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2009年度作品。アメリカ映画。
イタリアが世界に誇る映画監督、グイド・コンティー二。だが豊かなはずの想像力が突如として消え果てた彼は、9作目となる新作の脚本を一行も書けずにいた。決まっているのは主演女優だけなのに、刻々と迫る撮影開始日。追い詰められた彼は、ついに新作の記者会見から逃げ出し、海辺のホテルに身を隠す。そこで人生に影響を与えた美しき女性たちの幻想に逃避し、現実世界では呼び出した浮気相手と妻に救いを求めるグイド。だが間もなく、プロデューサーに居場所を突き止められた彼は、また映画製作という戦場に連れ戻されてしまう…。(NINE - goo 映画より)
監督は「シカゴ」のロブ・マーシャル。
出演はダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール ら。
お話という点から見るなら、非常にうすっぺらい作品だと思う。
クランクインも近いのに脚本を仕上げていない映画監督を主人公に、彼の不倫劇と、むかしの女たちとの思い出を描く。内容としてはそんなところだ。
オリジナルの「8 1/2」を見たことはないが、それだけ聞けば、それなりにおもしろそうに見える。
だがドラマチックで、盛り上がりがあるかと言ったら、そうでもない。
不倫劇のため、修羅場っぽいのはあるのだが、描き方としては弱いし、恋愛ものとして見ても、情感には乏しい。
ラストだって中途半端だ、と僕は思う。
あれだけのメンツが一堂に会しただけに、かなりすばらしいラストが待っていると期待していたのだけど、あまりに尻切れとんぼで、がっかりしてしまう。あれはかなりもったいない。
だがお話としてではなく、ミュージカルという点で見るなら、話はまた別である。
ミュージカルと言えば、登場人物が急にセリフを歌い出すというイメージが強く、引いてしまって入り込めない作品もあるのだけど、この作品はそんなこともなかった。
歌とセリフの境目をはっきり区別していて、歌い出す場面も自然な流れの中で描いている。
そのため、すんなりと音楽とドラマに入っていくことができるのだ。
これは演出がうまい証拠でもあるのだろう。
そういった演出もあり、劇中の音楽をすなおに堪能できる。
ペネロペ・クルスは、色っぽく、音楽だけでなくビジュアル的にも魅せてくれる。このあたりの存在感は、さすがだな、と感心する。
ケイト・ハドソンは、ノリノリでポップな感じが楽しげで、聴いていても心地いい。
マリオン・コティヤールの一つ目の歌はしっとりとしていて、聴かせるものがあるし、二つ目の歌は情念を吐き出すかのようで雰囲気がいい。
またダニエル・デイ=ルイスも、苦悩を吐き出すような歌いっぷりが印象的であった。
そんな中で個人的にもっとも気に入ったのは、ファーギーである。
彼女の砂とタンバリンを使った歌の演出は本当にかっこよくて、見応えも抜群である。
歌そのものもパワフルで、それゆえに強く心に響いてならない。
スタッフロールのときにも彼女の歌は流れたが、ビジュアルがなくても、充分心に届く歌となっている。
僕はソロとしてのファーギーはほとんど聴かないし、BLACK EYED PEASもそこそこという程度にしか聴かない。
それだけに、彼女がこんなにも優れた歌い手だったのか、といまさらのように驚いている。
僕は彼女を見誤っていたかもしれない。
ともあれ、歌に関してだけ言えば、本作はきわめてすばらしい作品である。
見て良かった。そうすなおに思える一品だ。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
製作者・出演者の関連作品感想
・ロブ・マーシャル監督作
「SAYURI」
・ダニエル・デイ=ルイス出演作
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
・マリオン・コティヤール出演作
「パブリック・エネミーズ」
・ぺネロぺ・クルス出演作
「ボルベール<帰郷>」
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「あるスキャンダルの覚え書き」
「007 カジノ・ロワイヤル」
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「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
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