ノリの東京の友人の生きる糧(福岡編)

日々のちょっとした楽しみや悲しみを徒然に語ります。

異常なほど負けず嫌いな男 ~ ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2008年05月03日 | 映画
 昨日は有給をとって、朝から川崎で『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を見てきました。

 本作は上映する劇場が非常に少なくて、私の近所だと、私が大嫌いな劇場の日比谷のシャンテシネでしか上映していなかったので、久しぶりに川崎のチネチッタまで足を伸ばしました。この劇場はとても見やすいイス&座席配置ですし、観客も比較的少ないので穴場ですね。私の家から少し遠いのが唯一の難点です(川崎は誘惑の多い街なので、なるべく行かないようにしています。お金があれば別ですけどね)。

 さて、本作は、2時間38分と言う長い映画でしたが、物語に引き込まれたため、あっという間に最後まで見てしまいました。冒頭から最後まで、すさまじい男の生き様を見せてくれる作品でした。
 長期戦を考えてペットボトルのお茶を2本持ち込んでいたのですが。1本しか飲めなかったですね。それくらいスクリーンに集中していました。

 本作は今年のアカデミー賞で『ノー・カントリー』と賞レースを争った作品ですが、争う理由が判りました。キャストとシナリオが秀逸です。本作の方がラストがはっきり&衝撃的に描かれているので、『ラスト至上主義』の私には本作の方が評価が高いですね。私の評価は☆5つです(☆5つが最高)。今年のマイアカデミー賞の作品賞、主演男優賞、音楽賞の候補作品に躍り出ました。

 本作は、19世紀末から20世紀前半をアメリカで生きた1人の山師の男(金や石油を探し出して掘り出す職業)の半生の物語なのですが、私が本作に惹かれたのは

 ・この男の生き様や考え方が、すさまじく、圧倒される。
 ・『石油の発掘』と言う仕事が見ていて面白い(勉強になる)。
 ・対立する牧師との関係がスリリングな展開で面白い。
 ・音楽が気持ち悪い(ホラー映画の『悪魔のいけにえ』みたいな不快感)。

と言った部分ですかね。完全に私のツボに入った映画で、私の『面白すぎて、笑うシーンでないのに笑ってしまう』と言う病気が出てしまいました。近くに座っていた人には迷惑をかけたかもしれませんね。
 どうやら私は強烈な個性を持つ人間を見ると嬉しくて笑ってしまうようです。それくらい、ダニエル・デイ=ルイスの演技が鬼気迫っていたと言うことでしょうね。この人の主演作は何本も見ていますが、毎回完全に別人になりきっているので、現在の俳優では一番演技がうまいのではないでしょうか。昔のロバート・デ・ニーロに重なりますね。

 私がベタ褒めの本作ですが、残念ながら合う人と合わない人がはっきりしているようです。30人くらいしか観客がいなかったのですが、鑑賞中に途中で席を立って戻ってこない人が何人かいたのも事実です。信仰心の深い方には不愉快な内容かもしれませんね。「宗教家とは何か?」「信仰とは何か?」と言う部分にも触れています。

 最後に鑑賞上の注意を1つ。
 勘違いをして見ていたのは私だけかもしれませんが、最初に主人公の山師の所に訪ねてくる青年と、その後に出てくる牧師の青年は双子です。同じ俳優さんが1人二役を演じていたので、私は同一人物だと勘違いして途中まで見ていました。ここは注意して見た方が良いですね。

 私は35歳を過ぎた頃から、外国人の名前と顔が一致しない(名前を覚えられない、名前を忘れてしまう)ようになってしまったので、外国の映画を見たり、小説を読んだりするのが難儀になっています。今回は途中で気づいたから良かったのですが、勘違いしたまま終わってしまっている作品が多いかもしれませんね。同世代の知り合いでも同じような人が結構いるので、人間としては当たり前の現象かもしれませんね。

 以上、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の感想でした。
 好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、『ノー・カントリー』ほど精神に侵入してこない作品ですので、強烈なキャラクターの親父や石油発掘に興味がある方はぜひ見て下さい。面白いか面白くないかの確率は50%ですね。
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