大峰の河童

法螺貝を習得中 

河童の創作民話「河童の相撲大会」

2014年05月10日 | 日記
生駒山の東麓には淀川に流れる天の川と大和川に流れる生駒川があります。 
昔の事です、天の川と生駒川のどちらの川が沢山の水を称えて、たくさんの田畑を潤しているか相撲を取り、勝負する事に成り成りました。
相撲の土俵は二つの川の上流にある「お松の宮」に作り、神主に行司をお願いしました。 

 今年は雨が少なく、北の村も南の村も水田に引く水が少なく、お百姓さん達は困っていました。そこで、川の強さを決める相撲大会を聞きつけたお百姓さん達は自分達の村を流れる川の代表者に勝ってもらいたいと思いました。川の水量が増えるとお米が沢山作れます。
そこで、相撲大会に出場する河童たちの力付けに、お餅をたくさん作り川岸にお供えをした。相撲の勝負の日まで、何日も何日も、お餅を作っては川岸に持ち寄り、お供えをしました。河童たちはお餅をたくさん食べて、村の会所にある力石を持ち上げ、稽古に励みました。

いよいよ、相撲の試合の当日が来ましたが今日も朝から大変、暑い日です。神社の境内では応援の村人や見物の人で賑わっています。しかし、勝負の時間が来ても相撲を取る河童力士が現れません。試合会場の付近は天の川と生駒川の分水嶺です。旱で川に流れ込む水が無く河童たちは試合会場にたどり着くことが出来ません。河童たちの頭の皿には水飢饉で水がなく、歩くことが出来ません。

この話を聞きつけた、旅の山伏が二つの川の真ん中の高い広場で雨乞いの祈祷を行うと、石清水が涌いてきて小さな滝が出来ました。又、旅の僧が修行中に持ち歩いていた杖を突き刺すと池に水が涌いてきました。 しかし、何時までたっても此処の山里は雨が少なく、ふたつの川は繋がりません。相撲大会も開かれず、今でも天の川は北に流れ、生駒川は南に流れています。水が少ない、小さな川が分水嶺となり国境が出来ています。

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