昨晩、札幌に戻って来ました。
太平洋側の地域に行っていたので、海霧の影響で日中でも気温は15℃以下だったのですが、札幌に戻って来てビックリ!
こちらの気温は20℃以上あり、その差は約10℃。すっかり初夏の様相。
いよいよ本格的な採集シーズンの到来ですね!
さて、オサムシクイズについてですが、正解を少しずつ明かしていきたいと思います。
まずは採集地がこちらのエリアになります。
北海道のほぼ中央に分布し、オオルリオサムシの亜種の中でも分布域が非常に狭い。
このヒントで、道内のオサムシファンなら、種名が出てくるはず・・・。
もう一つのヒントは、「文句なしに小さい!」です。
これで判りましたか?
5月10日、karataka君と一緒にトラップを設置。2週間後の24日にトラップ回収。
設置期間は2週間とりましたが、前半は異常低温、その後は大雨にも見舞われ、
回収前はボーズも覚悟しました。
実際は数箇所に分散させて設置したトラップ地点全てで採集でき、
2人で2等分して満足できる数が得られました。
また、前半の異常低温のお陰?で、腐敗したものは少なく、
完品で得られたものが多かったです。
そろそろ、名前を発表しましょう
正解は・・・ヒメオオルリオサムシ[Acoptolabrus gehinii manoianus]でした。
とりあえず、多彩なカラーバリエーションをお楽しみ下さい。
道外の虫屋さんの憧れの的であるオオルリオサムシ。
道内各地で亜種分けされていますが、本亜種は名の通りにホントに小さなオオルリでした。
下に標準的な大きさの苫小牧産オオルリオサムシと比べてみました。
上段:ヒメオオルリオサムシ(南富良野産)
下段:オオルリオサムシ(苫小牧産)
(両段とも左から♂♂♂♂♀)
こうやって見ると、ヒメオオルリの体の小ささは際立っております。
しかも、ヒメオオルリの雌が苫小牧の雄よりも小さいなんて・・・。
苫小牧産に負けず劣らずの多彩なカラーリングはより個性を引き立てています。
昨年、とある方の標本箱を見せて貰った時に、今年度のオサの目標がコレに決まりました。図鑑等でもなかなかお目にかかれないオサ。
これは私のページで取り上げるしかないと思いました。
初挑戦にも関らずボーズじゃなかったのはラッキーでした。
コップに落ちていたオサを初めて見て出た言葉が「キレイ!」ではなく、
「小さい!」でした。これは新たな感動です。
左側♂(左:苫小牧、右:南富良野) 右側♀(左:苫小牧、右:南富良野)
特に、ここに示した左から2番目の雄は採集した個体の中で最も小さかったものです。
アイヌキンの小型の雄と同じ感じの大きさです。
実測は左から(32㎜、23㎜、36㎜、29㎜)。
ヒメオオルリオサムシは何故小さいのか?
ある報告によると、幼虫時代が2齢で終わるそうです。
ヒメオオルリと分布を接しているアラメオオルリも2齢で終齢との事。
オシマルリや札幌近郊のオオルリは3齢が終齢なのに・・・不思議です。
ヒメオオルリの分布域は空知川と沙流川に挟まれたエリアで、
東限が狩勝峠~日勝峠ライン、西限が幾寅~日高町ラインになるそうです。
このエリアの南部にはアラメオオルリオサムシ、
西部には原亜種の富良野型の分布エリアといわれています。
北部と東部はキタオオルリオサムシへの移行帯です。
るどるふ様、林原様、具体的に産地でお答え頂きましてありがとうございました。
下にオビラルリオサとシャコタンルリオサの写真も掲載しましたので、じっくり比較してみて下さい。
上段:左(富良野型-芦別産)、右(アラメオオルリ-静内産)
下段:左(シャコタンオオルリ-積丹半島産)、右(オビラルリオサムシ-島牧村大平山)
なお、ヒメオオルリオサムシは6月が旬かと思いますが、
採集にあたっては十分にヒグマにお気をつけ下さい。
トラップ設置時に2回、ヒグマに警戒鳴きされ、ポイント変更を余儀なくされました。
回収時も1回、やや近くで鳴き声を聞きました。
一人の入林は危険な地域です。念のためお伝えいたします