PARK'S PARK

パクのお庭にようこそ。環境問題、ロハス、バイオ、空手、映画、多言語など情報満載です。少々硬派な内容を目指します。押忍

★「釈迦内柩唄」を観ました

2009年06月30日 | HANAとコンサート
●「釈迦内柩唄」(しゃかないひつぎうた)を観ました。 
水上勉さんの原作を「劇団希望舞台」が熱演し既に全国で400回以上の公演をしています。
  
   
     《わけへだてなきやさしさと勇気 時代に問いかける人間讃歌》

感動の涙がとまりませんでした。
上演前に中野和朗実行委員長(元松本大学学長)が素晴らしいご挨拶をしてくれました。
「涙には悲しい涙、悔しい涙、うれしい涙・・・いろいろの涙があります。
でも、一番奥から出てくるのは、わけが分からないけど感動した涙ではないでしょうか。」
今日は心の奥から、感動の涙を流しました。

■「釈迦内」とは現在は秋田県大館市に合併されましたが、実在した村です。
そしてその近くの花岡町で起こった「花岡事件」がこの芝居の背景になっています。
花岡事件」と言ってもピンとくる人は多くは無いと思います。
奇しくも今日は花岡事件から数えて64年目。
1945年6月30日、花岡鉱山で強制的な労働を強いられていた韓国・朝鮮、中国人が改善を求めて蜂起し200人以上が虐殺されたのです。

◆釈迦内で代々続いたの死体焼き場の仕事をしている家族。
その仕事を引き継ぐことになった女隠忘(オンボ)ふじ子の物語。
父・弥太郎が亡くなった日、父のカマの掃除をするふじ子の胸に家族の思い出がよみがえる。
二人の姉のこと、母親のこと、花岡鉱山から逃げてきた朝鮮人の崔さんのこと。
酒を飲まずにいられなかったその父が山の畑いっぱいに咲かせたコスモスの花。
火葬場の灰で育ったコスモスの花は人の顔のようにひとつひとつ違って風に揺られている。

★この物語には、差別を受けてきた人々が登場します。
死体を焼く仕事は忌み嫌われ、被差別民の仕事です。
嫁いできた奥さんは身体障がい者、ふじ子は知的障がいがある。
花岡から逃げてきた崔さんは在日朝鮮人。

その仕事ゆえに忌み嫌われ、蔑まれる家族、しかしそこには家族の深い絆と愛情、わけへだてない人間に対する優しさがあった。

    

水上勉のお父さんは墓守を仕事とし棺おけを作ったり、葬祭に必要な装飾品を作る職人だった。
9歳で禅宗の寺に修行に出され、10年後に寺を出て独力で小説家になった。
そんな経歴があるから、この戯曲が書けたと思う。

ふじ子役の「有馬理恵」の一人芝居に近いが、その演技には鬼気迫る迫力がある。

「おくりびと」がアカデミー賞を獲得したことは、素晴らしいことだと評価する。
しかし死体を扱う事は忌み嫌われ、代々被差別出身者の仕事であることは知られていない。

こんなに暗くシリアスな演劇にもかかわらず600人以上の方が集まってくれた。
中野代表がおっしゃるように「松本は民度が高い」と言われているが、人口20万人程度の地方都市でこんなに集まるのは明らかに民度が高い地方である事を再認識した。

素晴らしい劇に感動、感謝!!