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温泉にゃんこのネコ散歩

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終の桜か…

2005-04-12 22:02:20 | スピリチュアル
花散らしの冷たい雨が降り、大好きな桜の季節も終わりをむかえている。花の盛りの頃、仕事の行き帰りに病院構内の桜並木に携帯のカメラを向けていると、いつも誰かしら患者さんから声をかけられた。
「綺麗ですね~。いいわねぇ、この時期は。そうか、携帯で写してるのね。私も撮っておこうかしら?」
「すごく綺麗だし、せっかくだから桜と一緒にお写真お撮りしましょうか?」
そんな会話が多かった。

院内の大きな窓からは、陽光を浴びてキラキラ輝く紅枝垂れの姿が正面に見えている。病棟から外来の診察に下りてきた入院患者の車椅子のおじいさんが、それを静かに眺めている。その後姿は、いろいろなことを背負っているようで、少し切ない気持ちになる。病気を抱えた人にとって、今年の桜が見られるというのは、大きな意味があることだろう。この冬、顔見知りだったお年寄りの患者さんが何人も亡くなった。いつも穏やかで和ませてくれたおじいちゃんも、花を見る前に逝ってしまった。ガンであるけれど、外来受診のたびに私たちと軽やかに話をしていった明るいおばさんの死も、
「長い間お世話になりましたが、年明けに逝きました。いままでお世話になりました」
と娘さんが伝えに来て知った。

「来年も桜が見られる」と当然のことのように思えるのは、病を抱えていない健康な人だ。幸せなことだが、本当に見られるかは、実は誰にもわからない。「終(つい)の桜」がいつになるかわからないのだから、その年その年の桜を、精一杯心にとどめたいと思う。人の命のかけがえのなさというものをより強く感じる職場にいて、そんなことを考えた。桜はその懸命さと儚さゆえに、人の心に深く響く。今日の日めくりカレンダーの、こんな言葉が目にとまった。

  「 生 死 事 大 」 -今を大切に- 


      ~ 花筵 風が遊んでゆきにけり ~ 黛まどか



桜猫ふたたび

2005-04-11 20:55:17 | スピリチュアル
自宅から車で10分ほどのところに、素晴らしい桜並木がある。某会社の敷地内なのだが、毎年この時期には一般開放され、近隣の人の憩いの場になっている。田舎のせいか、お年寄りの団体さんや家族連れの姿が多く、カラオケも無く飲酒率も低いため、とてもほのぼのとしたお花見風景が広がっている。

昨年も桜吹雪の舞う時期に、ここで寝転がりながら半日を過ごした。今年もちょうどいい時期に日曜が入り、再びレジャーシートとお花見弁当を持って桜並木を訪ねる。半袖でちょうどいいほどのポカポカ陽気の中、大きな桜が並ぶ下にささやかな宴席を広げた。炊き立ての魚沼産こしひかりのおにぎり、特別な農園の採りたてトマト、定番の焼き鳥、長ネギの炒め物、スモークサーモンの生春巻き…お茶にコーヒーにケーキ(^^ を、緋毛氈のようなブランケットの上に広げる。空からは、花びらがヒラヒラと舞い降りてくる。外で食べると、何でこんなに美味しいんだろう?ゆるゆると桜の下でのランチを楽しみ、眠くなったら寝転がってお昼寝…zzz

気持ちいいのだが、だんだん目がかゆくなり鼻がむずむずしてきた。ヤバヤバ(><)と思って持参のマスクをして再び寝転がると、小さな子が「この人なに?」と不思議そうに覗き込む。やっぱ怪しいよなぁ(0^;3時間ほどで目のかゆみが限界となり咳も出てきた。日も傾いてきたためそろそろ撤収。花びらが体のあちこちに付いている。顔を触ると、埃まみれでザラザラ。すかさず近くにあるレトロな銭湯に駆け込んで、全身に浴びた花粉を洗い流した。今年もずいぶん長い時間、桜の下で過ごすことができた幸せに感謝☆ ここの桜もそろそろフィナーレを迎え、もうすぐ桜の雨が降りしきることだろう。

帰り道、近くの学校の桜並木の下から「ミィミィ」という声が…誘われて塀を乗り越えてみると、子猫がすり寄ってきた。真っ暗な中、顔をクリクリと押し付けながらなおも鳴き続ける。体をナデナデしてみると、骨に触れるほど痩せていた。
「おまえ、野良にゃんだね。お腹すいてるんだ。何か持ってきてあげるからついておいで」
と声をかけてみると、途中まではついてくるが立ち止まってしまう。急いで冷蔵庫からハムを取り出し、学校まで走る。そっと差し出すと、ササッとくわえて物陰に隠れてウニャウニャ言いながら食べている。
「か~わい~ぃ(^^ 今度お腹すいたら、にゃんこの家に声かけなね」
とささやいてその場を離れた。昨日といい今日といい、大好きな桜の下では、大好きな猫にご縁があるようだ。

~ さくらさくら さくら咲きさくら散り 何もなかったような公園 ~  俵万智



桜猫

2005-04-09 20:03:51 | スピリチュアル
あちこちで桜が咲き誇り、まさに春爛漫である。週末にこんなにちょうどよく、花と天気のタイミングが合う年も珍しい。本来ならこの週末は長野に行く予定だったが、体調の不良と多忙な用事の準備etc…もろもろの理由により出かけるのをとりやめた。最近では予定を決めても、それを阻む事柄が複数出てきた時は、
「これは、今はその流れではないという啓示に違いない…」
と思い、無理はしないことにしている。今回も、親しい人のところに寄ることにしていたのだが、その旨話したところ、
「物事には動かない方がいい時や、静かに過ごすべき時があるから、心身ともに回復してからおいで。それに、こちらの桜が咲いた頃の方がいいってことなんじゃないかな?」
と言ってくれた。こうやって理解してくれる人がいるのは、とてもありがたい。

自宅の部屋からは、近所の学校に咲いている桜の花びらが風に乗って庭に舞い降りてくるのが見える。去年の桜の時期、庭で昼寝をしているにゃんこちゃんの背中に、花びらがくっついていたのを思い出した。1年経った今、庭ににゃんこちゃんの姿は無い。何となく彼女に逢いたくなって、午後のひととき、にゃんこちゃんの眠る場所に足を運んでみた。冬の間は気付かなかったのだが、その墓前には可愛い枝垂桜と立派なソメイヨシノが咲き誇っていた。
「にゃんこちゃん、ここでも桜が見られてよかったねぇ」
と思いながら手を合わせていたところ、どこからかニャ~ンという鳴き声が…。空耳?と思いながら目を凝らすと、前方から太った丸顔ネコが歩いてきた。野良猫のようで、ちょっとおでこに怪我をしている。
「痛そうだね、ダメだよ喧嘩しちゃ」
と声をかけたら、寄ってきてスリスリしてくる。ひとしきり撫でてもらったところで、くるりと背を向けてまたどこかに消えていった。偶然なんだろうけれど、にゃんこちゃんが姿をかえて逢いに来てくれたようで、目の奥がツーンとあつくなった。いつも凹んだ時には、気持ちを察してスリスリしてくれたにゃんこちゃんの、「大丈夫だよ」という声が聞こえた気がした。

     ~ 一片の落花見送る 静かな ~  高濱虚子



桜酔い

2005-04-07 21:12:41 | スピリチュアル
「好き」というよりも「魅入られている」1本の桜がある。お寺の境内に、1本だけたたずむ紅枝垂れ。彼女に出逢ってから、もう9年の月日が経った。最初の頃は、まだ細く所在なげであったのが、月日を経て今は独りで堂々と匂い立つように咲き誇っている。濃い紅色が妖艶さを感じさせ、特に夕暮れ時に見るその姿は「綺麗」というよりも「壮絶」である。

墓地に隣接しているためか、ほとんど人に会ったことが無い。いつも独り占めで、彼女の「気」に触れる。
「こんな特別な桜が咲いているのに、誰も見ないでもったいない…」
と思いながらも、誰にも邪魔されないこの静かな状況が何よりも好きだ。

今日は何とか日のあるうちに職場を出られたので、今年初めて彼女に逢いに行った。昨年よりも存在感を増し、物狂おしいほどに咲いている。昼から夜に移る瞬間、逢魔ヶ刻にその紅の滝のようになっている木の下にもぐり込むと、すっぽりと妖気に包まれているようだ。花房の隙間から、茜~紫紺に変わる空が見える。
「このままこの下で、意識を失って別の世界にいってしまってもいい…」
ふとそんな考えにとらわれる。なにゆえこんなに紅いのだろう?そこに眠る人々の思いが集まっているようなそんな気がして、黒々とした幹にそっと手を触れてみる…そこにはまだ昼の温もりが残っていた。

   ~ 花ひとひらふたひら 君を忘れない ~  黛まどか



猫神家の雛伝説

2005-03-01 22:40:39 | スピリチュアル
桃の花が店頭に並ぶと、春だなぁ~とほんわかとした気持ちになる。今日から弥生3月。もう春の香り。そして、あさってはひな祭り。小学生の頃は、お友達を呼んでパーティなどやったものだ(^^ このお雛さまも相当な年期が入ってしまったが、
「う~、面倒くさいなぁ」
と思いながらも、毎年かかさずうららかな日を選んで半日かけて飾っている。大変ではあるが、飾り終わって華やかな緋毛氈に並ぶお雛さまを眺めると、そこだけポッと明るくて華やかな空気につつまれている感じがいい。やっぱり、女の子のお祭りらしいなぁ~と、その前に座ると優しい気持ちになれる。

でも、なんで毎年かかさず飾っているかというと、にゃんこの家系にはちと怖い話があるのだ…。にゃんこが子供の頃、父方の本家は蔵がある大きな屋敷だった。その頃から探検好きなにゃんこだったのだが、その屋敷の奥の部屋には怖くてどうしても踏み込めなかった。大きな鍵がかかっている蔵も、なにか近寄りがたい雰囲気を感じて入ったことがなかった。今思うと、何か重苦しい「気」が満ちていたのだと思う。にゃんこが生まれる少し前、その屋敷に住んでいたふたりの娘が、1~2月のわずか半月の間に相次いで急死した。にゃんこにとっては、会うことの無かった叔母たちである。その葬儀も終わり片付けをしていた時、
「もうこれも、主がいなくなってしまったわねぇ」
と、蔵の中のお雛さまを開けてみたところ…お雛さまの首がねずみに齧られて、頭がころげ落ちていたという(><)その綺麗な顔も、齧られた無残な姿で…。こぇぇぇぇぇ~(TT)

本家にあたるここの家は、なぜか早く亡くなる人が多い。昔から、親族間の争いごとの話も多々あり…。こりゃ、犬神家ならぬ猫神家か?!さすがに殺人事件までは無いが(0^; そんな話を聞いているのでお雛さまを飾らないと何かおそろしいことが起こりそうで怖いのだ。でも、そんなことがあるので、毎年可憐なお雛さまたちとご対面できるからかえっていいのかも?今はその本家の蔵も屋敷も取り壊され、その土地には特別養護老人ホームを建設中である。壊れたお雛さまはさすがに処分されてしまっただろうが、蔵に入っていた刀や鎧、ものすごく古い掛け軸類は、業者の人が来て引き取っていったという。今頃どこかにまだ存在しているかと思うと、ちと背筋が寒くなるのだ。