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どんどんおもしろくなる2歳のむすめさんとの日々をつづります。

小さなサクセスストーリー

2006-11-11 | 日々
このお話は、もみじ饅頭に全力を注いだ、
私と支店長の小さなサクセスストーリー。

はじまりはじまり。
    
          *

この日、私には、どうしてももみじ饅頭が必要でした。
明日の会合になくてはならないのに、それがまだ見つかっていなかったのです。

          *

午前。
お客さんはぽつりぽつり。
問い合わせの合間に、インターネットでの散策戦争が始まりました。
各有名デパートのホームページをくまなくチェック。

でも決して例の上司には見つかるわけにはいかない。
営業時間中にもみじ饅頭を探していることがばれたら、
その後の散策がむずかしくなる。
なんとしても見つかってはいけない。

常に左からの気配に細心の注意を払いながら、
さらに緊急事態に備えて予約画面も開きながら、
散策を続けます。

しかし、午前中、もみじ饅頭の情報は何一つ得ることができませんでした。

          *

ランチタイム。
自由行動が許される唯一の1時間。
名駅へ行こう。そう決意しました。
栄よりも名駅のほうが、具体的にあてがあったからです。

1時間で昼食ともみじ饅頭をなんとしてもゲットしなくては。
5分間の地下鉄移動時間中、名駅散策計画を練ります。
あっちの出口から出て、名鉄地下街に行って、高島屋に行って、
名駅内のキヨスクとお土産屋をまわって、
えきめんでラーメンを食べよう。

まずは名鉄地下街。あれ?ない。
次に高島屋。やばい、ない。
次はあんま期待できんけどキヨスク。やっぱない。
お土産屋、お願い、ここにいて!!はぅ…ない。

ピンチでおろおろするも、あと20分しかない。
ごはん食べなきゃ。
大好きな醤油ラーメンを食べながら、
どうしようかどうしようか次なる作戦を練ります。

          *

午後。
少しお客さんも増えてきました。
明日の会合が刻々と迫ってきます。
もうのんびりしている時間はありません。
昔ラーメン屋の社員さんが言ってたのを思い出しました。
一番早い情報は口コミだって。

近づきやすい同期や先輩に助けを求めることにしました。
でも、誰に聞いても、なかなか確かな情報を得ることができません。
先輩が、「ここは年の功で支店長に聞いてみたら」というアドバイスをくれたので、恐れ多いも支店長にきいてみました。
しかし、残念ながら、支店長も、分かりませんでした。

このときはまだ、この支店長が、救世主となることに、
まったく気づいていなかったのでした。

           *

徐々にお客さんも増え、本業がいそがしくなり、
もみじ饅頭散策ができなくなり、
あせりながらも業務に取り組みます。

営業後、1軒くらいなら見にいけるかな。
それでなかったらしょうがない。秋限定商品でごまかそう。
私は少しあきらめかけてきました。

一瞬、お客さんが途切れました。
そのとき。
「誰かー!もみじ饅頭売ってるところ知ってる人ー!」
支店長が店の人みんなに呼びかけてくれたのです。
例の上司も、支店長がその気なら、もう味方です。
支店長…ありがとうございます!
見つかるかもしれないと、このときもう一度希望を持ち直しました。

           *

土曜日の夕方。
お客さんがどんどん来店されます。
支店長の呼びかけもむなしく、スタッフは業務でいっぱいいっぱい。
私も、業務に追われていました。

すると、いそがしくパンフレットとパソコンに向かう私の元に、
支店長がやってきて、
「俺に任せろ。おれが、お前の代わりにもみじ饅頭見つけたる。」
そう言って支店長は満面の笑みでにっこりと微笑みました。

支店長…。
すごくすごくかっこいいです!!

その後、遠くから、
「あのー少々お伺いいたしますが、そちらに広島のもみじ饅頭は置いていらっしゃいますでしょうか。」
という声が何度も聞こえてきました。
支店長は、私に代わってあらゆるデパートに電話をかけてくれていたのです。
感動して泣きそうにうれしかったです。

           *

営業時間が終わり、午後8時を過ぎた頃。
支店長は再び私のもとにやってきました。
「きゃみ(私)ごめん…。奥さんから電話かかってきたから帰らなかん。もみじ饅頭見つけれんかった…。」
手には走り書きのデパートリストを握り締めて。
「まだかけてないとこもあるでさ、営業時間もう終わってるけど、電話ならつながるかもしれんでかけてみ。星が丘の三越ならあるかもしれん。」
そう言い残して、支店長は去っていきました。

支店長、本っ当にありがとうございます。
なんて素敵な支店長に恵まれたんだろう。
私はもう十分でした。

せっかく支店長ががんばってくれたんだ。
最後までがんばろう。
希望を胸に、受話器を取り、星が丘の三越の電話番号をダイヤルする。

「はい、三越星が丘店警備室でございますが。」
警備員のおじちゃんだ。
やっぱりお店はもうつながらないのかな。
「そちらにもみじ饅頭が置いているかどうか分かりませんでしょうか。」
「今社員のほうに回しますのでね、少々お待ちくださいね。」
やった!つながる!
「あのー少々お伺いいたしますが、そちらに広島のもみじ饅頭は置いていらっしゃいますでしょうか。」
お願い!頼むからあって!

「はい、藤い屋というお店のもみじ饅頭を取り扱っております。8個入りで525円で、ただいま10箱ほど在庫がございます。」

!!

サクセス!
支店長、会合のみんな、やったよ!
あったよもみじ饅頭!
「本当ですか!?ありがとうございます!明日お伺いします!」

            *

こうして、無事、念願のもみじ饅頭にありつくことができました。
支店長と私の小さなサクセスストーリー。
もみじ饅頭に全力を注いだ、とある1日の物語。
支店長、ありがとうございます。
会合、でら楽しかったです。