●民団主催の映画「クロッシング」を観た。
北朝鮮からの脱北者の問題を描いた韓国映画。
■あらすじ
主人公は北朝鮮の北部の炭鉱の町に住む三人家族。
サッカーで元北朝鮮代表選手のヨンス、妻ヨンハ、11歳の一人息子のジュニは貧しいけれど幸せに暮らしていた。
しかしヨンハが妊娠と栄養失調から肺結核で倒れてしまう。
北朝鮮では薬を手に入れられずヨンスは危険をおかして中国に渡るために家を出る。
これが妻子との永久の別れになることも知らず。
命からがら国境の川を越え、薬を得るためにヨンスは中国で必死に働く。
脱北者は発見されれば容赦なく強制送還され、それは即、死を意味していた。
中国公安の手入れから脱出、民間の救援団体にも騙され中国のドイツ大使館へ亡命、韓国で暮らすことになる。
北朝鮮の妻子の元に帰る術を失った主人公は落胆の日々を過ごす。
◆北朝鮮では、夫の帰りを待ちわびていたヨンハがジュニを残して無念にも息を引き取る。
一人きりになったジュニは、父を探して中国との国境を目指す。
コッチェビ(ストリートチルドレン)に食料を盗られ、夜寝ている間に靴までも盗まれてしまう。
幼馴染で恵まれた境遇だったのミソンとの再開と別れ。
豆満江を渡ろうとするが警備隊に見つかり、強制収容所に入れられてしまう…。
ヨンスの献身的な力でブローカーを通じ、ジュニをモンゴルへ亡命させようとするが・・・
★映像は実に淡々と流れていく。
派手な演出も無ければ、くさい演技も無い。
実にリアルだ。
ドキュメンタリーを観ているようだと思って引き込まれるが、ふと気がつく。
これは映画の中のフィクションで無く、現実であること。
この家族と同じ悲惨なケースが何千件も存在すること。
脱北者は30万人程度いるとされている。
そのうちの2万人が韓国で暮らしている。
そして、200人程度が日本に暮らしている。
民団では、RENK[救え!北朝鮮民衆/緊急行動ネットワーク]などと連携を取り合い、救援活動をしている。
観終わって、力が抜ける。
私の叔母、友人が北にはいる、いた。
皆、飢えて、あるいは既に収容所で息絶えている。
現在、韓国と北朝鮮は、世界で唯一の分断地域国家。
怒り、悲しみ、苛立ち・・・。
この悔しさを、どこにぶつければいいのだろうか。