会社の地方支店に勤めていた頃の話です。
仕事のことで、支社長に電話することがありました。
「はい、○○の××でございます」 出てきた声のトーンがオクターブ高い。(えっ、気持ちワル~)
「なんだ、□□か」 わたしからの電話とわかったときの変わりよう。(こいつ、2枚声か)
トップセールスとかにつき合わされているときの、ざっくばらんな口調でした。
(なんだ、とはなんだ) ざっくばらんは別にかまわないけれど、ほんと、イヤなやつ。
ある時、顧客の社長が、親指を突き出しながら、わたしに聞きました。
「おたくのコレ、何が好き? 酒? 麻雀? ゴルフ? 金? 女?」
これまた露骨に訊くので、思わず笑いながら、たぶん、みんな好きでしょう・・・。
30数年前の話ですが、そういえば、体形がいまの総理に似ていたな~。
早口で時々舌がもつれるところとか、気持ちがたかぶると声が高くなるところも似ている。
何より似ていたのが、やたら断定形容詞?を乱発するところ。
きっぱりと、確実に、必ずや、完全に、断固として、全力で・・・。
肝心の内容のほうは相手には伝わらない。相手の表情を見ていればわかります。
(何だ、コイツの言っていることは・・・)。そばで聞いているこちらに相手の腹の中の声。
仕方ないから、後日、先方へ顔を出して、かくかくしかじかで・・・。
「話はよくわかった。でも、この前の人は何が言いたいのかさっぱり・・・たいへんだね、おたくも」
総理の周囲も、けっこう後始末とか尻拭いとかに奔走している人がいっぱいいるでしょうね。
先の親指社長の話ですが、とりあえず、酒の席を設けましょう、という話に。
小粋な料亭の座敷に招かれ、わたしもご相伴。女将かママさんか・・・別嬪さんでした。
で、その後、総理似の支社長は、トップセールスと称して、たびたび支店のほうへ。
夜はかならずその店へ。もちろん自前でなんか払いません。
看板までいて、その店の女の子を連れだし、また、飲み食いに行ったり・・・いい加減にしろ。
ある時、別嬪のママさんと街中でバッタリ。
親指出して、うちのこれ、迷惑おかけして・・・。
「商売じゃなきゃ、とっくに蹴とばしているわよ・・・あなたもたいへんね、こんど一人で来て」
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