大道具さーん ちょっとー!

舞台美術製作 金井大道具㈱ごきげん営業阿部 ここに日々の業務を垣間見る。お気楽に「大道具さーん、ちょっとー!」

その三 「書き抜きと見積もり」

2006年03月30日 | ブログ de 営業部
ブログ de 営業部の三回目は「書き抜きと見積もり」のお話を。

はじめに
その一
その二


前回紹介した“道具帳”と“平面図”から、
「書き抜き」を作ります。
これは大道具の設計図のことで、その場面に飾る大道具をばらばらにした分解図です。
プラモデルを買うと、箱の中に部品図が付いてますが、それに似たようなものですね。大きなものから小さなものまで、すべて書き抜きます。ここから「書き抜き」の名前がそのまま来ているのだと思います。



この「書き抜き」を基にして、製作部で作り始めるので、この作業はかなり責任重大な仕事です。
寸法、材料、仕上げ具合などさまざまな指定が書き込まれます。
美術家のプランを損なうことなく、なおかつ、トラックに積める大きさか。劇場の搬入口に入るか。吊り物ならば重量は大丈夫か。安全基準を満たしているか。舞台転換に障りはないか。
など、いろんな心配事がこの「書き抜き」の段階で解決されていなければならないのです。

また、美術部では製作部から来た道具に色や絵を付けていきますが、「書き抜き」を見ながら、仕上がったものを片っ端からチェックしていきます。

公演部では「書き抜き」を見ながら、仕込みの準備を始めます。

営業部ではこの「書き抜き」を基に、見積もり作業に入ります。
ばらばらにした一つ一つの部品に対して価格を設定します。
造花や幕類、盆やセリといった機構関係など、関連業者に発注する物は、各業者の営業さんと打ち合わせをして価格を設定していきます。

見積もりの方法はいくつかありますが、
一、積算見積 「書き抜き」を基にして、材料費、加工費を一つ一つ原価計算する方法。(時間がかかる。)
二、比較見積 前例を基準値として、修正を加えていく方法。(一般的な見積方法)
三、経験見積 まさしく今までの経験と勘と度胸で見積もる方法。(今すぐに見積もってと言われれば・・・)

製造業の見積方法はこのほかにもいろいろとありますが、大概このようなやり方を複合させて原価計算をやっています。
企業の最終目標は利益を上げることですが、
私どもも例外ではありません。
対売上高 数パーセントの営業利益を目指して、
営業部は今日もそろばんをはじくのでした。


高校生の皆さんへ
「道具帳」「平面図」「書き抜き」は三種の神器です。打ち合わせでも、現場の仕込みでも、舞台の飾りつけでも必ず必要になります。大道具にとっての台本なのです。この三つが読めなくては大道具は出来ません。

しかし、見積もりが出来なくても大道具さんや背景さんにはなれるので、安心してください。


次回は発注のお話を。
コメント (2)
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