そして、久しぶりの広美さんからの電話。また個展でもするのかしら?という私の思いに反して、それは中山さんの訃報だった。大切なご家族に囲まれて、精一杯病と戦った末に旅立ったという。享年48歳というあまりにも早い生涯。最後のお別れがしたくて、夫婦揃って伊那に出かけた。葬儀がおこなわれたのは、桜が美しいことで有名な高遠の地。バスから降り立った私たちは、中山さんが愛した優しい南信州の風景に包まれていた。
蔡場には親族友人あわせて200名あまりの人が集まり、みな中山さんの優しく大きな人柄に思いをはせていた。会場には広美さんの手によって中山さんの作品が飾られ、訪れたすべての人の心を打つ。一番悲しいはずの広美さんは、おふたりのお子さんと中山さんのご両親を気遣いながら、気丈に喪主をつとめている。あんなに仲が良かったふたりが、なぜこのような運命になったのか…それは、これからわかるような気がすると語っていた広美さん。「でもまだ山から、ただいま~って帰って来そうな気がしてるんだよね」とも。大人数の告別式を立派につとめあげているその姿は、なにか光のようなものに包まれているような感じがした。
私もまだ実感がなく戸惑ったまま。でも、結婚のお祝いにいただいた「ワンドイ夕景」という壮大な写真を見るごとに、中山さんはこれからも多くの人の心の中に生き続けるという思いがわいてくる。亡くなってからも、多くのファンを持つ写真家の星野道夫さんは、その奥さまの星野直子さんのサポートが大きな力になっているように思う。中山秀幸さんも、奥さまの広美さんの力によって、これからも生き続ける…。そんな気がしてならない。
「長野komachi」という地方の情報誌の仕事もしていた中山ご夫妻。以前お家に泊めてもらった時、中山さんが、
「食べ物のブツ撮りも楽しんだよね。撮り方ひとつで印象が変わるから、どんな被写体も勉強になるんだ。それに美味しそうに撮れると嬉しいし」
と言っていたことを思い出す、山岳写真家として山渓のカレンダーを飾るというゆるぎない位置にいながらも、他のことも否定せずに真面目に取り組むという姿勢に「ひとつ越えた人」という印象を持った。そして、そんな中山さんの写真は、来年の山渓のカレンダーの表紙を飾る。
大好きなお酒の一升瓶を抱っこして本当に嬉しそうに呑んでいた姿、尻焼温泉で、まだ1歳だった坊ちゃんを抱えて川の湯に入っていく姿、結婚式のDVDで満面の笑顔でふたり仲良く手を振ってくれた姿。今も昨日のことのようで…。会場には、中山さんの大事にしていた自作の詩があった。その言葉とともに、中山秀幸さんの姿は私の中で輝き続ける。高遠の地を後にする時、中山さんの愛した山の向こうに、一瞬眩いばかりの輝きを放ち夕日が沈んでいった。
中山秀幸さんHP(作品もご覧いただけます)→
http://www.office-tierra.com/
中山氏の作品が表紙の、アルパイン2010年版カレンダー
→http://calendar.yamakei.co.jp/shousai.php?id=840000
蔡場には親族友人あわせて200名あまりの人が集まり、みな中山さんの優しく大きな人柄に思いをはせていた。会場には広美さんの手によって中山さんの作品が飾られ、訪れたすべての人の心を打つ。一番悲しいはずの広美さんは、おふたりのお子さんと中山さんのご両親を気遣いながら、気丈に喪主をつとめている。あんなに仲が良かったふたりが、なぜこのような運命になったのか…それは、これからわかるような気がすると語っていた広美さん。「でもまだ山から、ただいま~って帰って来そうな気がしてるんだよね」とも。大人数の告別式を立派につとめあげているその姿は、なにか光のようなものに包まれているような感じがした。
私もまだ実感がなく戸惑ったまま。でも、結婚のお祝いにいただいた「ワンドイ夕景」という壮大な写真を見るごとに、中山さんはこれからも多くの人の心の中に生き続けるという思いがわいてくる。亡くなってからも、多くのファンを持つ写真家の星野道夫さんは、その奥さまの星野直子さんのサポートが大きな力になっているように思う。中山秀幸さんも、奥さまの広美さんの力によって、これからも生き続ける…。そんな気がしてならない。
「長野komachi」という地方の情報誌の仕事もしていた中山ご夫妻。以前お家に泊めてもらった時、中山さんが、
「食べ物のブツ撮りも楽しんだよね。撮り方ひとつで印象が変わるから、どんな被写体も勉強になるんだ。それに美味しそうに撮れると嬉しいし」
と言っていたことを思い出す、山岳写真家として山渓のカレンダーを飾るというゆるぎない位置にいながらも、他のことも否定せずに真面目に取り組むという姿勢に「ひとつ越えた人」という印象を持った。そして、そんな中山さんの写真は、来年の山渓のカレンダーの表紙を飾る。
大好きなお酒の一升瓶を抱っこして本当に嬉しそうに呑んでいた姿、尻焼温泉で、まだ1歳だった坊ちゃんを抱えて川の湯に入っていく姿、結婚式のDVDで満面の笑顔でふたり仲良く手を振ってくれた姿。今も昨日のことのようで…。会場には、中山さんの大事にしていた自作の詩があった。その言葉とともに、中山秀幸さんの姿は私の中で輝き続ける。高遠の地を後にする時、中山さんの愛した山の向こうに、一瞬眩いばかりの輝きを放ち夕日が沈んでいった。
中山秀幸さんHP(作品もご覧いただけます)→
http://www.office-tierra.com/
中山氏の作品が表紙の、アルパイン2010年版カレンダー
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