ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

135 パーフェクトプログラム 田村明子

2010-08-10 07:24:07 | た行
 図書館より。新潮社。

 バンクーバー五輪に挑む、浅田真央、高橋大輔らフィギュアスケーターたちの思いを描く。
 著者の立ち位置が絶妙である。通訳。これほど選手に密着した位置はない。選手が目の前でしゃべっているような臨場感だ。フィギュアを長年見ていた人のようで、伊藤みどりさんがどんなにすばらしい選手か、この技を成功させた(下りた、という表現をする)のは世界に何人だけか、などすらすらと語る。

 ただしもう完全に協会(?)よりの立ち位置なので、スキャンダル報道された会長や城田コーチのことは決して悪く言わない。

 フィギュアは高難度なジャンプに挑むべきなのか、それともリスクを排除するべきなのか。プルシェンコが発言し物議を醸した問題だが、これはおもしろい。著者は前者の側に立っている。

 この本の前半は五輪前に書かれた。このため、偶然かもしれないが、「この先どうなる?」と読者をはらはらさせるような文章表現になっている。
 なんだかんだ言ってお勧め。