底冷えのする寒さの日々が続いています。
通りがかりに見上げる桜の樹の枝・・・・つぼみはまだ小さくて固い。
やわらかく木の芽に息をふきかけて・・・・そんな詩がなかったでしょうか。
調べてみたら室生犀星の「ふるさと」という詩でした。
雪あたたかくとけにけり
しとしとしとと融けゆけり
ひとりつつしみふかく
やはらかく
木の芽に息をふきかけり
もえよ
木の芽のうすみどり
もえよ
木の芽のうすみどり
いつかどこかで読んで、その一節が記憶に残ったのでしょう。
たぶん、今より遥かに繊細な感情を持って雪国にいた頃に・・・・。
犀星の詩でふるさとと言えば・・・・
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの・・・・
この先がどうしても続きません。
近ごろ、こればっかり。悲しくうたって終わりじゃ、悲しいですね。
これまた調べて全文を。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食(かたゐ)
となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
我が身に照らせば、悲しくうたうのは失恋の痛手くらい。
帰るところにあるまじや、とまでは思わないのですが。
でも、時として心に沁みる詩ではあります。
咲き始めの寒椿一輪、なつかしきひとの面影を重ねて・・・・。
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