大道具さーん ちょっとー!

舞台美術製作 金井大道具㈱ごきげん営業阿部 ここに日々の業務を垣間見る。お気楽に「大道具さーん、ちょっとー!」

その六 「納品」

2006年04月24日 | ブログ de 営業部
久々の“ブログ de 営業部”です。
もうどこまでやったか忘れました。

はじめに
その一
その二
その三
その四
その五


前回は“道具調べ(検品)~積み込み(出荷)”までを説明しました。
今回は出荷されたものが、納品されるまでを簡単に説明します。

出荷された大道具は劇場やイベント会場に運び込まれます。
これは搬入作業です。
規模の大きなものは、学生アルバイトさんの手を借ります。

余談:私も学生時代に舞台設営のアルバイトを何件かやりました。先輩の紹介や、学生課の紹介です。「中島みゆきコンサートツアー」の手伝いで両国国技館へ行ったとき、“金井大道具”と印字された平台を死ぬほど運ばされました。それがある会社の名前だとはまったく知りませんでした。幸せな時代でした。

話は戻って
搬入が終わると、舞台の大道具さんが仕込みに入ります。
通常は“吊り物”(劇場の美術バトンにぶら下げる道具)から仕込み始めます。
それが終わると、舞台上の仕込みに移ります。

余談:照明さん音響さんも仕込みをやりますが、大道具とバッティングしないように仕込みのスケジュールを組みます。このスケジュールを組むのは舞台監督さんの仕事です。歌舞伎の世界には舞台監督がいないので、大道具と照明が相談して決めます。

大道具の仕込が終わると、そのセットに照明さんがスポットを当てる作業に入ります。“サスあわせ”とか“シュート”と呼ばれます。
それが終わると“明かりあわせ”といって、一場面ごとにすべてのセットを飾って、照明の具合を一つづつ丁寧に決めていきます。小道具さんや特効さんも飾り付けをします。

シュートから明かりあわせの間、大道具を飾りながら不具合(ダメ)があればすぐに直します。演出家や美術家から変更や追加の注文が出ることもあります。というか必ず注文が出ます。時にはすべて塗り直しとか描きなおし、せっかく作った道具がカットされることもあります。

余談:一度言って見たい言葉
「ノークレーム、ノーリターンでお願いします。」


この時点まで、役者はまだ舞台には上がりません。

明かりあわせが終わると、“舞台稽古”になります。役者さんはこのとき初めて舞台の大道具とご対面します。一枚の道具帳が実際に組みあがっているのです。
役者さんから注文が出たときも即座に対応します。
この舞台稽古が最終的な大道具の仕上げになるわけですが、これは大道具に限ったことではなく、照明、小道具、音響、衣装、床山、その他、各セクションの仕上げ作業になるわけです。

こうして舞台稽古が終わり、通し稽古をやり終えるといよいよ初日を迎えます。
一ヶ月公演の場合、初日から千秋楽まで、毎日お客さんの前に飾り付けるわけですから、毎日が納品作業の繰り返しなのですが、書類の納品日の欄には、舞台の初日の日付がつけられます。
初日が開いた後も、直しや変更が出ることもあります。言ってみれば“メンテナンス”でしょうか。
舞台の大道具さんは、毎日が納品とメンテナンスの繰り返しになります。
この一連の作業が、大道具の納品作業です。

高校生の皆さんへ
自分で作ったものが、人の目に触れるというのはこの上なくうれしいものです。私は新人のころ自分の手がけた舞台を見るのが好きでした。簡単なものでも「あの部分は俺様が作ったのだ。エヘン。」と自己満足に浸っていました。幸せな時代でした。

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3 コメント

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高校生です ()
2006-04-25 22:29:22
突然書き込み失礼します!

私は去年の歌舞伎鑑賞教室以来、歌舞伎の魅力に取り付かれています。

何回か劇場に足を運び、舞台を拝見しましたが、使われている大道具などあまり気にしたことがありませんでした。

でもこのブログを読ませて頂いてすごく沢山の方々の手によってあの素敵な世界が出来ているのだなぁと今更ながら驚きました。

今まで知らなかった世界を垣間見ることが出来て、次回劇場に行ったときは俳優さん以外も見ます!!!
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お久しぶりです (ちゃーるず)
2006-04-26 00:49:06
毎日楽しく読ませてもらってます(日本語あってるかな?)



ブログはじめましたー(正式にはブログ会社を変えました)



大道具になるためにちゃくちゃくと準備を始めてます。

とりあえず、芸大に行って美術を学びたいと思います。専攻はなぜだか彫刻ですが。



そんなわけで美術塾も学校の帰りに通うようになり早一年・・・。残りの高校生活と、美術塾での生活を書いたブログです。暇なときみてやってください。

御園座ももう終わっちゃったので、来月は雪之丞変化2006を観に行けたらいいなあと思ってます。



でわでわ
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高校生たちよ (o-dougu)
2006-04-26 23:55:07
読んでくれていたのね、このブログ。

どうもありがとう。



楓さん:芝居つくりには本当にたくさんの方がかかわっています。これからも紹介していきたいですね。



ちゃーるずさん:「とりあえず芸大」ってところに大物感が感じられます。“雪之丞変化2006”面白い作品なので是非ご覧あれ。
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