ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

136 英語にさようなら 鳥飼玖美子

2010-08-14 13:49:35 | た行
 図書館より。実日新書。何かと思ったら実業之日本社ね。

 同時通訳の草分けである著者が今までに溜めたフラストレーションを吐き出した本。
「どうすれば英語ができるでしょう」「娘の花嫁修業に同時通訳をさせたい」「留学について知っていることをすべて教えてください。返信封筒なしで」などお茶の間のアイドルになってしまったために吹っかけられる不快な出来事を書き散らす。
 大手洋酒メーカーに、キャンペーンレディーと同じ鹿鳴館ドレスを着るように言われ、頑として断る。断ったら通訳をはずされた。
 飛行機の中で寝ているところを腕をつかまれて起こされ、サインを強要されるなど同情できる部分はある。
 いずれ英語を話すお姉ちゃんとして軽く見られ、一般人からは特別な人扱いされ、仕事はハードで、言いたいことがたまっていたのであろう。

 ただ、小さいころから英語の付き合いを詳述しており、記録の価値は高い。
*democratの"mo"にアクセントを置いて発音したらみんなニコニコする。わけを聞いたら「間違った発音がかわいい」。
#「私はきちんとした正しい英語を覚えたくて、アメリカに来たんじゃない。かわいい英語なんてしゃべりたくないわよ!」
*ホームステイ先でdidn'tの発音を寄ってたかって直された。
#こんなちっぽけな単語が、今まで正確に発音できていなかったなんて、と悲嘆にくれながら、私は体中を耳にして音を聞きわけようとした。

 カバーには別の本『玖美子のおしゃべり』の写真がある。悪相だ。アップを表紙にするあたり、アイドルの本としての販売戦略が見える。
 なんかひどいことを書いているが、現在は英語の偉い人として活躍中である。若気の至りとして思い出したくない本なのではないであろうか。