人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

キャリア教育について

2013-03-17 12:00:09 | 仕事と研究
 長い長い学生生活が終わり、お金をもらって仕事をするようになってから(仕事がない時期も多かったけど)考えるのが、お金をもらって仕事するとはどういうことなんだろう、ということです。

 仕事と人生は別!という考えは、既に何度か書いてきたことですが、そうじゃないと、資本の論理が全てになってしまうから。仕事は仕事として、実存と分けて考えることによって、資本の論理を離れた倫理観や価値観を持つことができる。これが私の考えです。個人が倫理観を持つことができなくなってしまったら、選挙する意味もないしね。マジョリティがマイノリティを抑圧する構造が、問題化されないままになってしまう。
 これは実存とか、意味の問題。

 ただもうひとつ、お金がないと食べていけないのも事実で、この事実がある限り、存在=お金になってしまう。これは生存の問題。白石嘉治は、この問題を解決するために、というか、我々は無償で存在している、という考え方から、ベーシックインカムを提案するわけだけれども(『不純なる教養』青土社、2010年)。

 じゃあこの、ひとつ目の問題(実存の問題)とふたつ目の問題(生存の問題)の関係はどうなっているんだろうということが、私のなかで整理がつかない。別々の問題だから、関係なくていいのかもしれないけど、でも、どちらも「キャリア」について考える場合、重要になってくること。

 最近は大学でもキャリア教育が熱心に行われていますが、キャリア教育に関して私が息苦しさを感じるのは、これは学生の問題じゃなくて、制度や社会の問題でしょ、と思うことってたくさんあるじゃないですか。でも、学生の就職率を少しでも上げないといけない…、となると、そのどうしようもなく問題のある社会(というか会社?)に順応させないといけないわけで。いまのキャリア教育に携わっている人たちは、折り合いをどうやってつけているのか。
 企業の論理に騙されるんじゃなくて、会社を騙す賢い就活生になりなさい、と教えるか、あなたがどんな人間であっても雇ってもらえるようなスキルを身に着けなさい、と教えるか…、なのかな。

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