のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

塩谷 9

2009-07-31 | 小説 忍路(おしょろ)
 文学碑には「海の捨児」の前半の部分が刻まれていた。  私はこの静かな哀切の詩が好きだった。それは早くから故郷を出た私の心情とよく合い、故郷に愛着し、その愛着は決して帰らないこと知っている冷めた私を甘く悲しく包んでしまう。伊藤整もまたそのような思いでこの海鳴りの聞こえる丘を遠い空の向こうから見つめ続けていたに違いない。そして今、こうして私が踏みしめている雪の一握でさえ、伊藤整にあってはひそかに恋 . . . 本文を読む
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