間は心地よく、このひと月ほどは愉しく、ささやかな幸せを感じ過ごしました。こういうのっていいなと思います。一日の終わりにこんな時間を持てたなら、他に何を望みましょうか。

インストール

2009-08-17 09:36:00 | 読書
  
 「インストール」綿矢りさ著、河出書房新社発行。一気に読みました。読まされてしまったという方が合っているかもしれません。
 高校生活から脱落することを決めた朝子が、クールな12才の小学生に誘われて風俗チャットのアルバイトをするひと月ほどを描いた作品です。さらりと流れる文章は、肌に触れるほどに近く、朝子の周りの籠った空気の温さや湿り具合、匂いまでを感じさせます。さり気ない言葉が積み重なって、人物に、物語に、厚みを増していきます。学校をサボって、部屋の中の物を全部捨てて、秘密を持って。そんなことも、不安とか不健全さとか、ネガティブな印象を全く与えない。朝子の感じる世の中の違和感には瑞々しさや懐かしさを、不器用さと無謀さは新鮮で羨望を感じました。テンポの良い会話と展開は楽しかった。物語は、子どもの頃夏休みが終わる時に感じたような、一抹の寂しさと始まりを予感させながら終結しました。
 「インストール」を読み終えて、翌日は「蹴りたい背中」を読みました。そして今日の読み物は「夢を与える」。

湖のほとりで

2009-08-14 17:19:04 | 映画
   
 北イタリアの小さな村。山に囲まれた美しいこの村では、住民皆が顔見知り。そんなのどかな村の湖のほとりで、アンナ(アレッシア・ピオヴァン)の遺体が見つかります。若く美しいアンナは、誰からも好かれていました。殺人事件として捜査の陣頭指揮をとる警部のサンツィオ(トニー・セルヴィッロ)は、争った跡がないことから、ごく親しい者の犯行と推測します。そしてアンナを巡る人々の証言から生前のアンナの実像に迫りつつ、容疑者を絞り込んでいきます。
 美しい湖のほとりの風景が心を捉えます。人々の心の動きが、静かに切なく描かれています。アンナの死をきっかけに、それぞれの抱える問題が浮き彫りになっていきます。何事も無いように暮らしながら、一番身近な人に打ち明けられずにいる秘密。心を固く縛りつけていた紐の結び目が徐々に弛んでいくように解けていきます。 映画を観終わった後、小さな引っ掛かりが残りました。いまひとつ、理解しきれない部分であり、美しい映像と共にもう少し余韻に浸りたい部分でもあります。こういう引っ掛かりを残してくれる映画はいいなと思います。

パスハンティング

2009-08-10 13:54:03 | おでかけ
 
 ロードサイクルで、標高600m余り高低差300mほどの峠越えをしました。トンネルが開通するまでは国道として使われていた山道で、完全舗装されたコースです。ひんやりと湿った空気が気持ちいい。きつい上り坂はほとんどなく、みずみずしい緑と、小川のせせらぎ、鶯の鳴き声、自転車との一体感を楽しみました。峠で休憩をとるサイクリストやランナー、ハイカーたち、誰もが清々しい。下り坂は怖いほどのスピードを押さえることに終始して緊張の連続でした。途中ですれ違うサイクリストたちが片手を挙げて挨拶してくれるのがうれしかった。
 ロードサイクルを始めたのは、今月に入ってから。いつもジョギングするサイクリングコースで、風を切って走るロードサイクルに魅力を感じました。自転車はシンプルな乗り物で、自分の力が全ての等身大の乗り物です。自分の力で走ること、いつも風を感じていられることはとても気持ちよく、素直な気持ちにしてくれます。

ヘルシンキ・スクール写真展 

2009-08-07 08:30:55 | 芸術鑑賞
  
 銀座・資生堂ギャラリーで開催中の「ヘルシンキ・スクール写真展 : 風景とその内側」。ヘルシンキ・スクールとは、ヘルシンキ芸術デザイン大学から選りすぐられた学生、卒業生、教師からなる写真家のグループを名付けたもの。この展覧会では、4人の女性アーティストによる写真が展示されています。
 ティーナ・イトコネンの作品は、一目で好きになりました。氷河は青白い輝きを内面から放っています。空と氷河と水面が静かに調和して美しい。先住民の住む家は、人も住まいも温かでよかった。
 サンドラ・カンタネンの作品は、現像前にデジタルでネガを処理するという写真です。やわらかい色彩にそっと添えられたような植物が可憐で水彩画のよう。
 スサンナ・マユリの作品は、物語の一部を見せられているようです。ギャラリーに入って最初に見る「満潮 2006」に魅了されます。「双子」は、水中で手を取り合う二人の女性の向こうに森。幻想的なこの写真は、プールの底に森の写真を貼って撮影されたものだといいます。
 アンニ・レッパラは、過去に使われていた物や場所など、人々が懐かしく思うようなものを撮影し、喪失感や時間の経過、不安などをシンボリックに表現するのだといいます。何かを見落としているような、そんな気持ちにさせられます。
 4人のアーティストの世界観がうまく調和した写真展だと思いました。透明感と繊細な光の捉え方に共通点を感じます。北欧の爽やかな風に吹かれたような清涼感がありました。    ~8月9日まで

指輪リフォーム

2009-08-05 22:05:37 | お気に入り
   
 リフォームの指輪が仕上がってきました。プラチナのフレームに大小のダイヤを1つずつ。胸の前で、両の手でダイヤをやさしく包み込むイメージの、シンプルなデザインです。
 もとは、成人のお祝いに両親から贈られた、ひと粒ダイヤのネックレス。自分が大切に育ててもらったことを思い出す物のひとつであり、重ねてきた歳月を振り返る物のひとつでもありました。年を重ねるごとに物が増え、忘れかけていました。物がある幸せも、物を持たない幸せもわかるようになりました。大切なものだけ、必要なものだけあればいいと思えるようになりました。

夏時間の庭

2009-08-03 15:09:23 | 映画
  
 パリ郊外にある、著名な画家ポール・ベルティエがアトリエとして使っていた瀟洒な家。いまはポールの姪、エレーヌ(エディット・スコブ)がひとりで住んでいます。ある夏の日、家族が久々に集まりエレーヌの誕生日を祝います。エレーヌは、自分が死んだら家も美術品コレクションもすべて処分するよう長男フレデリック(シャルル・ベルリング)に話し、ポールのデッサン集だけはバラバラにしないようにと念を押します。一年後、エレーヌが急逝します。愛着ある家や遺品を手放すことをためらうフレデリックでしたが、三兄妹それぞれの現実や、莫大な相続税という現実問題に直面して、美術品は美術館に寄贈し、家は売却することになります。
 コローやルドンの絵、ブラックモンの花瓶、ドガの彫刻、マジョレルの机、ホフマンの戸棚がさりげなく飾られ、使われている家。陽光溢れる夏の庭が美しい。長い歳月をかけて築き上げられた麗しい世界に、相続税や売却といった現実に虚しさを感じます。邸宅から美術品が運び出される場面は、大切な思い出が剥ぎ取られていくよう。お手伝いの女性がエレーヌを思い出すものとしてブラックモンの花瓶をもらっていく場面では、花瓶が花瓶としてこの先も大切に使われていくことに、「ああ、よかった」などと思ったりしました。物語は季節が移ろうように淡々と進み終ります。晩夏に感じる哀愁と、草生した青い匂いが残りました。

 夏が来る度に思い出されるのは、生まれ育った家の庭の懐かしい風景。そして改めて読みたくなるのが、湯本香樹実著「夏の庭」です。「夏時間の庭」は、夏が来る度に観たくなる映画になりそうです。