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まだ梅雨が明けぬ内は、ふいに寒さが襲うことがある。 |
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これを梅雨寒（つゆさむ、または、つゆざむ）と言う。 |
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この日も寒かったので、おむさんは毛布にくるまっていた。 |
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「おいおい！ 七月にもなって、毛布を被るとは……」 |
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「野良猫として恥ずかしいと思わんのか？」 |
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「だ、だって、寒いんですから。しょうがないでしょ」 |
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「お前はそれでも野良猫かーっ！」 |
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「ちぇっ。……はいはい。わかりましたよ」 |
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「毛布から出りゃいいんでしょ」 「うむ。それでいいのだ」 |
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「ようし。そのまま動くなよ」 |
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「私が暖めてやる」 ぴとっ |
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「せ、先生っ……！」 |
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「……」 |
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