ちょっといいな、ちょっと幸せ

映画、アート、食べ歩きなどなど、私のちょっといいなを書き留めました。

DOMANI・明日展 2009

2010-01-19 16:33:06 | 芸術鑑賞
  
 国立新美術館で開催中の「DOMANI・明日展 2009」。文化庁の在外研修制度(新進芸術家海外研修制度)により、海外派遣された若手芸術家の中から選出された12名による展覧会です。絵画、写真、立体、インスタレーション、映像と多岐にわたった作品が、広く高さのある白い空間に伸び伸びと、ゆったり展示されています。
 栗本夏樹の作品は、伝統的な素材と手法、現代的な素材と手法を融合させた漆芸です。沈金や蒔絵にみられる日本独特の技法は凛として美しい。「祈る形Ⅲ」「祈る形Ⅳ」は、乾漆に漆塗りした、黒と朱色の作品。つぼみのような、合掌しているようなたおやかな佇まいは、生命の灯火のように感じられ、静かで厳かな気持ちになりました。
 伊庭康子の作品は、クッションや磁器の静物画です。身の回りの物の質感を確認するための試みとして、”質の在処と光=反射光”を描いているのだといいます。モチーフの立体感と質感、光の捉え方が素晴らしく、気品があります。オーガンジーに刺繍が施されたクッションの絵は、柔らかい布の表面と起毛する繊維、光と空気を感じます。見ていると、触れているような感覚になります。
 呉亜沙の作品は、絵画と人形。「自分と他者」をテーマに、あたたかい絵肌とやわらかな色彩で、自身の投影である少女や、他者の投影であるウサギを描いています。ウサギは呉のルーツである朝鮮半島の地図の形からきているのだといいます。純粋で可愛らしい。素直に共感できる作品です。
 「高野浩子」の作品は、人物の彫刻です。テラコッタの肌合いと、ふくよかで美しい姿に心を打たれます。「雲の依代」の優美で毅然とした横顔にうっとりとしました。    ~1月24日まで