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カンザスの大平原のまんなかから大竜巻で家ごと見知らぬ土地に飛ばされたドロシー。ヘンリーおじさんとエムおばさんが待つ故郷へ戻りたい一心で、どんな願いも叶えてくれるという偉大なる魔法使いオズに逢いにエメラルドの街を目指す。頭にわらの入ったかかし、心臓がないブリキの木こり、勇気がほしいライオン。仲間とともに困難を乗り越える一行の願いは叶えられるのか?柴田元幸の新訳による不朽の冒険ファンタジー。
柴田元幸 訳
出版社: KADOKAWA(角川文庫)
有名な作品であるのに、今まで読んでこなかった作品だ。
ある程度の流れは知っているが、実際読んでみると、いろいろな発見がありおもしろい。
一度読んでみてよかったと、すなおに思えた。
まず内容自体が楽しめる。
竜巻に巻き込まれて、異世界に飛ばされたドロシーは故郷のカンザスに帰るために、大魔法使いのオズに会いに行く。その旅路の途中、わらのかかしや、ブリキの木こり、臆病なライオンと共に旅をすることとなる。そういう話だ。
道中にはいろいろな困難が待ち受けていて、冒険譚といった趣が出ているのが良い。
「はじめに」で書いてあるように、「今日の子どもたちにひたすらたのしんでもらうために書」かれており、エンタテイメントな雰囲気がよく出ている。
それにキャラクターが立っているのもまた良いのだ。
カンザスにドロシーが戻るまでの、パーティたちの友情は心温まるものがあった。
それ以外でも、児童文学らしく、教訓的な要素も含んでいる。
そういう教訓ってのは下手したら説教くさくなりかねない。
だけど本作では、それを押しつけがましくなく描いており、そのあたりに作者のセンスが光っている。
かかしは脳みそがほしいと言い、木こりは心臓がほしい、と言い、ライオンは勇気がほしいと言っている。
だがそれは訳者も指摘していることだけど、それぞれのキャラクターたちが最初からすでに持っているものでしかないのだ。
かかしは困難をクリアするために、いろいろなアイデアを出しているし、木こりは心優しいところを見せている。ライオンだって、仲間を救うために敵に勇敢に立ち向かっている。
つまるところ、自分の魅力は、当の本人たちにはなかなか気付き得ないということなのかもしれない。
そして自分たちの能力に自信を持つきっかけは、他人の後押しであるのかもしれないのだ。
そんな展開を読んでいると、嘘も方便、ということわざを思い出す。
何にしろ楽しい一冊である。
長く読まれるに足る作品。そう素直に思えた次第だ。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
オズの魔法使いについて書かれていらっしゃるので、
コメントを書きこみました
ジュディ・ガーラント主演の映画版も、子供の時に観て
今でも、年に数回はDVDを観ていたりします
原作も子供の時に読んだのですが、映画だと
ルビーの靴が原作だと擦り減らない銀の靴だったのが
子供心に、なぜかビックリしてしまっていました
コメントありがとうございます。
映画の方は未見ですが、この作品ならたぶん楽しい映画になっているのだろうな、と感じました。
いつかの機会に見てみたいものです。靴の違いにも注目しながら。