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H27.7.10(金) 塩崎厚生労働大臣閣議後記者会見概要

2015-07-14 13:45:20 | 厚生労働省
(8:51 ~ 9:02 省内会見室)

【厚生労働省広報室】

会見の詳細
《閣議等について》
(大臣)

 おはようございます。私の方から2件ございます。まず、危険ドラッグの関係でございます。危険ドラッグ販売店舗につきましては、全国でも新宿歌舞伎町の2店舗を残すのみとなっておりましたけれども、関東信越厚生局麻薬取締部は7月8日より警視庁と合同で一斉強制捜査を実施いたしました。捜査は、関東信越厚生局麻薬取締部を本部として行われたものでございます。昨日までに関係者3名を逮捕、これらの店舗を実質閉鎖に追い込んだところでございます。昨年3月には215の店舗が存在をいたしました危険ドラッグを販売する実店舗は、これをもって我が国から全滅したことになります。今後は、インターネットやデリバリーでの販売に対する徹底した取締、そして水際対策を継続をいたしまして危険ドラッグの撲滅を目指したいと考えているところでございます。
 2点目は、「地域限定保育士」でございます。7月8日に「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」が成立いたしました。この法律では、国家戦略特区における保育の担い手確保を進めていく観点から、新たに「地域限定保育士」制度を創設したところでございます。「地域限定保育士」は試験合格から3年間は国家戦略特区の区域内のみで保育士として通用する資格でありまして、3年を経過した後は、地域を限定せずに働くことが全国でできるようになるという保育士の資格でございます。この試験は、8月に全国で行われる試験とはまた別に2回目の試験として実施されます。具体的には、10月24日・25日に、場所は、神奈川県、大阪府、沖縄県、そして千葉県の4府県で実施をいたします。この制度が、より多くの保育士確保につながるように、国としても周知に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。以上2点、私の方から冒頭発言を申し上げたところでございます。

《質疑》
(記者)

 派遣法の改正案が参議院で審議入りしましたけれども、9月1日の施行ということで、周知期間が短いという指摘がありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(大臣)

 改正案は、今参議院の方で御審議をいただくようになりましたが、派遣で働く方々については、正社員への道が開けるように、あるいは待遇改善が行われるようにということで、労働契約申込みみなし制度というのも10月1日から円滑に施行しなければならないという意味で、早期に実現が必要だというふうに考えております。このため、法案に定めております施行期日、9月1日のとおりに施行できるように国会において速やかに御審議をお願いを申し上げたいと考えております。また、改正案が成立した際は、労働政策審議会で政省令の詰めをしなければなりません。そういう意味で速やかに御審議をいただくということも大事でありますし、関係団体の皆様方にも御協力いただいて、周知徹底を図るということでございます。そういうことで、9月1日施行ということで、私ども派遣法を1日も早く成立されるように御審議をお願いしたいと思っております。

(記者)

 今の派遣法の周知に関してなのですが、要するに9月1日で間に合うのかという質問だと思うのですが、これまで派遣法に関しては、改正が行われた場合は半年程度周知期間があったと思います。今回の改正は、労政審(労働政策審議会)の中でも、あるいは国会審議でもわかりづらいものを変えるということで、かなり大幅な改革になっていると思います。それが、周知期間ほぼ無しで、うまく施行するとお考えなのでしょうか。

(大臣)

 これはまず第一に、かなり昨年からずっと審議を一般質疑の中も含めてやってまいりました。かなり衆議院でも議論は絞られてきていると思いますが、なお参議院において更に慎重審議をしていただいて、一日も早く成立させるというふうにお願いを申し上げたいと思っておりまして、周知期間が短いじゃないかというお話でございました。それはそれである一定程度長くとるという考え方はそのとおりあると思いますけれども、今申し上げたように、10月1日からのすでにこれは法律が成立しております労働契約申込みみなし制度、これを施行することは決まっているわけでございますので、こういうこともにらみながら、できる限り国民の皆様方に周知徹底できるように努力するということで、お願いを申し上げたいというふうに考えております。

(記者)

 関連ですけれども、期日が迫っているという中で、大臣としては焦りというものはあるのでしょうか。

(大臣)

 そういうものはありません。何しろ審議を深めるということが大事なので、焦点はかなり絞られてきているので、そういったところに集中的に御議論をいただくということが大事だというふうに思いますので、焦点も、だいぶ去年から見ると考え方自体も変わってきているようなところもございますので、ここはやっぱりしっかりとした審議をお願いしたいというふうに思っています。

(記者)

 医療分野の話なんですけれども、訪問専門診療所を来年4月メドで解禁するという一部報道がありましたけれども、これは中医協(中央社会保険医療協議会)の方で今議論をしていたと思いますが、これについての事実関係をお願いします。

(大臣)

 これについては、今この訪問診療を中心とする診療所をどうするかということで、すでに議論が重ねられてきました。今までのキロ数制限とかですね、現実に合うかどうかということを考えると、なかなか合わないことになっているということもあります。ただ一方で、医師、特に保険医は必ず行ったら診ていただかなければいけない、そういう国民のための議論を深めた上でないと、なかなかこの範囲を広げるということは難しいなということでございまして、なおこれから方向として診療を訪問によって行うことを中心とする、診療医を拡大するというか、初めて今回やるわけですけれども、そういう時に最低限守らなければいけないことが守られるかどうかということを中身を詰めていくというのが今回この年末に向けて議論を深めていかなきゃいけないというところに来ていると思います。まだ、これから更に議論を深めるというふうに聞いています。

(記者)

 目標として来年4月をメドに開くということに。

(大臣)

 診療報酬改定がございますので、それに合わせてというのが基本的な考え方です。

(記者)

 派遣法の関係で参院審議がありますけれども、(日本)年金機構の理事長等の答弁でかなり混乱している部分があると思うんですけれども、(日本)年金機構においてはいろいろな問題に対して何らかの対応をしていることは多いんですけれども、ただそれが厚労省に全く相談がなかったり、伝わっていないという場面がいろいろあって、それが混乱の元になっているということですけれども、そういうあまり報告がないような体制の原因と、厚労省から職員の派遣を多くしたり、改善策をとられていると思うんですけれども、今後どのように改善をされるか、お考えをお願いします。

(大臣)

 昨日の参議院での審議の際の発言も少し厚労省との間の打合せ不足のところがあったのは否めない事実だというふうに思います。そんなこともあって、私どもとしては情報共有は徹底をするということを更にこれからやるとともに、(日本年金)機構に審議官級の

さまよう聖地 新国立のゆくえ:上

2015-07-14 13:40:37 | 社会問題・生活
新国立、折れた都知事

朝日新聞2015年7月9日


 8日午後、東京都庁の知事室がある7階会議室。
舛添要一知事は「長年の友人」という遠藤利明五輪担当相をにこやかに出迎えた。
 新国立競技場をめぐり、国は東京都に500億円程度の負担を求める。遠藤五輪相が費用負担を切り出すと、舛添知事はこう応じた。「200(億)になるか、300になるか、800になるか分からない。とりあえず事務方で、都と政府で協議を始めましょう」
 5月18日、同じ会議室で下村博文文部科学相と対面した知事は怒っていた。「楽観的に、すべてうまくいく情報しか上がっていない。大日本帝国の陸軍と変わらない」「(五輪後に)マイナスの遺産を残さない配慮が必要だ」。報道陣に全てを公開した場で、矢継ぎ早に大臣に迫っていた。
 この間、約1カ月半。なぜ態度は一変したのか。
 2020年五輪・パラリンピック組織委員会の事務局で森喜朗会長と会ったのは6月18日だった。「これを食べて、甘くなりなさい」。森会長が故郷・石川のハチミツを渡すと、知事は満面の笑みを浮かべた。
 だがこの直前の非公開の会談の中で、森会長は厳しい口調で舛添知事をたしなめたという。組織委幹部は言う。「森さんに釘を刺され、知事は焦っていた」。会談の2日前まで5週連続で続いていた自身のウェブマガジンでの批判も、これ以降ぴたりとやんだ。
 そして迎えた7月7日、日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議。「五輪やラグビーW杯だけ考えると高くなるが、今後50年先も象徴になるものを造ってほしい」と述べた森会長の次に発言を求められた舛添知事は、事務方が用意した文案を淡々と読んだ。「私は建築の専門家ではない。文部科学省やJSCの責任で、間に合うように造ってほしい」。計画の見直しを迫る最後のチャンスが消えた。
 8日の遠藤五輪相との会談で、舛添知事は都の費用負担についての正式な回答は保留したが、事務レベルで協議を始めることは決定。事態は動き出した。
 500億円の費用負担を都に求める文科省と、「現行法のもとで、都が負担できるのは50億円」と言い続けてきた舛添知事との溝はそれでもなお深い。
 「都民を納得させる理由が必要だ」。そう繰り返す知事に、7日の有識者会議で「知事、合わせ技一本ですよ」と自民党の馳浩衆院議員が話しかけた。レスリングで1984年ロサンゼルス五輪に出た経験があり、20年東京五輪の招致にも携わったベテラン議員は、大好きだという柔道用語になぞらえて言った。
 馳氏が引き合いに出したのは、都がJSCなどと4月に覚書を交わした「神宮外苑地区のスポーツクラスター(集積地)」計画。「新国立競技場単体ではなく、周辺の新宿区、渋谷区、港区の神宮外苑を一体で考えないといけない。スポーツ文化の発信エリアとして再開発すべきだ」。有識者会議でもこう訴えた。
 新国立競技場を中核とした国家戦略特区構想を見据えた周辺一帯の街づくり。防災や緑化計画、産業育成などを複合的に進めることで、都民の利益にも直結させる。これが、「合わせ技一本」の真意だった。
 今後、都との仕切り直しの交渉が待つ文科省も、似た構想を練る。念頭にあるのは、兵庫県南西部の大型放射光実験施設(スプリング8)だ。一帯が国の国際戦略総合特区に指定されているこの施設を所有する理化学研究所(理研)などに、兵庫県は140ヘクタールの土地を無償出資している。
 県内の先端技術産業や、地場産業に寄与することを目指したこのプロジェクトを、新国立競技場周辺の再開発構想にも当てはめ、都の費用負担を求めていく検討が進む。
 ただ、新国立競技場周辺一帯は明治神宮などが地権者で都有地ではなく、この手法にはなお課題も残る。
 (前田大輔、原田亜紀夫)

2500億円」の行方 新国立競技場

2015-07-14 13:38:13 | 社会問題・生活
「もう引き返せぬ」(ルポ迫真)

本経済新聞 電子版 2015年7月14日 配信 ルポ迫真


「2520億円で固まりました」。
新国立競技場の整備主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の理事、鬼沢佳弘(57)は6月下旬、部下から整備費決着の報告を受けても半信半疑だった。
「本当か。またどんでん返しはないのか」

新国立競技場の完成予想図(日本スポーツ振興センター提供)

新競技場は2020年東京五輪・パラリンピック、19年9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)のメーン会場。整備費と工期を巡って次から次へと新たな課題が噴出し、施工予定のゼネコンなどとの協議が連日続いていた。
 最後までネックになったのが、鋼鉄製の「キールアーチ」2本で屋根を支える特徴的なデザイン。だが「あのデザインは世界の場で表明したもの。続行するしか手はなかった」と鬼沢は話す。
□   □
 「今世紀最大の国家プロジェクト」をうたって12年に行われた新競技場デザインの国際コンクールで、収容人数はラグビーW杯と五輪招致成功を想定して8万人と設定された。整備費の見込み額1300億円は、日産スタジアム(横浜市)の600億円を基に規模や設備を考慮して概算した「大まかなものだった」(JSC関係者)。
 採用されたイラク出身の建築家、ザハ・ハディド(64)の作品への評価は「斬新」「大胆」「圧倒的」。審査過程で示された技術的な課題やコストへの懸念は、最終的に「現代日本の建設技術の粋を尽くすべき挑戦となる」と勇ましい言葉に置き換えられた。
 13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)の総会では、薄闇に浮かび上がる流線形のスタジアムがスクリーンに大写しにされ、首相の安倍晋三(60)が「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」とアピールした。
 当時の東京都知事、猪瀬直樹(68)は「開閉式屋根の未来的なデザインにはインパクトがあった。招致成功でデザインは『国際公約』になった」と指摘。一方で「国立なので建設は国の責任。費用のことは念頭になかった」と振り返る。
□   □
 「相当やばいことになりそうだ」。文部科学省のスポーツ・青少年企画課にJSCの担当者から耳打ちがあったのは14年12月のことだった。
 JSCは同年5月、当初デザインの規模を縮小したうえで、整備費を1625億円とする基本計画案を公表していた。だが、施工予定の大成建設と竹中工務店は「できるわけがない」と反発。このままでは整備費は3千億円を超え、完成は五輪に間に合わないと通告してきたのだ。
 計画を再度見直すしかない。そこで最大の制約となったのがラグビーW杯だった。
 そもそも国立競技場の建て替えは、09年にラグビーW杯招致が成功したのをきっかけに浮上した経緯がある。五輪組織委員会の会長を務める元首相、森喜朗(78)は、今年6月まで日本ラグビー協会の会長を兼務。14年に旧競技場の解体工事の入札不調などが続いた際は、JSC理事長の河野一郎(68)に「ラグビーに間に合わせないつもりか」とねじを巻いた。
 「キールアーチをやめれば五輪には間に合う」とする建築家らの主張に対し、五輪組織委幹部は首を振る。「森会長の思いを知らないから言えること。ラグビーを飛ばして、五輪のための競技場を造るという選択肢はない」
 6月29日、東京五輪・パラリンピックの関係機関のトップが集まった調整会議で、文部科学相の下村博文(61)は「整備費は2520億円」「完成は19年5月」と報告。組織委会長の森は「努力してまとめていただいた」とにこやかにねぎらいの言葉をかけた。
 工期短縮と工費削減のために開閉式屋根の設置は先送りされたが、五輪後の工費は現時点の見込みで168億円。JSCは仮設に切り替えた1万5千席を可動式の常設に戻す可能性も示唆する。固定の維持費に加え、50年後の修繕費は1千億円に上るとされる。
 新たな五輪の記憶と共に日本の首都の象徴となるスタジアムの建設が動き出す。「引き返すことはできないし、もう決めるしかなかった。だが、先にも泥沼が待っている」。文科省幹部は口元をゆがめてつぶやいた。(敬称略)

戦略的勝利から2ヶ月、支持率急低下

2015-07-14 13:36:19 | 政治・社会・経済問題
「安保関連法案」で安倍総理が犯した2つのミスDIAMOND online 2015年7月14日 ロシアから見た正義

北野幸伯 [国際関係アナリスト]

4月末の米議会演説で戦略的勝利をおさめたのもつかの間。安保関連法案に関する強硬姿勢でそっぽを向く国民が増え、安倍総理は窮地に陥っている。わずか数ヵ月のあいだに、安倍内閣が犯した間違いについて、解説する。
 安倍内閣の支持率が急落している。朝日新聞が6月20、21日に実施した世論調査によると、内閣支持率は1ヵ月で6ポイント低下し、39%になった。7月4、5日に実施した毎日新聞の調査では、不支持が支持を上回り、第2次安部内閣発足後、初めて逆転した。
 支持率が下がっている理由は、「安保関連法案問題」である。直接的な理由は、衆院憲法審査会で憲法学者3人が、安保関連法を「憲法違反」と指摘し、政府がそれを事実上「無視」していること。また、自民党若手議員の勉強会で、法案に批判的なマスコミへの圧力を支持する発言が相次いだことなどだろう。しかし、この問題は、長期的視点で見ると、もっと根が深い。
■過去数年の劣勢を一気に逆転
安倍演説で「戦略的勝利」をした4月
「私たちの同盟を、『希望の同盟』と呼びましょう。米国と日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟。一緒でなら、きっとできます」
 4月29日、安倍総理は絶頂にあった。米議会における「希望の同盟」演説は大成功。オバマ大統領は、ホワイトハウスのツイッターに「歴史的な訪問に感謝する。日米関係がこれほど強固だったことはない」と書き込んだ。
 しかし、ここに来るまでの道は、平坦ではなかった。2012年12月に第2次安倍内閣が誕生した時、日中関係はすでに、「尖閣国有化問題」(12年9月)で「最悪」になっていた。
 12年11月、中国は、モスクワで仰天の「対日戦略」を提案している。その骨子は、①中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくる ②日本の北方4島、竹島、沖縄の領土要求を退ける(つまり、沖縄は中国領) ③米国を「反日統一共同戦線」に引き入れる――である(中国、対日戦略の詳細はこちらの記事を参照)。
 この戦略に沿って中韓は、全世界で「反日プロパガンダ」を展開し、大きな成果をあげた。13年12月26日、安倍総理が米国のバイデン副大統領の「警告」を無視して靖国を参拝すると、世界的「日本バッシング」が起こる。
 中韓に加え、米国、英国、EU、ロシア、オーストラリア、台湾、シンガポールなどが、靖国参拝を非難した。この時、安倍総理は「右翼」「軍国主義者」「歴史修正主義者」とレッテルを貼られ、世界的に孤立した。
 しかし、14年3月、ロシアがクリミアを併合すると、日米関係は好転する。「対ロシア制裁」に、日本の協力が必要だからだ。そして15年3月、今度は「AIIB事件」が起こった。英国、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラエル、韓国などが、続々と米国を裏切り、中国主導のAIIBに参加していく。
 その中で、日本だけは、米国以外の大国で唯一「AIIB不参加」を決めた。これで、米国にとって日本は、「英国よりもイスラエルよりも大事な国」になった。そして、4月29日の「希望の同盟」演説。オバマがいうように、日米関係は、これまでにないほど「強固」になったように思えた。
中国の戦略は、「日米分断」である。
よって、日本の戦略は、「日米一体化」である。
 安倍総理は、「希望の同盟」演説で日米一体化を成し遂げ、「戦略的勝利」をおさめた。しかし、「2つの失敗」を犯したことで、現在は再び苦境に陥っている。
■再び苦境に陥った安倍総理
「2つの失敗」とは何か?
実をいうと、1つ目の失敗は、「希望の同盟演説」の中にある。(太字筆者。以下同じ)
<日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
 戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。>
「この夏までに、成就させます」。これは、安倍総理が米国に「約束」したのだ。この約束が、「1つ目の失敗」である。
 なぜか?当たり前のことだが、約束は「守らなければならない」。つまり演説後、4ヵ月で「安保関連法案」を成立させる(「夏までに」というと、「夏に入る6月までに」という解釈もできるが、ここでは「夏中に」と考えることにする)。
 だから、急がなければならない。急ぐと、あせる。あせると、国民への説明が不十分になる。野党への根回しがイイカゲンになる。それでも「なんとか米国との約束を果たさねば」と必死になると、言動が「強引」「独裁的」になる。反対するマスコミが憎らしく思え、「懲らしめてやれ!」と思ったり、そう発言したりする議員が出てくる。結果、国民が、ますます内閣への疑念と嫌悪感を強めていくという悪循環になっている。
 そして、総理は、「米国との約束を果たすため」に急いでいるというのも重要なポイントだ。この態度は、いかにも「属国的」だ。実をいうと、国民は皆「日本=米国の属国」であることに気がついている。しかし、国政の長には、「自立した国のトップ」としてふるまってほしいのである。
 2つ目の失敗は、「中国との関係改善」である。二階俊博・自民党総務会長率いる約3000人の使節団が5月22~24日、中国を訪問した。習近平は5月23日、使節団の前に姿を現し、日本に「ラブコール」を送った。
<「朋あり遠方より来る、また楽しからずや。
 3000人余りの日本各界の方々遠路はるばるいらっしゃり、友好交流大会を開催する運びになった。われわれが大変喜びとするところだ。>
 なぜ日中関係改善が、「失敗」なのか?この時期、米中関係はどうなっていたのか、思い出してほしい。
<米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海
夕刊フジ 5月28日(木)16時56分配信
 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺の領有権をめぐり、米中両国間で緊張が走っている。

 軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国を牽制するべく、米国のオバマ政権が同海域への米軍派遣を示唆したが、中国側は対抗措置も辞さない構えで偶発的な軍事衝突も排除できない状況だ。>
 これは、5月28日の夕刊フジ。つまり、訪中団が、習近平と「日中関係改善」について話し合ってから、わずか5日後だ。実際、「習近平ラブコール」の日、既に米中関係は十分悪化していた。その時、米国の「希望の同盟国」であるはずの日本は「3000人」の「大訪中団」を送り込み、「戦略的互恵関係」について協議していたのだ。 
■日本に猜疑心を覚えた米国
「二階訪中団」が裏目に
 この状況、米国のリーダーの目にはどう映るだろうか?「安倍の演説は、ウソなのではないか?」「日本は、米国を『バックパッシング』しようとしているのではないか?」と考えるだろう。
 前回も書いたが、もう一度、おさらいをしよう。大国が敵と戦う戦略には、大きく2つある。
1. バランシング(直接均衡)…自国が「主人公」になって、敵の脅威と戦う。
2. バックパッシング(責任転嫁)…「他国と敵を戦わせる」こと。自国が直接、戦争によるダメージを受けずに済む。
 この場合の「バックパッシング」とはつまり、「日本は、米中を戦わせて、自分だけ漁夫の利を得ようとしている」ということ。もちろん、日本側にそのような「狡猾さ」はない。ただ単に、「中国と仲良くしたい」と考えただけだ。しかし、米国は、そうは取らないだろう。
 安倍総理は、「希望の同盟」演説で、日米同盟を改善させたのだから、しばらくは「米国への一途さ」を示すべきだった。もちろん、中国を挑発するのは論外だが、「3000人の訪中団」はやりすぎだろう。この訪中団で、「希望の同盟演説」で醸成された米国側の「日本愛」は、かなり冷めたと見るべきだ。
 第2の失敗「日中関係改善」が引き起こした、もう一つの現象は「国民が『安保関連法案』の意義を理解できなくなった」ことだ。
「集団的自衛権行使」を実現するための「安保関連法案」。反対派と賛成派の論理は、真っ向から対立している。反対派の論理は、「米国の戦争に巻き込まれる」である。米国は、21世紀に入って、アフガン、イラク、リビア(=北アフリカに位置)で戦争をしている。そして、13年にはシリアと戦争直前の状態になった。現在は、少し関係が改善しているが、イスラエルロビーのプッシュで、イラン戦争が起こる可能性も否定できない。
 つまり、「米国の戦争に巻き込まれる」というのは「中東戦争に自衛隊が送られることへの恐怖」といえるだろう。
 一方、賛成派の主張は、「尖閣、沖縄を狙う中国と対抗するために、日米関係をもっと緊密にしなければならない」。つまり、「中国の脅威があるから、安保関連法が必要だ」という論理だ。ところが、習近平のスピーチとスマイルで、日中関係が改善してしまった。これは、「安保関連法案」の視点からすると、「対中国で必要」という賛成派の主張への大きな打撃である。
「安保関連法案を通さなければならない時期」に、なぜ大訪中団を送ったのか、とても理解に苦しむ。
■強行採決すれば祖父と同じ道?
安倍総理が危機を脱出する方法
 では、安倍総理は、これからどう動けばいいのだろうか?問題の本質はなんだろう?論点は大きく分けて、2つに整理される。
 1つ目は、安倍総理が米国に「安保関連法案を、夏までに成立させる」と約束したこと。もし約束が守れなかったら、どうなるのだろう?元外務省国際情報局局長・孫崎享氏の著書「アメリカに潰された政治家たち」(小学館)は、こんな印象深いフレーズからはじまる。


<皆さんは、「日本の総理大臣」は誰が決めているのか、ご存知でしょうか?>(「アメリカに潰された政治家たち」8p)

<国民の与り知らぬところで何かが起き、いつのまにか総理の首がすげ替えられることは日本ではよくあります。しかも、政権が代わるたびに、日本におけるアメリカのプレゼンスが増大しているのです。(中略)
 そして、そのときに失脚した政治家は、おしなべてアメリカを激怒させる“虎の尾”を踏んでいました。>(同上10p)

 孫崎氏は、要するに「日本の総理大臣を決めているのは米国だ」と主張している。本当かどうか確認することはできないが、市井の「陰謀論者」ではなく、元外務省国際情報局局長の言葉であることが重要だ。そして国民も、「親米派の内閣は長続きするよね」と感じている(例、中曽根内閣、小泉内閣)。
 つまり、安倍総理は、米国との約束を破ることで、政権が崩壊することを恐れているのではないだろうか?(もちろん、総理の心の内面までわかるはずもないが)
 2つ目は安保関連法案を強行採決することで、さらに支持率が下がり、政権が崩壊すること。自民と公明は、安保関連法案を強行採決して成立させることができる。だが、それをやると、「独裁的だ」「やはり軍国主義者だ」との批判が高まり、安倍内閣は崩壊に向かうかもしれない。
 ちなみに、安倍氏の祖父である、故・岸信介元首相は1960年5月19日、「新安保条約」を強行採決した。しかし、2ヵ月後には総辞職している。安倍総理も、祖父と同じ道を行くかもしれない(あるいは、強行採決して支持率が下がっても、サバイバルする方法を見つけるかもしれないが)。
 もう一度整理すると、
1、米国との約束を破れば、安倍内閣は崩壊するかもしれない。
2、しかし、国民を無視して「強行採決」すれば、民意によって安倍内閣は崩壊するかもしれない。
 要するに、「止まっても崩壊」「進んでも崩壊」だ。もちろん、必ずそうなるわけではないが、非常に舵取りが難しい局面であることは間違いない。
 筆者が安倍総理にお勧めしたいのは、日本国民と米国、両方によい道である。たとえば、こんな会話だ。
日本:「親中派の巻き返しが激しく、約束は果たせない」
米国:「強行採決したらどうなるか?」
日本:「強行採決は可能だが、それをやると国民の反発が高まり、退陣に追い込まれる可能性がある」
米国:「あなたが辞めたらどうなるか?誰が次の総理になるか?」
 ここで、「3000人訪中団を率いたバリバリの親中派・二階氏が最有力候補だ」と伝えるのだ。すると米国は、「二階氏が総理になると日本はどうなるか?」と質問してくるだろう。総理は、「鳩山・小沢時代のごとく、日米同盟はメチャクチャになるだろう」と伝える。
 要するに、「約束は守れないが、私が総理を続投しなければ大変なことになる」と主張するのだ。「小鳩時代の悪夢再現」を恐れる米国は、納得してくれるのではないだろうか。こうして時間を確保した総理は、腰をすえて「安保理関連法案」成立に取り組むことができる。
 国民への説明と野党への根回しをより丁寧にしていくことで、「独裁」「軍国主義者」という批判を和らげることができるだろう。
P.S
.ちなみに筆者は、「安保関連法案」を支持している。それは、「集団的自衛行使容認」を支持するのと同じ理由である。総理の「手法」に不満な方も、是非こちらの記事(「集団的自衛権」行使容認は日本の「安全」のため
戦争準備に入った中国を牽制する唯一の道)を参考にしていただきたい。

蓮は「因果倶時」の象徴

2015-07-14 07:42:35 | 伝えたい言葉
仏法用語に「因果倶時」がある。
指が火に触れて「熱い!」と感じる。
指が火に触れるのが「因」で、熱いと感じるのが「果」である。
それは一瞬の因果である。
春に種をまき、秋に実がなるのは原因と結果である。
暴飲暴食が原因で、体調を崩すのが結果である。
「依正不二」
依報と正報は不二。
依報は環境
正報はわが身
人間は環境に左右される身である。
仏法用語は理にかなっているのだ。



本願寺に今朝も蓮の花を見に行く。
花と実が同時である。
蓮は「因果倶時」の象徴である。











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「お早うございます。暑くなりまあしたね」

2015-07-14 07:37:08 | 雑記・断片・映像


昨日は暑いので、風&ミストの扇風機を出した。
袋もかけずに部屋の隅に放置してあったので埃がかなり溜まっていた。
カバーのネジを外してプロペラなどを掃除した。
冷暖房兼用の装置はほとんど使っていなかったのに、壊れて始動しないので、風&ミストの扇風機を昨年買ったのだ。
気温が38度、39度の地方もあり異常な暑さだ。
今朝の散歩でも「お早うございます」の挨拶し、「急に暑くなりましたね」と言葉を添えた。
「暑いね」と知人の額田さん(仮名)の隣の人は応じた。
何時ものように門の前の道路に立ってタバコを吸っていた。
以前、アンケートを依頼した人である。
快く応じてくれたので好感が持てる人だ。
「風が強いですね」
「台風の影響かな」
「そうかもしれませんね」
「お早うございます」の挨拶に、「お疲れ様です」を付け加えている知人の遠井さんをまねけ「お疲れ様」を付け加えようと思っているがスムースに出てこないので、「暑くなりました」と付け加えたら、今朝の散歩で、3人のご婦人が「ホント!暑いわね」と応じてくれた。
今日はビン出しの日だ。
前回はカンを出すのも忘れたが、ビンは2回出し忘れて、台所にかなり溜まっていた。
毎日、ワンカップ2本飲んでいるので、ビンなら20日で60本貯まる。
ビンは無職、青、茶に分別する。
高級そうなワインのビン、日本酒の大吟醸のビンもゴミ集積場に結構出ていた。
1本136円や100円のワンカップの安酒のビンを大量に出すのは当方くらいだ。














ビデオ「心こそ大切」を見た

2015-07-14 06:59:00 | 雑記・断片・映像
昨日はご婦人だけの会合へ出た。
司会者を務めた。
会合へ誘いで作曲家の御園さんにも声をかけたが、「忙しんだ。仕事をしているので出られない」とうので、木曜日の会合へ誘ったら、「この会場の家は何処?」と聞く。
「そこの前の道に面していまして、右側です。前の家(本田さん)と同じ白いコンクリートの塀の家です。表通りから3本目の道です。迎えに行きますよ」と答えた。
歌をみんなで歌い、それから月刊誌の巻頭言を堀田さん(仮名)が朗読。
ビデオ「心こそ大切」を見た。
その後で、当方が活動体験を報告したが、ビデオの活動体験と比べ見劣りしたことは否めなかった。
あとは個人的に活動体験を語ってもらった。
ついで主催者挨拶、お孫さんが生まれるので武田さん(仮名)が欠席したので、代わって倉田さん(仮名)が挨拶をした。
最後にグリーティング・タイムで内山さんが活動報告。
若いころからの体験談には共感できた。
当方のカメラで記念撮影をした。
前日、お腹が痛いので朝食、昼食も抜き、ヨーグルトだけを食べて会合へ参加したが、夕食はお粥にした。
それでも酒は2合飲む。












アプリが救う命

2015-07-14 03:46:56 | 医療と介護
変貌する救急救命現場
毎日新聞 2015年7月7日 経済プレミア
林信行 / ITジャーナリスト
 今、スマートフォンやタブレットの登場で医療の世界が大きく変わろうとしている。ただカルテ管理に使われるだけの話ではない。実際に医療の現場で起こっていること、起こりつつあることを実在のアプリを例に描いた。

■急患の情報を共有、救急搬送時間も短縮
 例えば、ある人が散歩中に倒れたとする。脳卒中の恐れがあった彼は、あらかじめ「i-Stroke」(アイストローク、富士フイルム)というアプリをスマートフォンに入れていた。緊急時、ボタンを押せばかかりつけの医師や家族に連絡がとれるだけでなく、医療情報も送信されるよう準備していたのだ。
 かかりつけの医師は連絡が取れない状態だったが、家族が消防に伝え、救急車がやってきた。これまでは受け入れ病院が見つかるまで、救急車の中から病院一軒一軒に電話をかけて確認する必要があった。しかし2011年、佐賀県が県内すべての救急車にiPadを導入して以降、一覧表から瞬時に受け入れ可能な病院を見つけられるようになり、搬送時間の短縮に結びついた。この仕組みは奈良県や埼玉県などでも取り入れられ、全国に広がりつつある。
救急車内でiPadを操作する救急隊員=佐賀県提供
 患者に意識があれば救急車の中で問診を行う。iPadには多数の問診票アプリがある。その多くは言語切り替えボタンや手書き機能があり、日本語が通じない患者にも対応できるようになっている。

■電子基板入り錠剤で体内分泌物をリアルタイム確認
 この急患が病院で手術を受けることになったとしよう。実はiPadには「OsiriX」(オザイリクス、ニュートン・グラフィックス社)というアプリに代表される医療画像表示アプリが多数ある。
 手術台の脇に置いた滅菌コートの袋に入れたiPadには、CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像化装置)の画像が表示される。タッチ操作で自由自在に好きな角度から画像を確認できる。これまでは、手術台から離れた場所にあるモニターに表示し、リモコンで操作しなければならなかったのだ。
 手術後、入院することになった患者のベッド脇には、血圧や心拍数などの情報をリアルタイムで表示する心拍計がつながれる。今ではこの心拍計の情報を、スマートフォンで院外からリアルタイムで確認できる。タッチ操作で、急な容体変化があった時間帯まで表示を巻き戻すことができるため、医師もこれまでより安心して外出ができる。
患者の同意を得て、iPhoneで日常データを集め、難病治療に役立てるアップル社のResearchKit
 体の内側から調査する装置も登場している。米プロテウス・デジタル・ヘルス社が開発し、日本では大塚製薬が扱うデジタルメディシンは、電子基板が入った錠剤を患者がのみ込むと、体の内側から医師のスマートフォンに分泌液の成分などの情報を送ってくれる。
 さらに、iPadには患者のリハビリを支援する動画入りアプリも多数ある。米国では、通院できない期間も継続的に、病院側と症状のデータを共有できるアプリなども登場し始めている。

■スマホ経由でデータを集め、難病治療に活用
 万が一、片腕や片足を失うようなことになっても、スマートフォンと連携してより細かな動きができるように進化した義手や、心地よい足の角度を学習してくれる義足も開発されている。
 日本語には対応していないが、手に持った薬のビンをスマートフォンで撮影すると、音声で薬の名前や容量、用法を読み上げてくれる「TapTapSee」という視覚障害者向けの画像認識アプリは、視弱者の誤飲などを防いでくれる。
 ジーエヌリサウンド社(本社デンマーク)のReSound LiNX(リサウンド・リンクス)シリーズは、アップル社と共同開発されたスマートフォン連携補聴器だ。これまでの補聴器では難しかった通話を可能にするだけでなく、GPS(全地球測位システム)の位置情報を使って、場所ごとに音質を自動調整したり、紛失した補聴器をiPhoneで捜したりする機能があり、難聴者の活動範囲を大きく広げてくれる。
 これに加えてスマートフォンと連携する体重・体脂肪計、血圧計、心拍計、グルコースメーター(血糖値測定器)、活動量計(歩数計の一種)といった製品も続々と登場している。これまでは各社各様でつくっていたが、アップル社とグーグル社がそれぞれのスマートフォン用の技術標準を定めたため、今後はこうした日常データが医療に使われる可能性も出てきた。
Apple Watchで体調データを記録するアプリも登場
 アップル社ではスマートフォンを使って患者のデータを日常的に集めることで糖尿病やぜんそく、パーキンソン病などの難病の治療法を模索する手助けも始めている。今、スマートフォン、タブレットで医療が大きく変わろうとしている。
■≪ 教 訓 ≫ 医療×IT
 スマートフォンを使った医療革命は手術室、リハビリの現場などのニーズから生まれたものが多い。iPadを搭載した佐賀県の救急車の事例は、ドクターヘリの導入を模索していた県職員が救急搬送の現場に足しげく通って発案し、その結果、世界が注目する事例になった。本当に世の中を変えるのは技術主導でなく、こうした現場のニーズを丁寧に観察してつくったソリューションだ。

林信行:ITジャーナリスト
1967年生まれ。アップルやグーグルの動向や技術、製品を継続的に取材対象としており、情報技術分野のテクノロジーに明るい。近年は、自動車やファッションなどのさまざまな業界におけるIT活用の取り組みに関心を持ち、人々の暮らしや社会にもたらす変化をテーマとしている。著書多数。















武田薬品の引き抜き外国人電撃辞任

2015-07-14 03:45:18 | 医療と介護
高報酬「もらい逃げ」の声

DIAMOND online 2015年7月13日 週刊ダイヤモンド編集部

「株主の皆さまには、ご心配、ご迷惑を掛けて誠に申し訳ない」
 製薬大手、武田薬品工業の定時株主総会が開かれた6月26日。長谷川閑史会長は、株主たちを前にそう謝罪した。
 武田は、総会直前になって議案を修正するという赤恥をかいていた。総会のわずか2日前、再任予定だった武田初のCFO(財務最高責任者)、フランソワ・ロジェ氏が電撃退任したのだ。
 ロジェ氏は、2017年度までに1200億円のコスト削減を目指す「プロジェクト・サミット」のタクトを振った外国人幹部だ。「人事のグローバル化」にまい進する長谷川会長が、海外企業からロジェ氏をCFOに引き抜いたのは一昨年の9月、取締役就任は昨年6月だ。それからわずか1年たたずして、スイスの食品大手、ネスレに引き抜かれた。
■突出する武田の役員報酬
「もらい逃げではないか」──。総会に出席した武田関係者でもある株主の1人はそう憤る。ロジェ氏の昨年度の役員報酬は3億円超。「プロジェクト・サミット」開始2年で、削減額620億円という実績を残したものの、高給を食みながら道半ばで投げ出した格好だ。
「口では『タケダイズムを踏襲する』と言うが、結局、金で連れてきた者は金で出ていく」と、この株主は現経営陣に不信を隠さない。
 実際、武田の役員報酬は、国内製薬会社で突出する。しかも、そのメンツは、日米双方の国籍を持つ山田忠孝CMSO(6月26日付で退任)の9億円超えを筆頭に外国人ばかりだ。

 一方、武田の昨年度決算は、米国での糖尿病治療薬「アクトス」訴訟の和解金計上で、上場来初の赤字。さらに、6月12日に、高血圧症治療薬「ブロプレス」の誇大広告で、厚生労働省から業務改善命令を受けた。追い打ちとなるロジェ氏の退任に、武田の日本人社員からも「正直、やる気が削がれる」と士気低下の声が漏れる。
 OBたちが長谷川会長の経営責任を問い、大荒れとなった昨年とは違い、今年の総会は、表面的には平静を保った。とはいえ、「2年はあまりに短い。この役職では非常に例外的」と、ロジェ氏の喪失を嘆いてみせたクリストフ・ウェバー社長CEOにも、株主からは「骨をうずめるつもりはあるのか」という際どい質問が飛んだ。
 “青い目”の武田は失地回復できるのか。株主の見極めはこれからが本番だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)











マイナンバーで企業に大きな負担

2015-07-14 03:43:49 | 医療と介護
個人資産は丸裸に!?

DIAMOND online 2015年7月13日『週刊ダイヤモンド』2015年7月18日号より

10月から国民一人一人にマイナンバーという「背番号」が割り振られます。いったいマイナンバーとは何なのか、私たちの暮らしはどう変わるのか。
 マイナンバーをめぐっては、行政手続きの簡素化や、将来的にはさまざまな民間サービスが受けられるメリットがある半面、個人資産が丸裸にされ課税が強化されることや、万一の情報流出による悪用の懸念など、デメリットも指摘されている。いったいどんな“不都合”があるのだろうか。
「小さく生んで大きく育てる」──。マイナンバー制度について語るときに、政府関係者や関係省庁、立ち上げに携わってきた人々の間で、合言葉のようになっているセリフだ。
 まずは、社会保障や税金に関する最低限の行政手続きに利用するものとして、マイナンバーという制度を“生む”。そして、ゆくゆくは国民の理解を得ながら世の中に浸透させていき、その他の行政手続きや民間利用にまで範囲を広げて利便性を高め、“育てる”ことを思い描いているのだ。
 ただ、その“育て方”には、よく目を凝らしておいた方がよさそうだ。多くの国民が、この10月から個人番号の通知カードが配られ始めることや、来年1月から制度が開始することをよく知らない。そんな中で、制度開始前からマイナンバーに関する改正法案を国会で議論し、早くも利用範囲の拡大を図ろうとしているからだ。
 中でもその動きが気になる“育ての親”といえば、何といっても国税庁だろう。番号制度とは、国税庁にとって税金の取りっぱぐれを防ぐための最強の武器。その導入は宿願といわれてきた。
 導入当初の仕組みでは、まったくもって不完全な代物にすぎない。しかし、最終的には「国税庁は番号を使って、国民の資産のフローとストック、両方の情報を全て押さえにかかるつもりだろう」と、ある税理士業界の関係者は見立てを語る。
 制度の導入当初は、給料に加えて銀行の投資信託口座や証券口座、積立型・年金型保険、死亡保険などに番号がひも付くことが決まっている。100万円以上の国内入金・海外送金も同様だ。
 これを第1段階とすると、ある程度のお金の流れは見えても、資産のストックは見えてこないので、国税庁が思い描く最終形には程遠い。そこで、第2段階として構想が練られているのが、銀行の預金口座とのひも付けだ。番号と預金口座のひも付けが進んでいくと、精緻にお金の流れを追い掛けることができるようになる。
 例えば、これまで使われてきた税金逃れの“隠れみの”も、マイナンバーにかかればその意味を失う。
 自宅から遠く離れた場所につくった銀行口座は「遠隔地預金」などと呼ばれ、これまでは税務調査官の目も届きにくかった。しかし、それも番号で照会をかければ、すぐにたどり着くことができるようになるのだ。
 あなたの資産が丸裸にされる日も、そう遠くはないかもしれない。
 一方、番号制度は、全国約400万社の事業者すべてに大きな負担を強いている。
■制度対応でてんてこ舞い
不満募らせる民間企業
 6月中旬、都内のある貸し会議室では、企業の担当者向けにマイナンバー制度の対策セミナーが行われていた。
「つい先日、会社でマイナンバー担当を言い渡されてしまって。企業のメリットがないのでおっくうですが、このセミナーを機にうちも対策を始めます」
 ある中小企業のマイナンバー担当者は、不安げな表情でこう語った。最近、対策セミナーには企業の担当者が殺到し、「即、予約が埋まってしまう状態」(セミナー主催者)だという。
 また、最近のセミナーには、ある特徴がある。「受講者の半数近くを小売りと外食企業の担当者が占めることが多い」(同)というのだ。後述するように、これらの業界はとりわけ制度対応が大変だからである。
 企業の制度対応の作業は、業種によってかなり違う。番号を集める対象者が多ければ多いほど、作業は煩雑になる。
 アルバイトが多く、収集する番号が膨大な数に上るのが、小売りや外食業界だ。
 例えば、コンビニエンスストア大手のローソンは、全国に約1万2000の店舗を構えている。仮に1店舗当たり20人分の番号を集めるとすると、24万件という膨大な数の収集を迫られる。
 また、これらの業界は、フランチャイズでの店舗展開も多く、誰が番号を収集すべきなのか、という問題も生じている。フランチャイズ店は、本来はアルバイトの雇用者であるオーナーが収集するのが筋だ。
 しかし、本部には、店舗に任せておけない事情がある。「オーナーの管理が甘く、番号が流出してしまうと、本部も責任を問われる。どうやって番号を集めるのかを早急に検討しないといけない」(小売業界関係者)。
 加えて、小売りや外食業界は、アルバイトが多いため従業員の流動性が高く、番号収集・破棄の頻度も高い。それだけに、番号管理には厳重な対応が求められる。
 今回の番号制度では、情報漏えいの罰則が厳しく、企業は戦々恐々の状態なのだ。











■個人も企業担当者も必読
マイナンバーの全てが分かる!
『週刊ダイヤモンド』7月18日号の第1特集は、「徴税強化か、魔法の番号か マイナンバーの正体」です。
 5月末に発覚した100万件を超える年金の個人情報流出。日本年金機構のずさんな情報管理に不安を感じた人も多いでしょう。図らずも、これがマイナンバーを世に知らしめるきっかけとなりました。
 マイナンバーとは、生まれたばかりの赤ん坊からお年寄りまで、すべての国民に割り振られる「背番号」です。全国民・全事業所が関わる重要な制度なのですが、その内容を理解している人は少ないでしょう。
 そこで本特集では、「ナンバちゃんがズバリ答える!マイナンバーの質問・疑問」など、制度の概要をわかりやすく解説しています。
 さらに、国民の関心が高まっている情報漏えいのリスクについても、年金の情報漏れを事例に挙げながら検証しました。
 また、マイナンバー制度への対応でお困りの日本全国の担当者のために、「マイナンバー制度導入ガイド」も作りました。導入を4段階・9STEPに分けて、どんなことに注意して進めればいいのかというツボをまとめてあります。ぜひお役立てください。
 10月、マイナンバーがあなたのところにやって来ます。果たしてあなたの背番号は何番でしょうか?
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 前田 剛)




「本物のリーダー」に望まれるもの

2015-07-14 03:38:15 | 伝えたい言葉
なぜ、韓国や中国はいまだに日本を恨むのか

下記のブログは、安倍さんにそのまま読んでいただきたいです。

また、韓国や中国のリーダー達にも。

なぜ戦争が起きたのか。なぜ、韓国や中国はいまだに日本を恨むのか。
なぜ、政府間で結論を出したのに、いまだに尾を引くのか。

わかっていない人はリーダーの資格がない。
しかし、わかっていて、政治的に意図的に、国民に偏見を作り出そうと
するリーダーは質(たち)が悪い。国民を危ないところに向ける。

「本物のリーダー」を渇望

学問の土台となる「人格」を耕すものがリベラルアーツ教育だ。
よりよい人生の扉をひらくための「鍵」となるものだ。
私たちが何かを成し遂げるためには、先人が何を成してきたかを知らなければならない。
ゆえに過去の歴史や哲学、芸術についての
幅広い知識が必要だ。
「世の中には、人々を分断するよりも、結び付けることの方が多い」と感じとってほしい。
例えば社会について学ぶ時、一般的には人々の「差為」について取り上げることが多い。そこに「差別」や「優劣」といった考え方が含まれている場合がある。
差別ばかり追っていては、他者への理解やステレオタイプ(固定観念)を助長しかねない。
情報をうのみにせず、多面的に物事を捉え、自ら判断する力である。
この「本質を見極める力」は、それは、外に対してもそうであるが、自身の内面にも向けられるべきだと思う。
人は誰しも生まれ育った環境によって、ある種の固定観念や他者への偏見を持っている。
差別を生み出す、こうした偏見に対する特効薬はない。
「考え違いをしていないか」
「固定観念にとらわれてはいないか」と常に自身を見つめ直す以外にない。
また、「自ら問題設定して解决する力」である。
人から与えられたテーマにとらわれると、偏った情報しか探せない。
でも、自分の疑問から始めれば、触れる情報
全てが思考を深める要素になる。
「開かれた心で問いを立て、答えを導く出す力」は、将来、どんな仕事に携わろうとも必ず生きてくる。
リーダーシップの問題である。
人々を誤った方向へ導いてしまうリーダーがいる一方、大変な状況の中でも人々を正しい方向へ導いいていくリーダーも存在する。
世界は今、確かな哲学を持ち、大局観から物事を捉え、未来のビジョンを描くことができる「本物のリーダー」を渇望している。

横浜高校硬式野球部監督の渡辺元智氏は、高校創立者である黒土四郎の人生の教訓を座右の銘としており、指導の際に用いている。
………………………………………………………
富士山に登る第一歩
三笠山に登る第一歩
同じ一歩でも覚悟が違う
どこまで登るつもりか
目標がその日その日を支配する
………………………………………………………

富士山に登るを、戦争のない世界、あるいは飢餓のない世界を目指す
三笠山に登るを、戦争のない日本、あるいは飢餓のない日本を目指す 
と置き換えてもよいかもしれない。








10年やれば専門家 20年やれば大家に

2015-07-14 01:54:54 | 創作欄
人は使命を自覚した時に、急激に伸びる。
先人の言葉に一郎は納得した。
「文学をやりなさい」と崇拝する病理学者の吉田富三先生に諭されていたが、大学の恩師の森脇教授の言葉にも拘り続けていた。
就職は一流の新聞社には到底及ばなかったが、日本工業新聞社に入社した時に、国文科の主任教授であった森脇教授に報告に行く。
「そうなのか。就職したのか。4月から出勤だね。頑張りなさい。君には短歌の才能があるのだから、続けなさい。どの道を進もうと10年やれば専門家だ。20年やれば大家になるはずだ」
一郎は「どの道に進もうと」に背中を押された気持ちとなる。
森脇教授は萬葉集の研究では大家と評されていた。
4月1日から出勤するものとばかり想っていたが、3月1日からの出勤であった。
まだ、卒業式前である。
一郎は学生気分が抜けきれず、日本工業新聞社の仕事に身を入れることが出来ないでいた。
偶然、大学の先輩の一人が社内に居て、昼飯に誘ってくれた。
産経新聞の姉妹纸であった日本工業新聞社は産経会館の6階にあった。
大手町地下街の食堂に先輩の木嶋哲郎が一郎を誘った。
「編集を希望したが、2年間も営業だ。営業の仕事はつまらん。沼田も営業だろう。長く続ける仕事じゃないよ。今、俺は就職活動中だ」木嶋は冷笑を浮かべながらカレーライスを口に運んだ。
一郎もカレーライスを食べていた。
社内に先輩がいたことで気強く思っていた一郎は拍子抜けがした気分となる。
「広告が取れないので、上司に嫌味を言われてな、腹が立つ!」木嶋は怒りを露にし、スプンで皿を叩く。
一郎は1週間の研修期間であったが、前途に不安を覚えていた。
そして、研修期間を終えてから出勤しなくなる。
当然、会社の方から何らかの連絡があると思ったが、その連絡もなかったのだ。
つまり社員が定着しない企業と一郎には想われたのだ。
日本工業新聞社にとっては一郎はどうでもいい人材であったようだ。