車輪の下

何度も通った道に見慣れた車をみることが日課になり、ついにとうとう車がなかった。
そこにない車にいいようのない気持ちをおぼえる。
最後に言われたのはドライヤーを持っていくということだった。
僕は無力でその大きな抗いがたい強力な流れに従うほかなかった。
心に傷を受けないように上手に受け身をとりながら。

汚れちまったかなしみに 今日も小雪のふりかかる

いままでどれだけ我慢してきたんだい？ いつからだったのかな？
どこまでが無理をしてどこからが本当だったのかな。僕にできることはあったのかな。

そんなあまりにも素朴すぎて答えるのも疲れるような愚問が気泡のようにわき出てきて無理やり握りつぶした。それはなにひとつ声にはならずただそこにあるだけであった。