京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「風の時間」

2020-09-15 09:11:35 | 時計修理

9月15日火曜日 石清水八幡宮祭の日。
仏滅。
「秋来ぬと目にはさやかにみえねども風の音にぞおどろかされぬる」古今和歌集。
風が吹いている季節になりました。
夏の風は大きくて入口で止まって中まで入ることはない。これから冬になるまで風は隙間からでも入ってくるほど細かくなる。
風の大きさがあるのだとわかる9月15日。
長崎に住んでいたころ風の向きが話題になる土地柄。春の南風は船をひっくり返すほど危険。
秋から冬にかけて風が「トビウオ(あご)」漁で干物の臭いを運んでくる。干してるところは息を止めて足早にとりすぎる。
京都の冬の風物詩も美しい。
北山杉の手入れ(文字通り手でこすって木の肌を磨く仕事)、千枚漬け、すぐきの漬け込みで手が乳酸菌の影響なのか指先まで美しい肌になる。
時計のサイズ合わせにご褒美のような眼福の季節到来です!

これからの季節、気温の急激な変化で預かっているぼんぼん時計の調整が始まります。
時計は持ち主より長生きする。預けた人が故人になってしまったので遺族の人にお渡しするまでのお付き合い。
ところが引き取りに来てくれない。
理由は24時間、毎正時に鳴る時報、振子のコチコチ音でうるさくて眠れない。
夜間にボ~ンと響くと呪いの音に聞こえるという。そのまま止めていると錆びて使えなくなるのが残念!

明治、大正、昭和とそれぞれ年代物の時計なので私の世代で壊せない。
そんな責任感だけで守っているようなものです。
「愛知県」で作られた明治時計、奈良・ごぜで作られたニマル時計、
明治維新1906年の西暦に変更後に大量に輸入されたアメリカ・ニューヘブン、ドイツ・ユーハンス。
誰か引き継いでもらえないかと思うが近年ぼんぼん時計の商品価値が急に下がっているのが気になります。
ネット通販の価格を見ても送料と同じ程度の価格ではもったいない。
工房でも一般のお客さんからの修理依頼はお断りしているだけに仕方がないことでしょう。
夏のあせも、冬のシモヤケを隣の自転車屋さんと自慢比べ。どちらのエアコンが使えないしごと。
その自転車屋さんも数年前にお亡くなりになった。
町中で自転車屋さんも時代の流れで次第に消えていく。

写真のぼんぼん時計。
フリコの竿のなど関係で膨張率により冬は進む、夏は遅れます。
夏の間はトラブルは少ない、冬に遅れる場合は油が冷えて固まっているので遅れてくるので修理の時期だとわかります。
これから気温が下がり寒くなるのでフリコの位置を下げて調整します。
振子のコチコチ音が均等になるのを確認しながら左右の位置を決める。
いったん修理となると工房の部屋中に油の臭いがするので時計販売店では嫌われる仕事だ。
明日は工房の定休日。嫌な臭いはしても「お休みですからね~!」とごまかすしかない。
明日は13時まで営業!定休日なので臨時営業です。

「水曜日だけがお休みなのであけといてくりょ~」のお客様に対応!お待ちしております。
花園大学周辺の長崎チャンポンやさんは水曜日定休!行けない!恨めしいね~!
水曜定休の「新福菜館」グループが京都大丸さんのテナントで出店!うれしものです。
今日も6時まで営業中。風が西風に変わって涼しい洛北になりましたね~。






コメント
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