古地図を案内にして現代の街並みを散歩する。 そのような事が密かにブームに成っているかは別にして、大正二年発行の「門司市」地図を入手。
欄外に「下関要塞司令部許可」と印がなされており、明治に軍港に指定され日清戦争・日露戦争を経た大正二年発行の地図です。 明治維新後、一漁村の文字ヶ関村が砂浜を埋め立てて市街地が広がった模様が伺えます。
海峡を埋め立てて新たに創られた町々は運河で囲まれて、七つの橋(鎮西橋等)で結ばれています。 小樽の倉庫街運河よりも小川に近い雰囲気で有ったと想像できます。 今は、この運河は埋め立てられ道路の下に隠れていますが周囲の町名を記載してみます。
埋立地を囲む外側の町名:
入船町一丁目~七町目、西堀川町一丁目~三丁目、西本町三丁目、港町三丁目
埋立地内の囲まれた町名:
東海岸通り一丁目~六丁目、東港町一丁目~三丁目、東堀川町一丁目~六丁目
イ: 祝町一丁目~五丁目
ロ: 露月町一丁目~六丁目
ハ: 羽衣町一丁目~六丁目
ニ: 賑町一丁目~六丁目
ホ: 宝来町一丁目~三丁目
へ: 平安町一丁目~三丁目
その他の町名は省略して、地図上に記載されている学校名や団体名を列記します。
小学校: 古城小学校、清見小学校、門司小学校、錦町小学校、小森江小学校。
他学校: 松本高等小学校、私立筆立学校、高等女学校。
領事館: 美国領事館(アメリカ)。
銀行: 三井銀行、日本銀行、二十三銀行、住友銀行、日本商業銀行。
会社: 敷氷、郵船、三菱、商船、三井、東神、通運、浅野セメント。
社宅: 三井銀行社宅、大阪商船社宅、日本銀行社宅、三菱社宅、住友銀行社宅、
日本郵船社宅。
鉄道: 九州鉄道管理局、停車場。
港の施設: 郵船会社桟橋、三菱桟橋、税関桟橋、石田桟橋、商船会社桟橋、
郵便局桟橋、水上警察桟橋、鉄道桟橋。
第一船溜、第二船溜。
軍事施設: 大阪砲兵工廠門司兵器製造所、陸軍省用地二ヶ所
新聞: 門司新報、久野新聞店。
娯楽: 門司俱楽部
劇場: 稲荷座、旭座、世界館、凱旋座、戦勝座。
神社仏閣: 布刈神社、真光寺、三光寺、甲宗八幡宮、正連寺、林現寺、
三光寺(末広町)、西本願寺、東本願寺、金毘羅宮。
碁盤の目の市街地は近代に生まれ育った街並みを想像する事が出来ます。 山の手には銀行や船会社の大会社の社宅が点在しています。 中心部の一等地には広大な軍用地が占めています。 今、観光に訪れてみて、レトロ地区以外に大正二年当時の市街地の面影も多少、残っているのでしょうか?