ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

62 言葉のウラ読み面白事典 三上文明

2009-01-03 21:43:13 | ま行
 主婦と生活者、TODAY BOOKS(片仮名の表記は見つからなかった)。

 当たり前のことを言っているだけの本。

「この件は一つ考えておきましょう」→よく使われる遠回しの断り文句
「念のため、一言付け加えますと」→それこそが相手の記憶に残って欲しい大切なこと
「ここだけの話にして欲しいのですが」→ウワサが広まったとすればお前のせいだ
「今回のことは水に流そうじゃないか」→こちらから頭を下げたくもない
「彼は本当はすごい人ですよ」→彼がすごい人だとわかる、自分もすごいだろう

 第一章では、上記のように一つの言い回しに同居する、裏と表の気持ちを言い当てている。ここまではいい。しかしそれ以降になると、表裏もなく、ただ言い回しの心理を解説している。そのほとんどが言うまでもないことだ。

 書名に「面白」とあるのはおもしろくない、の法則。でも筆者が書名の決定権を持っていない場合もあると聞くので、これは留保しておきましょう。

57 頭のいい夫婦気くばりのすすめ 松本光平

2008-12-26 08:44:04 | ま行
 ソフトカバー、コストトゥーワン。

 私なりにまとめる。
・男の脳と女の脳は違う。
・そもそも異星人同士と考える。
・変えられるのは自分だけ。
・男は視覚、女は聴覚と触角に敏感
・愛のない食事はエサである

 ドッグイアー。

#変えられないのは過去と他人、変えられるのは未来と自分

#人生のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。(ウィリアム・ジェームズ)

#妻が夫に期待すること 愛情表現/会話/誠実さ/経済的安定/子供との交流
#夫が妻に期待すること 性的充足/遊び仲間であること/魅力的であること/内助の功/賞賛の声
(ウィラード・ハーリ)

#声の質、テンポ、間、イントネーションなどの要素を「プロソディー」とい(う)

#遠くが見える男と近くが見える女
(男性の眼球は大きく奥行きがある。女性の目は周辺視野が広いので探し物が得意。)
#異常音に気づく男性と音感がよい女性
(女性に極端な音痴はいない。男性は異常音の方角を聞き分ける。)




21 科挙の話 村上哲見

2007-03-21 20:53:47 | ま行
 副題、試験制度と文人官僚。講談社現代新書。

 まず構成がすばらしい。序章の1節の題名は、「都大路の春」だ。
 辛酸をなめるような受験勉強のあと、ついに合格する。一団は知貢挙(科挙の最高責任者)を訪れ、感謝の辞を述べる。これが三日続く。
 続いて宮殿で宰相(今でいう総理大臣)から声をかけてもらう。
 ハイライトは長安、曲江での大祝宴。舟遊び。楽人。妓女。いつの間にか集まる群衆。将来のエリートの玉の輿に乗ろうと、若い娘が集まる。
 この宴会を離宴と言う。これで一同は解散し、一度郷里に帰り、文字通り錦を飾るからである。

 著者は教科書を書くことに慣れているのであろう。まず一番華やかな場面で始める構成。とりあえずざっくり説明し、詳しいことは後で説明するその手管。いくらでも難しく書けるテーマを、ここまでわかりやすく書けるとは脱帽。
 また、「~の話」という書名がいい。

 ドッグイアー。

 1180年、成都での「雨かんむり」をめぐるトラブル。これは引用できる分量ではないので、ぜひお読みいただきたい。知識人のユーモアに参った。

#(杜甫は)杜工部と称されるけれども工部に勤務した経験はなく、名目だけの官位をもらっていたのである。

 韓愈、白居易、文天祥、蘇東坡、王維、欧陽修(これは私はよく知らない)ら、有名どころがさすがにごろごろ出てくる。

8 航海術 茂在寅男

2007-01-14 20:53:41 | ま行
 副題、海に挑む人間の歴史。中公新書。

 お勧め。
 初版は昭和42年で、私が生まれる前だ。なんせ著者は大正3年生まれ。
 筆致は軽快で迷いがなく、船乗りのロマンティシズムをも感じさせる。
 沿岸航法、推測航法、天文航法、電子航法と進んできた人類の歩みを明確に述べる。大航海時代、バイキングはもちろん、遣隋使、コンチキ号、ジョン万次郎も出てくる。海の男オールスターという風情である。

 個人的になるほどと思ったのは、緯度を計るのは比較的容易だが(北極星でわかる)、経度を計るのに人類は苦労してきたという点だ。

 ドッグイアー。

#平清盛は日宋交通に期待をかけ、宋船を博多からさらに国内に来航させるため、福原の近くの兵庫に築港した(ほどである)。

#彼ら(注・蒙古軍)はまず壱岐島を荒らしたが、その残虐性は想像以上だった(ムゴイという言葉はこの時の蒙古から転じたと言われている)。

【付記】2007年現在、ご存命のようである。びっくり。
 「言語学のお散歩」の金川先生のページにも登場する。