人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

人文系ライターの養成?

2013-04-04 19:45:01 | 仕事と研究

今日ののすけちゃん。内容とは関係ありません。
ロコちゃんがお庭に出てるときに、可愛く座ってたから写真撮ろうとしたけど、逃げていったよ。

 今日はなんだか疲れてぼんやり。昨日、一昨日と足をつったり夢を見たりして(火事の夢。って、夢占いとかで確実になんかありそうだよね)、いい眠り方ができなかったせいかな。この辺でちょっとたくさん寝ないと、感覚がおかしくなりそう。


 最近、ネット上であまりにひどいと話題になっている書評などを見て思ったのですが。書評や文庫の解説、新聞の文芸欄や美術展のレビューor紹介などは、やはりきちんと専門的な訓練を受けた、読むことの専門家がすべきだと思うのです。自然科学系の内容を一般の人々に紹介する場合には、れっきとした「サイエンスライター」というものがいます。一方で人文系の分野(特に文芸)に関しては、あまりに専門家が少なすぎる。単なる現場のカンみたいなものだけでやっていて、修士以上の人間だったら絶対にしないこと、例えば情報のもとを辿らずにそのまま断言しちゃうとか…、を平気でする(ことがある)。

 確かに、書評や文庫解説が、作家やエッセイストの主要な収入源になっている…、ということは想像出来ます。ただね、だったら院生やポスドクが書評や文庫解説を主要な収入源にしてもいいんじゃないかと…。その人の名前で書評や文庫解説が書かれてたら売り上げが上がる、というレヴェルの作家が書くんならともかく、一般の読者にとっては、例えば鮮やかな読みの転換とか、コンパクトで分かりやすい要約など、書評として優れた点があったほうがいいだろうと思います。一般の読者が読んでも気づかなかった点に気づかせてくれるような、思ってもみなかった場所に連れて行ってもらえる書評のほうが。

 院生やポスドクの文章は、確かにかたくて、圧縮しすぎる傾向はあります。ですがそこは一般の人にむけて書く訓練をしてゆくなかで、だんだん修正されてゆくと思う。というか、研究の成果を還元する訓練としても重要だし、実際に還元するという意味でも重要。いま、大学での書評講座はたぶん千野帽子さんとかがやってたと思うんですけど、大学院でのキャリア教育として、だれかカリキュラム組まないかな…? 地方新聞とか、地方の情報誌とかと組めば、院生が書いた記事でもわりあい載せてもらいやすいんじゃないかなあ。

 もう一点。ときどき豊崎由美さんとかが「思ったことを思ったまま書けばいいと思っている」と文句言ってるのですが、これはおそらく小中学校で書かされる読書感想文・作文の弊害だと思うのです。戦前の綴り方的なものからずっと続いてる、「思ったことを思ったままに書きなさい」と言うことで、ありうべき感情の型に当てはめようとする教育。これは「説明するな描写しろ」ということなんだ、ということを以前書きました描写と説明について
 この弊害を何とかしなければ…。でも、どうやって? 
 誰か読書感想文を廃止してください。



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