35年ほど前、地方の都市で3年間ほど仕事をしたことがあります。
何をやっていたかというと、小型コンピュータを用いたシステムの売り込み。
本来、営業の仕事なのですが、支店にはシステムを知っている社員がいない。
そこで、本来は技術何とかだったわたしがにわか営業マンに。
といっても、システム・エンジニアとして顧客折衝はよくやっていので戸惑いはありません。
扱ったシステムの一つに文字図形情報システムというものがありました。
通信回線でコンピュータと端末を結び、文字情報や画像情報を送受信するシステムです。
いまのインターネットの前身みたいなものですが、あくまでローカルでクローズのシステム。
小型コンピュータがおよそ1億+基盤ソフト費用+オリジナルソフト開発費+情報作成費・・・。
コンピュータは金食い虫とも言われた時代です。
ハードが今に比べはるかに高く、なおかつソフトもイコール人件費なので負けず劣らず高い。
でも、お客さんがそれをわかってくれていたので助かりました。
「コンピュータ、ソフトがなければただの箱、だもんね」
その頃流行っていたギャグをお客さんもよく口にしていましたが、何とか商談成立。
このことがきっかけになって、その会社の社長さんらと親しくつき合わさせてもらいました。
「ニューメディア事業に手を出すんだから、うちの連中にもコンピュータのこと教えてくれない?」
専務から、そんな話があったのは、機器が搬入されて開発が始まった頃でした。
あとは若い社員やメーカーのSEたちの出番ですから、いいですよ、と引き受けました。
それから役員、社員の皆さんに何度か集まってもらって、「コンピュータはなぜ動くか」勉強会。
思いがけない質問などもずいぶん出て、わたしもずいぶん勉強させてもらいました。
訊かれることによって、自分の知識のあやふやさなどがよく分かったこともありました。
その頃のおつきあいも本社へ戻ってしばらくして途絶えてしまいました。
みなさん、その後、どうされているのか・・・そう思うようになったのもそれだけ歳をとったから。
その時、誘われるままその会社に移っていたら・・・わたしの人生、どうなっていたでしょう?