夜半に目覚めたら、カーテンを半分開けた窓から月が見えました。
明るい光が部屋に射し込んでいます。
月は人を狂わす・・・月で狂わされた人間がルナティック。
つい、吸血鬼だの狼男だのを連想して眠られなくなりました。
そんな夜に、「眠れぬ夜のために」を開いて読んだのは、ずっとずっと昔のこと。
どんな内容の本だったか、まったく思い出せないのはすぐに眠ってしまったからでしょう。
今では、ためらいなく睡眠導入剤のお世話に。
オリオン舞い立ちすばるはさざめく・・・。
眠りまでの束の間、そんな夜空を目を閉じて想い浮かべます。
すばるは地球から400光年の彼方。
今、400光年の過去を見ている、と思うと何やら不思議な気分にもなります。
人間五十年、下天のうちに比べれば・・・宇宙誕生は138億年前だそうです。
農漁業が中心だった頃は、人間も自然の時間の流れとともに暮らしていたのでしょう。
種をまく、芽が出る、花が咲く、実がなる、収穫する・・・。
工業化された今は、人がコントロールする時間に、人間自身が従うしかなくなっています。
その時間も生産性、効率の名のもとに加速していきます。
とはいえ、近代文明など、つい昨日始まったばかり。
人の身体には、まだまだ自然の時間が刻まれているように思います。