野良猫の正しい暖まり方

2010年07月07日 17時26分40秒 | B地点 おかか

 

 

まだ梅雨が明けぬ内は、ふいに寒さが襲うことがある。
これを梅雨寒(つゆさむ、または、つゆざむ)と言う。
この日も寒かったので、おむさんは毛布にくるまっていた。
「おいおい! 七月にもなって、毛布を被るとは……」
「野良猫として恥ずかしいと思わんのか?」
「だ、だって、寒いんですから。しょうがないでしょ」
「お前はそれでも野良猫かーっ!」
「ちぇっ。……はいはい。わかりましたよ」
「毛布から出りゃいいんでしょ」

「うむ。それでいいのだ」
「ようし。そのまま動くなよ」
「私が暖めてやる」

ぴとっ
「せ、先生っ……!」
「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


長続きカップルの秘訣(七夕スペシャル)

2010年07月07日 17時17分26秒 | B地点 おかか

 

 

七夕である。

織姫と彦星の、年に一度のデートの日である。

だが、彦星がなかなか来ないので、織姫は浮かぬ顔である。
「年に一度しか会えない上に、時間にルーズだなんて……」
「いっそ別れたほうがいいのかしら……」

歴史的カップル、破綻の危機である。
そこへ現れたのが、見るからにタチの悪い若者である。

「へっへっへ……」
「な、何よあんた?」
「お嬢さん、一人かい?」
ずかずかと上がり込む若者。

「お嬢さん、俺と遊ぼうぜ!」
「や、やめてよ! 警察呼ぶわよ!」
いいタイミングで、彦星が来た。

「こらっ、何をやっとるか!」
「うっ、男がいたのか」
「とっとと失せろ、クソカス野郎!」
タチの悪い若者は、尻尾を巻いて逃げ去った。

「織姫よ、大丈夫かい」

「ありがとう彦星さん、助かったわ」
「やっぱり彦星さんって、頼りになるわねえ」

織姫はしみじみ、そう思ったのだった……。
「ふふっ。それほどでもないさ」
―― こうして、破綻の危機は回避された。
織姫と彦星は、今年もイチャイチャ過ごしたのである。
だが、後刻 ――

「へっへっへ。彦星のだんな、うまくいきましたね」
「うむ。中々の演技だったぞ」
「また来年も頼むぞ」

「へっへっへ、お任せ下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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