釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

楽観視などできない日本経済

2009-05-16 07:22:35 | 経済
日本経済新聞に掲載された第一生命経済研究所 主任エコノミストの日本経済の現況分析では景気の最悪期はこの1-3月期で足元で景気は既に回復局面に入っていると考えられる、としている。根拠は3月の鉱工業生産指数は6カ月ぶりに上昇に転じているのに加え、4、5月の生産予測指数もそれぞれ上昇が見込まれていること、生産持ち直しの背景には在庫調整の進展があると言うことを挙げている。一方で東京商工リサーチが13日発表した4月の全国企業倒産状況は、件数は前年同月比9.3%増の1329件で、11カ月連続で増えたが、増加率は5カ月ぶりに1ケタ台に低下したと言う。至近的には株価の変動と同様に一時的な景気の上昇面も当然見られるが今後の景気予測としてこれほど楽観的な予測はかなり恣意的な予測としか思われない。仮に恣意的でないとすれば余りにも世界経済、特に米国経済の置かれている状況を認識していないと言わざるを得ない。米政府が金融機関救済のために新たに投じる7,500億ドル(約73兆円)は日本の国家予算におおよそ匹敵する額である。しかも米政府は昨年すでに金融機関に7,000億ドルを投じている。本年10月1日から始まる米国の2010年度の予算は3兆9,400億ドルで、歳入が2兆3,800億ドル見込まれているが、1兆7,500億ドルの大赤字である。この借金は米国債購入に支えられているが、米国に盲従する日本はともかく最大の債権国となった中国はもはやこれ以上の米国債購入というリスクを取ろうとしない。現在為替は米1ドルが95.94円で円高になっているがこれはドルの価値が下がっていることを示し、ドルへの信頼が下がっていることを示す。しかも12日財務省が発表した4月末の外貨準備高は1兆114億7300万ドル(約99兆円)で、前月末に比べ70億7600万ドル減ったと言う。その減少は円高にもかかわらず米長期金利の上昇を受けて、保有する米国債の時価評価額が目減りしたためだという。米国だけでなく英国も同様で世界をみれば外需主導型から抜けられない後進国型日本経済はまだまだ危機を孕んでいると言わざるを得ないだろう。


鉢植えの黒百合