のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

塩谷 5

2009-07-27 | 小説 忍路(おしょろ)
「葡萄園にて」の哀切な世界はこの海に向かう斜面から生まれたのだろう。そう思ってみれば眼下に広がる海は静かで、しかし明るかった。その明るさは青年の心を突き動かしていくエネルギーであったのかも知れない。  考えが落ち着くと、私はようやく動き出した。民家の背戸を回って、その吹きだまりの雪に悩まされながら、やがて国道に出た。ブーツの中は湿って冷たかった。  「やはりなかったな。」そう思って、私はあの運 . . . 本文を読む
コメント