(11:17 ~ 11:32 厚生労働省内会見室)
【厚生労働省広報室】
会見の詳細
《閣議等について》
(大臣)
おはようございます。私の方から、本日閣議前に官邸で犯罪対策閣僚会議が開催されました。この中で、「犯罪に戻らない・戻さない宣言」、それと「人身取引対策行動計画2014」の取りまとめを行いまして、これらに基づいて今後の取組を進めていくことを確認いたしました。私からは、11月19日に成立いたしました議員立法が明日17日から施行されるため、危険ドラッグ対策につきまして、厚生労働省の最近の取組の状況を御報告いたしました。厚生労働省としては、この法律を最大限に活用することによって、危険ドラッグの撲滅に向け、機動的かつ実効性のある取締りに取り組んでいく旨を発言いたしました。
それから、閣議後に政労使会議がございましたけれども、本日の政労使会議において「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」が取りまとめられました。この取りまとめには、賃金上昇等による継続的な好循環の確立、賃金体系について労使が十分に話合い、各社にあった見直しに取り組むこと、休み方・働き方改革の推進などが盛り込まれております。厚生労働省としても、10月に「長時間労働削減推進本部」を立ち上げまして、さらに生産性向上に向けた具体的なプランを考えていきたい旨、私から発言いたしました。加えて、非正規雇用労働者のキャリアアップや、正社員転換、人材の能力開発等に積極的に取り組み、人材の付加価値を高めることを通じて、雇用や所得の増加を伴う、経済の好循環に貢献していきたいと考えておりますということを申し上げたところでございます。犯罪対策閣僚会議及び政労使会議に関しての御報告でございました。
《質疑》
(記者)
まずは大臣、再選おめでとうございます。
(大臣)
ありがとうございます。
(記者)
その衆議院(選挙)が終わりまして、戦後最低の投票率の中で、与党が圧勝したという結果になったんですが、その選挙の結果をまずどのように受け止めておられるかというのをお聞かせいただければと思います。
(大臣)
今回は消費税の2パーセント引上げを来年10月から1年半延ばさせてくださいということが問われる選挙というのが、第一のきっかけでありましたが、私はあと二つ選挙の大義を申し上げてきまして、一つは(消費税引上げを)1年半延ばすけれども、それ以上は延ばさないという、言ってみれば社会保障と税の一体改革の枠組みは変えない、そして財政再建についても責任を持つということで、民主党など野党がいつ2パーセント上げるのかということについてマニフェストで言わないこととは、際だった違いを自民党、公明党は明確にしたということでありました。これについてどう考えるのか。それから3番目は、この来年の約1年、加えて1年半の合計2年半の間に徹底的にアベノミクスを加速して、経済の好循環がやっと出来上がってきた、この流れをさらに強化するということについて、どうお考えになるのかという3点が問われた選挙だったと思います。
結論的には、国民の皆様方にはそのような方向でやるべしというメッセージだというふうに、この結果を受け止めるべきだと思っております。残念ながら、あまり中身について具体的な野党側からの逆提案というものが乏しいという中で、議論が盛り上がらなかったわけでありますが、野党側からは。郵政解散の時も最初は国民も争点がよく見えないということがあったかと思いますが、時間が今回よりはあったということもあったと思いますが、だんだんと国民生活への郵政民営化の意味というのがだんだんと浸透するにしたがって、盛り上がって、関心が国民的に高まったということがあって、今回その分議論が深まらなかったが故に投票率があんまり上がらなかったということで、少し残念な思いが残りましたけれども、おおむね私どもが提起した問題については、受け止めていただいたんではないかというふうに思っています。
(記者)
政労使会議についてなんですけれども、春闘での賃上げ、昨年のですね、春闘への賃上げの後押しのような形に今回もなると思うんですけれども、労働組合の組織率が17パーセント台にある中で、春闘での賃上げが労働者全体への賃上げに拡がっていかないんではないかという指摘がありますけれども、労組(労働組合)全体の賃上げに関してどのような方法が適切かと思われますか。
(大臣)
基本はやはり経済が強くなる、すなわち企業がちゃんと利益を上げられる、競争力を回復するという、そこがやはり一番大事で、我が国の経済の抱える最大の問題点は生産性が低いということが問題で、そうなると企業も収益も上げられない、そして同時に国際競争もあって、賃金が上がらないという問題点があったと思いますし、それに取り組むということが最大のテーマの一つだと私は思っています。したがって、賃金を上げるという結果を引き出すためには、正攻法で企業の生産性をどう上げていくのかということをやることが、一つの大きな柱になろうかと思いますが、今回政労使で、昨年、そしてまた今年と同じようにやっているのは、やっと中小企業でも少しずつこの賃上げをする動きが広まりつつあるというをさらに後押しする意味もあって、今回のような政労使の合意の中で、来年に向けてもやはり賃上げをお願いするということで合意を得たということは、雰囲気を作ったという意味においては意味があると思いますが、原則はやはり今申し上げたように生産性をどう上げて、収益力、そして賃上げをする環境をどう整えるかということが大事かなと思います。
(記者)
衆議院選挙の受け止めに関連してなんですけれども、今回、消費税率引上げが先送りされたことで、社会保障の充実についても一部では遅れが出る、影響が出るということが指摘されています。この点についてですね、政府としては優先順位を付けて進めていくという考えですけれども、塩崎大臣は選挙が終わって、今の御感想としては考えに変わりはないんでしょうか。
(大臣)
今、申し上げたように、社会保障と税の一体改革そのものについての考え方は維持するというのが総理からの明確なメッセージだったわけですから、そうなると1年半の間をどうこなしていくかということなので、ここについて、来年度からでありますから、(消費税の8パーセントから10パーセントへの引上げが)半年分ももう入っていたわけですから、どのような知恵を出せるかということを予算編成の過程の中で考えていくということで、いくつか選挙戦を通じて明確にしたメッセージ、すなわち子ども・子育て支援新制度は予定どおりやるとか、あるいは年金についてはやはり少し時間を待たないといけないというようなこともありますが、その他のことについて、今後、本格的に詰めていくという作業をやって、できる限り国民の皆様方の期待に応えていくということが大事だというふうに思います。
(記者)
関連でですね、その中で、今、言及されなかった部分で言いますと、医療保険制度改革のうちですね、国民健康保険の財政基盤を強化するための1,700億円の財政支援というものがあります。これも医療保険制度改革の本体の大きな柱になっているんですけれども、この1,700億円の支援がないとそもそも改革が成り立たなくなってしまうという懸念もあります。この点について、塩崎大臣としては先送りできないというお考えなんでしょうか。
(大臣)
国民健康保険を改革をして、これは県単位化をするわけですけれども、これについての方向性は我々は維持をしなければいけないというふうに思っています。中身の数字については、基本的な数字というのはもうすでに御指摘のような数字があるわけですけれども、これも含めて、連立方程式になってきますから、全体状況の中でどれだけ改革を前に進め、改革の目的を達成するために何をすることが必要なのかということをこれから考えていくということだと思います。
(記者)
介護報酬についてうかがいたいんですけれども、来年度改定がありますけれども、一部の報道で引下げというような報道もありますけれども、介護報酬を巡っては財務省の審議会からも6パーセント程度の引下げが求められていますが、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)
少なくとも、今日、報道がいくつかございましたけれども、その介護報酬の引下げの方針を固めたという事実はございませんし、私は選挙が本格的に始まる前に、私のいない間に物事を決まらないようにということは明確に事務方にも言っておきましたので、何も決まっていないというふうに私は理解しております。全体の改定率については、収支差率などをもって一律に決めるような話でももちろんないわけですし、個別のサービスを巡る事情とか、あるいはこれから本格的に実現していこうとしている地域包括ケアシステムをどう実現していくのかといった様々な政策課題というのがあるわけで、これをどう達成するかということを全体として政策的な組み合わせとして総合的に判断すると、勘案していく必要が当然あるわけで、これも先ほど申し上げたような連立方程式の中でいろいろ考えていかなきゃいけない、予算編成過程での決定事項というふうに思っておりますので、今後、選挙も終わったことでもありますから、これから大車輪で関係者とよく協議をし、しっかりと対応しなければいけませんと思っております。何しろ、この介護報酬決定というのは当然、利用者にとっても大きな意味を持ちますし、事業者にとっても大きな意味を持ちますから、この影響なども含めて、しっかり慎重に判断をしていくということが大事ではないかなというふうに思っております。
(記者)
関連してうかがいます。選挙戦の弊社などのテレビに出ていただいた時に、安倍総理が認知症の対策ですとか、介護職員の処遇改善には取り組みますというようなことをおっしゃったことがありまして、総理から特にこういうお年寄り関係のことで何か指示があるのかどうかをお願いします。
(大臣)
具体的には特に、数字的なものについて指示があるわけではございません。しかし、介護職員の処遇改善も含めた人材確保というのは当然重要な課題であることはもう言うまでもないことでありますし、総理からもこの質の高い介護サービスが安定的に供給されるために、そういったことには十分配慮するということは選挙戦を通じて明確にしてきたことでもあります。介護職員の処遇改善が進むように、我々としても引き続き積極的に取り組んでいきたいと思いますし、認知症対策については認知症サミットの後継イベントが東京で開催された時に、総理から明確に、今までは厚労省のオレンジプランであったけれども、これを全省、オール政府の国家戦略に格上げをせいと、こういうことを事実上指示があったわけでありますから、国家戦略として何を最終的に予算化するのかというようなことは今後その中身とともに詰めていかなければいけないことだというふうに思います。