☆ 知新 温 (Arata On) ☆ のお菓子だぁ~い好き!

食空間カメラマン 知新 温 (あらた おん)の日々是修行←話題脱線中
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【 オピニオンリーダーが語る 「厨房談義」 第23回 】

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作例写真も合わせて掲載しておりますので、お時間のある際にご覧下さいませ。

ゼラチンシルバーセッション

2007年10月01日 | ヲタクの館!写真講座

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昨晩のご飯はお鍋でした。秋の大気に響く雨音は、心を落ち着かせますね。
今年も、残す所あと3ヶ月。フルスロットルで行きまーす(最後までせわしない。)

      
 【ポリマー樹脂版による写真製版 紙:ハーネミューレ 複写にてデータ化】

さて、写真界はデジタル真っ盛り。そんな中、ゼラチンシルバーセッション
という、
銀塩写真のイベントが開催されるというので、8×10での撮影・現像・プリントを
体験するWSに顔を出してきました。

フィルムの現状について、講師の三好耕三氏が仰るには、「一度工場のラインが
止まってしまったら、個人の力ではどうしようもない。」とのこと。

ただでさえ、シートフィルムの値上げに頭が痛い昨今。(好きで大判貧乏ですけれども。)
事態は思ったより深刻な段階に来ていたようでございます。

*・・・・・・*・・・・・・* ここから、ぶっちゃけ トークッ *・・・・・・*・・・・・・*・・・・*

『レコードがCDに変わったように、デジタル化は時代の必然。』、だそうですが。
世間で言うほど、デジタルカメラって便利ですぅ?(実は、撮影後が、便利なんです!)

フィルム時代から。AFは勿論、オート機能は一切使っていなかった私にとって、
デジタルカメラとの出会いは、不便のオンパレードだったような・・・。

 AFは、ずれるし遅いし。APSの焦点距離のおかげで、狭い店内で立ち往生。
 クロスに浮き出るモアレ。透過光での葉っぱのグリーンの擬色。低い視野率。
 炎の実写でのシャッタータイムラグ。いやーほんと、辛かったなあ~。

幸いにも、技術の開発速度が予想以上に早く。上述の問題は、ほぼ解決した様
に思います。(やや!このままでは、愚痴大王で終わってしまふ。話を建設的な方向へ戻さねば!)

・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*・・・・・・*

今日のお題は、デジカメの悪口を言うことではなく。効率化を優先して、多様な
選択肢を排除することは、写真表現の間口を狭めるのでは?というお話しです。

もちろん、デジタル画像は今後益々発展して行くでしょう。写真をグラフィックに
おけるただの素材でなく、絵画やイラストと互角以上のアート作品として高める
ためのツールとして、パソコンの存在も同時に拡大して行くと思われます。

ではなぜ、縦横無尽とも見えるデジデータにフィルムが対峙できるのでしょうか。
それは。沢山の方法論に支えられたプリント作業と、ラージフォーマットによる
精緻な描写力と粒状性が、生かせるからだと考えています。

私事で恐縮ですが、昨年のグループ展に出品した、写真製版を例に挙げますと。

 今日の写真の解説です。機械製版に用いるポリマー樹脂版にポジフィルムを
  モノクロ反転で露光。版を水現像で定着。再び露光して凝固させ、インクを調色
  し版に密着、プレス機で刷り上げるという制作過程をへて完成したものです。

この作品の作業を模索していた時、版の作成において、デジタルカメラの画素数、
解像度をいかに上げて撮影しても、中判低感度フィルムからの展開による細部の
再現に、ついて行かないことに気が付きました。これは、フィルムの粒状性が、
描写に対して多くを負っていることを、発見する契機となりました。

さらに。先人の露光データーが皆無の状況で、私が頼りにしたのは、暗室作業に
おける露光時間に換算していく方法でした。実際は、そのまま当てはまる訳は
なく、失敗の連続でしたが。化学的なプロセスが、写真文化を支えてきた重みを、
否応なく感じざるを得ませんでした。

このような体験は、写真を使った表現の、まさに氷山の一角に過ぎません。
さらに多くの、魅力的な方法を見つけたいと思うのは、私だけではないはずです。
フィルム自体が無くなってしまい、生まれるはずだった幾人もの表現者をも、
同時に葬ってしまうことのない様、今後の写真界に強く望むものであります。

 うーん。何か、”青年の主張”のような、結びになってしまいました・・・。
 (その上、極めてマニアック。この話を理解された方は、脅威のオタクさんです!)

さて、上記ゼラチンシルバーセッションの最後を飾る展覧会が明日(10/2)より、
開催されます。著名な写真家によるネガ交換プリントやトークショーなど、見所
一杯のイベントになる模様です。興味を持たれた方は、ぜひお運び下さい。

(銀塩写真文化を守りたいというイベントの趣旨に賛同し。会場で私もほんの少し、お手伝い致します。)

追記(10/3): トークセッションは事前登録制で有料。展示と別会場で行われます。