人間五十年が八十年になり百年になり・・・。
祝の盃が銀メッキになり、やがては銅メッキになるかも。
なんて考えるのは、「年寄りの日」の後遺症。
いつのお生まれです?
天正10年でして。
それはそれはまだお若い。わたしなど建久元年ですぞ。
てな会話がそのうち日常茶飯に交わされる・・・ことはないか。
天正10年というのは本能寺の変・・・1582年。
織田信長享年49歳で没した年である。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。
その信長が好んで謡い舞ったという幸若舞の一節。
一度生を受け滅せぬ者の有るべきか・・・と続きます。
下天とはどこか?
人が輪廻する世界は6つあり、これを六道という。
地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天上界。
天上界の中も六欲天・色界・無色界に分かれ、欲から離れるほど上界に行く。
六欲天のうち最も人間界に近いところに四天王がいる。
この四天王の住む世界を下天という・・・仏教の世界も複雑なんです。
下天界の一日の長さは、人間界の五十年に相当する。
かくして、人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。
というわけですが、なぜこんなことを書いているのでしょう?