今日はKwon先生講演の第二段!ハンヤン大学のCenter for teaching and learing(CTL)の活動について紹介します.
●CTLの基本情報
CTLの業務で60%は,教員向けの支援をしており,40%は,学生向けの支援をしている.スタッフは,ディレクターとPD2, アシスタント20名程度.専任の教員はいないが,各学部の教員が協力し合って実施している.教員向けの支援は以下に記すが,学生向けの支援は,英語で論文を書く方法,ロジカルライティングなどがある.
CTLが設置された背景には,政府からの指示があった.政府はCTLを設置しないといけないと指示し,各大学がセンターを設立した.この際,(就職に困っていた)多くの院生が職を得た.
●ハンヤン大学では教員向けに幾つものセミナーを開催
セミナーは,教員の経験年数に応じて,4段階の区別をしている.研修内容は,PBL,グループスタディ,PPT制作コース,MM制作コースなど科目ごとによって異なるセミナーを開催し,それぞれに異なるアプローチをしている.中でも,初任者と経験3,4年の先生に重点を置いたセミナーを実施している.
たとえば,初任者研修では,教え方,学生との接し方など半日の研修(4時間)を行う.ハンヤン大学の場合は,経験年数が長くなればなるほど,教員が授業方法を変えることが容易ではないという傾向があるため,①,②段階の教員へのセミナー,教育を実施しているとのこと(苦笑).定期研修として3月と10月に大きな研修をする.学期が始まる前に実施しておきたいためこの時期となっている.
①初任者 ②3-4年経験の先生 ③10年以上 ④20年以上
セミナーは,教育,教育工学,教育方法学などを専門とする教員が実施する.しかし,授業がうまい教員に協力してもらい,講師をしてもらうなどして,センターの教員だけではなく,学部の教員にも協力を願い実施している.
KWON先生は,センターだけで実施するのではなく,協力いただける教員を巻き込んでいくような活動が重要だという.一般の学部の先生方も「これだけの授業をされているのか!」という印象が,「私もやってみよう」という気持ちを誘発するからである.この,授業のうまい教員をどう抽出するのかに関しては,授業評価アンケートの結果を活用する.
ハンヤン大学では,学生からのアンケートなどの結果を通じて,評価の高い上位50名の氏名を公表している.(ちなみに,先生に対する学生の評価は給与などの評価にそれほど大きくは影響しない)
先生を集めて研修をする際は,専門を分けてすると円滑に進めることができる.そのためにはどういうグループに分けるべきかを調査していく.1回の研修の人数は30名以下で実施している.
また,ハンヤン大学の教員はセンターの実施する研修に出て,3ポイント得なければいけないということになっている(義務ではない).(セミナー出席1回=1ポイント)
●ハンヤン大学では授業コンサルテーションを実施
授業コンサルテーションという言葉は使われていなかったが,授業に対して課題を抱える教員への支援をするということであった.たとえば,リーダーシップ教育ではフレッシュマン教育(初年次教育)とのリンクの付け方をし,ある教員の授業を参観して,話し方,授業内容,PPTの提示方法などいくつかの評価項目を基に,その先生に対して授業改善のアドバイスをするような活動もある.
ハンヤン大学では,大きく4タイプの教員像を作っており,それぞれに対する支援や改善の方法を提示しているという.現在はこれをさらに16タイプに分類しようとしているという.
●韓国と日本の文化差によるFD実施方法の違い
日本の場合は,何か新しいことを決める際,学部から先生が集まり話をして決める.韓国の場合は,この方法だと時間がかかるため,3名ほど専門性を持った教員らで集まり大枠を決めてしまう.
その後,必要に応じて,各学部の教員の意見も聞く.但し,大学の教員の背景や考え方はかなり違っている.あまり異なる意見の人を呼んですることはしない.教育を専門とする教員,教育方法に長けている教員を中心に実施するという.お国柄ですね.
「(アメリカなどでは教員同士の学習コミュニティづくりに力量がおかれつつあるという傾向を受けて)セミナーだけではなく,教員同士で授業方法を学びあうようなコミュニティづくりをしたりはしないのですか?」という質問をしたところ,韓国では教育や教育方法を専門とする教員の意見は聞くけれど,教員同士同僚で話し合うという文化がないとばっさり(苦笑).だから,セミナーなどが適しているといえよう.
●先生を巻き込むためには
①印刷したNEWSLETTERが有効.WEBだと見ない先生も多いが,紙媒体だとちょっとしあい間に目を通す先生が多い.
②いろんな先生にまずは会うこと.菓子折を持ってドアをノックして,いろいろな先生に会いに行きなさい(と叱咤激励をいただきました.これは今までも実施していたことなのでこれからもやっていきたいと思います)
●センターの教員の立場,マインド
Kwon先生からは,センターの教員は以下のようにあるべきというお言葉をいただいた.
・デザイナーであるべき
・ファシリテータであるべき
・教員と大学のかけ橋であるべき
・他の人を助けたいというマインドを持つべき
・人と話をすることが好きであるべき
「あなたは,どこをターゲットに授業改善をするのか.マニュアルは存在しないから,自分の大学にあったスタイルを,授業支援のプランを立てることが重要」「最初は人数も少ないし,人もいない.自分で歩いて先生たちを巻き込んでいくのよ」という言葉が非常に印象に残った.関西大学オリジナルのプランを立て,着実な成果を上げていくよう取り組んでいきたいなと思いました.Kwon先生,心の師匠として尊敬申し上げます.
●CTLの基本情報
CTLの業務で60%は,教員向けの支援をしており,40%は,学生向けの支援をしている.スタッフは,ディレクターとPD2, アシスタント20名程度.専任の教員はいないが,各学部の教員が協力し合って実施している.教員向けの支援は以下に記すが,学生向けの支援は,英語で論文を書く方法,ロジカルライティングなどがある.
CTLが設置された背景には,政府からの指示があった.政府はCTLを設置しないといけないと指示し,各大学がセンターを設立した.この際,(就職に困っていた)多くの院生が職を得た.
●ハンヤン大学では教員向けに幾つものセミナーを開催
セミナーは,教員の経験年数に応じて,4段階の区別をしている.研修内容は,PBL,グループスタディ,PPT制作コース,MM制作コースなど科目ごとによって異なるセミナーを開催し,それぞれに異なるアプローチをしている.中でも,初任者と経験3,4年の先生に重点を置いたセミナーを実施している.
たとえば,初任者研修では,教え方,学生との接し方など半日の研修(4時間)を行う.ハンヤン大学の場合は,経験年数が長くなればなるほど,教員が授業方法を変えることが容易ではないという傾向があるため,①,②段階の教員へのセミナー,教育を実施しているとのこと(苦笑).定期研修として3月と10月に大きな研修をする.学期が始まる前に実施しておきたいためこの時期となっている.
①初任者 ②3-4年経験の先生 ③10年以上 ④20年以上
セミナーは,教育,教育工学,教育方法学などを専門とする教員が実施する.しかし,授業がうまい教員に協力してもらい,講師をしてもらうなどして,センターの教員だけではなく,学部の教員にも協力を願い実施している.
KWON先生は,センターだけで実施するのではなく,協力いただける教員を巻き込んでいくような活動が重要だという.一般の学部の先生方も「これだけの授業をされているのか!」という印象が,「私もやってみよう」という気持ちを誘発するからである.この,授業のうまい教員をどう抽出するのかに関しては,授業評価アンケートの結果を活用する.
ハンヤン大学では,学生からのアンケートなどの結果を通じて,評価の高い上位50名の氏名を公表している.(ちなみに,先生に対する学生の評価は給与などの評価にそれほど大きくは影響しない)
先生を集めて研修をする際は,専門を分けてすると円滑に進めることができる.そのためにはどういうグループに分けるべきかを調査していく.1回の研修の人数は30名以下で実施している.
また,ハンヤン大学の教員はセンターの実施する研修に出て,3ポイント得なければいけないということになっている(義務ではない).(セミナー出席1回=1ポイント)
●ハンヤン大学では授業コンサルテーションを実施
授業コンサルテーションという言葉は使われていなかったが,授業に対して課題を抱える教員への支援をするということであった.たとえば,リーダーシップ教育ではフレッシュマン教育(初年次教育)とのリンクの付け方をし,ある教員の授業を参観して,話し方,授業内容,PPTの提示方法などいくつかの評価項目を基に,その先生に対して授業改善のアドバイスをするような活動もある.
ハンヤン大学では,大きく4タイプの教員像を作っており,それぞれに対する支援や改善の方法を提示しているという.現在はこれをさらに16タイプに分類しようとしているという.
●韓国と日本の文化差によるFD実施方法の違い
日本の場合は,何か新しいことを決める際,学部から先生が集まり話をして決める.韓国の場合は,この方法だと時間がかかるため,3名ほど専門性を持った教員らで集まり大枠を決めてしまう.
その後,必要に応じて,各学部の教員の意見も聞く.但し,大学の教員の背景や考え方はかなり違っている.あまり異なる意見の人を呼んですることはしない.教育を専門とする教員,教育方法に長けている教員を中心に実施するという.お国柄ですね.
「(アメリカなどでは教員同士の学習コミュニティづくりに力量がおかれつつあるという傾向を受けて)セミナーだけではなく,教員同士で授業方法を学びあうようなコミュニティづくりをしたりはしないのですか?」という質問をしたところ,韓国では教育や教育方法を専門とする教員の意見は聞くけれど,教員同士同僚で話し合うという文化がないとばっさり(苦笑).だから,セミナーなどが適しているといえよう.
●先生を巻き込むためには
①印刷したNEWSLETTERが有効.WEBだと見ない先生も多いが,紙媒体だとちょっとしあい間に目を通す先生が多い.
②いろんな先生にまずは会うこと.菓子折を持ってドアをノックして,いろいろな先生に会いに行きなさい(と叱咤激励をいただきました.これは今までも実施していたことなのでこれからもやっていきたいと思います)
●センターの教員の立場,マインド
Kwon先生からは,センターの教員は以下のようにあるべきというお言葉をいただいた.
・デザイナーであるべき
・ファシリテータであるべき
・教員と大学のかけ橋であるべき
・他の人を助けたいというマインドを持つべき
・人と話をすることが好きであるべき
「あなたは,どこをターゲットに授業改善をするのか.マニュアルは存在しないから,自分の大学にあったスタイルを,授業支援のプランを立てることが重要」「最初は人数も少ないし,人もいない.自分で歩いて先生たちを巻き込んでいくのよ」という言葉が非常に印象に残った.関西大学オリジナルのプランを立て,着実な成果を上げていくよう取り組んでいきたいなと思いました.Kwon先生,心の師匠として尊敬申し上げます.